中国はなぜ軍拡を続けるのか(阿南友亮著)

2024-04-18 00:00:47 | 書評
『中国はなぜ軍拡を続けるのか』は2017年に出版された書で、当時話題になって、いくつかの賞を受賞していて、自分の「そのうち読もうと思っている本」になっていて、おそまきながらページをめくりはじめた。


前半は中国共産党史になっていて、その結果、国内外の敵が増えてきて軍拡に向かっているという筋書きなのだが、全339ページの中で軍拡の話が及ぶのが266ページと言うことで、いささかバランスが悪い。

私のような年配者は前半の部分は良く知っている話なので、かなり退屈なところが多い。林彪事件の新解釈とかあれば良かったが、軍拡の話とは別筋なのだろう。

少し気になるのは、遠い昔の話ではなく、第二次大戦の後、現代に至るまでに中国は隣接する多くの国と軍事衝突している。ソ連とかインドとかベトナムのように、本気を出すと相当強い国とも戦っている。結構、無謀な戦略のわけだ。なぜか、本書ではどういうきっかけでそれらの戦いが始まり、収まったのかの具体的な経緯は読み解けない。


そして、本書が登場したころには、うすうす予感されていた独裁家がますます独裁を強めていて、まさに皇帝シーザーを目指しているかのような現実だが、ローマ時代は皇帝の独裁と同時に、経済の繁栄と軍事強国化が並行的に進行したため帝国の寿命が長持ちしたのだが、今の状況はいびつな資本主義による貧富の差の拡大とか汚職構造とか、個人も法人もバブル経済だし、一方で全ての周辺国(日本もそうだが)は用心のために軍備増強するため、疑心暗鬼に陥り、ますます軍事費を増やさなければならない。

ロシアの味方のようにも見えるが、過去の両国の態度から、到底そんなことは思ってないだろうし、地球上にこれまでないような巨大な人口の国の行方は、あまり予想したくないわけだ。風船と同じで、しぼむか破れるかということだろうか?????

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