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藤谷治『船に乗れ! Ⅰ』

2015年01月12日 00時35分59秒 | 文学
藤谷治『船に乗れ! Ⅰ』(ポプラ文庫ピュアフル)読了。三巻ある小説の一冊目。
とてもおもしろい。
楽器を演奏したことはないのだけれど、こんな感じかというのがよくわかる。
楽器はひとりひとりで練習してきて、合奏は最後にみんなが集まって指揮者の棒の振るタイミングに合わせて演奏するだけ、だから指揮者の役割というのも何のためにいるのやら、何で威張っているのやらよくわからない、というのが正直なところなのだが、本を読んでみてそうではなさそうだということがわかった。別の楽器の演奏者とあわせるというのはぜんぜんちがって、難しいものらしい。
主人公はピアノ・トリオ(ピアノを三台並べて演奏するわけではなくて、ピアノとヴァイオリンとチェロ)を好きな女の子と先生と組んで練習するのだが、その練習風景はとても上手く書けていて、演奏中はこのような感じなのだろうということがよくわかる。
協奏曲はオーケストラとソリストの戦いというような言葉もあり、納得がいった。
はじめの方のオーケストラの練習で、新しく言われたことができるようになると前言われたことができなくなっている、と指揮者の先生に叱られる場面があったが、このようなことはテニスをやっていてよくあり、私は大人でスポーツクラブに通っていてお金を払って練習しているのでコーチに叱られることはないのだが、楽器の練習もスポーツもいっしょだなと思った。
二巻は彼女とオペラ「魔笛」を見に行く場面から始まる。
ついこの前「魔笛」の絵本を読んだばかりなのでいい予習になった。
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