「谷川名人誕生の間」に踏込む

2007-07-07 00:00:15 | しょうぎ
253abdf9.jpg所用があって、最近、箱根仙石原高原にあるホテル花月園に行った。箱根でも仙石原は高い場所に位置していて、温泉の湯質は素朴で安心できる(これ以上詳しく書くと、箱根の別の場所から反論がつきそうなので、書かない)。

競輪関係の出資会社ではあるが、ここは幾多の将棋タイトル戦が開催された老舗である。東京に比較的近いということもあり、7番勝負の第六局、第七局といったタイトルが決まる終わりの方に組み込まれることが多いため、羽生全盛時代には、挑戦者がここまで到達することが非常に少なくなったということだそうだ。

花月園に行った理由は、しかし、神奈川県のある将棋関係の集まりに参加するため。プロ棋士、セミプロ的、将棋連盟下部組織などの代表者たちの集まりである。さらに、もう一つの理由に、「特別対局室」を見せていただけるということがあった。

なにしろ、特別対局室と言っても、普段はどこにあるか、はっきりさせていないのである。お客様の宿泊に使っているわけだ。対局が決まると、その日に合わせて準備を進めていく、という流れだそうだ。大勢で対局室の見学に行く。総支配人から直に説明していただける。

253abdf9.jpg○階の○11号室がその特別対局室だった。実は、思ったより狭い感じだ。床の間に向って右側に継ぎの間があって、立会人や記録係はそこに座り、さらに部屋の入り口に一段下がった板の間があり、取材記者達は対局前後に、そこまで入れることになっている(主催紙記者のみが対局室の畳に上がれる)。

総支配人の話では、最近の棋士は闘志を表に出すことがないが、以前は、勝敗によっては感情をむき出しにして、勝負に負けた深夜、ホテルには何も告げず、靴を残して、ホテルのスリッパのまま帰京された棋士もいたそうだ。当然ながら自殺したのではないかと、翌朝は広いホテルの庭園内の大捜査が行われたそうだ。

そして、総支配人がもっとも感動したのが昭和58年に行われた第41期将棋名人戦第6局。加藤一二三名人に挑戦した谷川浩司八段が史上最年少の名人を奪取したのが、この部屋だったということだそうだ。当時21歳。

つまり、この部屋の床の間側に加藤名人が座り、入り口側に谷川八段が座っていたことになる。なにげなく、その場所にある座布団に座ってみるが、それだけである。

この○11号室の奥にある○12号室がタイトルホルダーの部屋で、手前の○10号室が挑戦者の部屋、○09号室が正立会人の部屋である。当日私が使った○08号室は副立会人の部屋なのだろう。

253abdf9.jpgさらに、ホテルの特別展示として阪田三吉書の扇子があった。「馬」という字だ。通常は、こういうときには左馬を書くのだが、普通の馬の字だ。サインのかわりに「三」と署名している。阪田扇子の後ろに見えるのが、大山康晴扇子。「金千歩一」と書いてあるが、右から読んで一歩千金(いっぷせんきん)と読む。一歩、歩けば、一千万円儲かるような熟語だ。


ところで、この日の会合は神奈川県のアマチュア団体の集まりなのだが、酒席ではプロ棋士も交えての懇談が行われたのだが、女流問題では、例のように意見が対立。すっかり雰囲気が悪くなってしまった。神奈川での最大の将棋イベントは、毎年8月に行われる「京急将棋まつり」なのだが、女流棋士の処遇に関してもめごとがあったらしく、スポンサーである上大岡の京急百貨店側からの、「両団体を呼ばなければ大会中止!」とのおコトバで、とりあえず休戦状態になったらしい。

しかし、現在のスケジュール案を見たところ、8月16日(木)から19日(日)の4日間の各種イベントの中の最も暑い戦いが19日14時から組まれている。

中井女流六段 対 斎田倉敷藤花戦 (副題:そこには負けられない一戦があった)

注:--中井対斉田戦は、理由不明で、中止となる--

独立グループと残留グループのトップ同士の対決である。たぶん、女流棋士の歴史に残る一戦だろう。

その他、8月17日午後には羽生さんが登場。8月18日14時30分からは「塚田・高群×千葉・千葉」夫婦目隠し対局というのが組まれている。「夫婦目隠し対局」という呼称にするか「仮面夫婦対決」にするか、まだ決まっていないようだ。もちろん、「偽装結婚」は犯罪だが、「仮面夫婦」は合法だ。


253abdf9.jpgさて、6月23日出題分の解答。


▲7四金 △5五飛 ▲6一玉 △5二銀 ▲同竜 △同飛 ▲8四香 △9一玉 ▲8二銀 △同飛 ▲同香成 △同玉 ▲8四飛 △9一玉 ▲9二歩 △同玉 ▲8三金 △8一玉 ▲8二金まで19手詰

初手から5連続王手の掛け合いをすることになっている。まあ、趣向の割りにつまらない。


253abdf9.jpg今週の出題はまたも飛び道具。

ちょっと展開が荒っぽいかもしれない

いつものように、わかったと思われた方は、最終手と手数と酷評の方をコメント欄にいただければ、正誤判断。







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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (利波偉)
2007-07-07 14:52:02
 花月園といえばアマにとっては箱根名人戦。昔は行っていたのですが、時期が六月になったのと(これは2月に戻されそうですが)ここには書かない理由から行かなくなった。
 上大岡将棋祭りは八月十八日(土)には行くかもしれません。
 詰将棋は14香迄7手と思うが、個人的に双玉に必要性が感じられない作品は好きではありません。この作品でも例えば玉方32銀を置けば16玉26銀52角を省略しても作意は成立します。まあ、あくまで私の好みの話ですから、太田さんにとっては関係ないことですけどね、、、。
Unknown (おおた 葉一郎)
2007-07-07 17:18:03
利波偉さま、
そうですね。双玉は好き好きですからね。
一応、初手から2二角成 同香 1三飛成という強力なのがあって、これに1二香という返し技が裏側になっているのですけど、短いのはなんだか難しいですね。
Unknown (リハル)
2007-07-09 20:29:59
こんばんは。最近、谷川名人の本を数冊集中的に読んでいます。私にとっての「名人」は、やはり谷川名人です。
先日コメントした駒探索での逸品には及びませんが、先日彫駒をオーダーして、谷川×羽生100番勝負を並べています。本物の駒は、五感に感じて、違いますね。時代の流れで、ネット対局化しそうですが、将棋をビジネスとして捉えると、ブランド品をバッタ屋で売っているようなもので、文化としても寂しい限りです。
Unknown (おおた 葉一郎)
2007-07-10 06:35:15
リハルさま
>文化としても寂しい限りです
韓国でもつい最近まで、韓国将棋は「バクチの一種」というところまで、落ち込んでいたのですが、かなり復活したようです。
韓国の惨状をみて、「自分でも将棋の普及をしなければ・・」ということで、普及指導員など始めたしだいですが、指導員の世界でもそういう考えの人ばかりでもないし・・

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