うっかりの一手

2008-02-02 00:00:02 | しょうぎ
以前、反則手について書いたのだが、「反則ではないが、一気に不利になる手」という話。


657fce81.jpg「一気に不利になる手」などいくらでもあるのだが、それは普通、「ポカ」とか「悪手」とか「二人がかりで攻められた」とか言って、よくある話だが、今回はまったく異質な手、つまり指し間違いの話だ。どちらかというと、「うっかり」という範疇である。しかし、この指し間違いだが、普通は反則負けになる。隣の筋に角が成ったり、4段目で歩が成ったり。しかし、そういう即決の負けではない場合の話。しかも私の実戦から。

1.角不成
 角が成らないというのは、詰将棋ではよく出てくる手だし、序盤の角交換の時、行儀の悪い人は2二角不成とか指す人がいる。そういうのではない。今でもよく覚えているのは中学1年の時の大会の第一回戦。つまり私のデビュー戦なのだが、まだその時は弱かったのだが、いくつかの有名な格言は知っていた。「角交換に5筋を突くな」。その心は、仮に後手が△5四歩とした場合、飛車取りに下から▲7一角と打って、飛車が逃げた時に、▲2六角成と馬に昇格する筋があるからだ。

そして、事実そういう展開になって、▲7一角に△7二飛となり角を2六に引き付けたのはいいのだが、成り忘れてしまった。

この角をもう一度敵陣に侵入させるために大苦労することになったわけだ。

2.割り打ち
 金や飛車が横に一間飛びに並んでいる時に、下から銀(時には角)で両取りを掛ける技である。金銀交換になるが相手の守備の金をはがせるので大いに有望になることが多い。羽生さんが『日本将棋用語辞典・東京堂出版』の中のコラムに書いているアドバイスでは、「金は角に近い価値があり、銀の価値は桂と同じくらいだ」というのがある。つまり金銀交換というのは角桂交換みたいなものになる。


657fce81.jpgそして、ある対局で最高の割り打ちの場面が訪れる。飛車が2三歩に直通し、3二の金と5二の飛車が一間飛びに並んでいる。▲4一銀 △4二飛 ▲3二銀成 △同飛 ▲2三飛成でほぼゲームセットのはず。そして、エイッと4一の地点に駒台から「金」を打ちこんでしまったわけだ。「割打ちの金」。

3.一枚足りず
 詰将棋では、ほぼ「無価値」とされる金銀の並べ詰みだが、実戦だと、これほど嬉しいものはない。奇手や捨駒で詰ませる順というのは、どうしても不安だ。そして、相手の王様を追い詰めて、順に金や銀を豪勢に打ち続けていくとピッタリと詰むはずなのに、指していくと最後に一枚足りない。駒台から落としたかと探してもどこにもない。過信というか慢心というか、ようするに頭の中だけで盤上を確認しないで数え間違えたということ。とても悲しくて恥ずかしいことになる。

もちろんその逆に、一枚足りないから詰まないと思い込んでいて、数え間違えて詰まされたりすることがある。

657fce81.jpg以前、花村元司先生の本に「小駒は何枚かあらかじめポケットに隠しておいて、必要な時にそっと取り出して使えばいい」という趣旨のことが書かれていた。今度、仲間内で指すときに気付かれるどうか実験しておきたい。



さて、1月19日出題問題の解答。

▲2六銀 △2八玉 ▲3五銀 △1七玉 ▲2七飛 △1六玉 ▲2五角 △1五玉 ▲2四銀 △同玉 ▲4三角成 △3五玉 ▲2五馬 △4五玉 ▲4六歩 △同玉 ▲4七飛まで15手詰。

657fce81.jpg最初のところが銀と玉が逆向きに動くところが、解きにくいところかな。11手目で一歩補充して最後は密着串刺し方式。3一歩の意味は11手目に▲4三角不成という意地悪な手で余詰めになるのを防止しているのだが、違和感の配置だ。

この図を少し改造して二種類改作してみた。まず、1五と右にいる銀を左に入れ替える構想の図。そして、単純ながら、銀の出発点を実戦の定位置である3九にした図。要は「棒銀」ということ。玉方3一歩は攻方3二歩に入れ替えてみた。香車の位置も一つ動かして。






657fce81.jpgさて、今週の図。

久しぶりの初型逆王手の双玉。うまくラインに乗れば簡単だが、筋をはずすとパターを重ねることになる。

収束は既成のコースで(といっても私の頭の中での既成コースなのだが)。

頭の部分と、収束部分は、たまたま同時期に考えていたものを合わせたもの。2手目が難しいような気がする。

いつものように、わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ、正誤判断。


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