棒の手(西尾市)

2022-11-02 00:00:18 | たび
『おまんと祭り』(西尾市の中畑八幡社)と同日開催されていた祭りが、近くにある田貫町の神明社で行われた『棒の手』。二社の距離は1キロ弱で、ほぼ同じ時刻に行われるので、両方を見学するのには便利だが、初めて見るのでスケジュールを把握するのは難しい。だいたいにして、どちらにも他県からの見学者は数人といったところだ。しかも駐車場は1キロほど離れた矢作川の河原にある駐車場。つまり、駐車場と二つの神社が一辺1キロの三角形のようになっていて、当日は快晴で30度近い中をウロウロすることになる。



さて、棒の手とは不思議な呼び方だが、江戸時代に帯刀を許されなかった農民の武芸で、西尾町に伝わるのは「鎌田流」と呼ばれている。原則的には(実際には違うが)農民には苗字が許されていなかったので鎌田という苗字がついているのは妙な感じなので、室町時代に遡るのかもしれない。



簡単にいうと棒術だ。2メートルぐらいの棒を振り回して戦う技で地元の青年には保存会で教えているようだ。

保存と言っても、現代日本では刀を振り回す戦いは禁止されているし、警察官だって日本刀の稽古はしていないだろうから、棒術は最強の格闘技かもしれない。



『棒の手』はあくまでも祭りの奉納儀式なので、本当の神事は午後行われるようなので、さらに午前中は学生による演技披露ということであったのだが、それでも棒ではなく長刀と小太刀の戦のような演技もあった。

宮本武蔵は巌流島で佐々木小次郎と戦う際に、刀ではなく渡舟の「かい」を使ったとされるが、どこかで棒の手を会得していたのかもしれない。戦いに負けた小次郎は武蔵に殺されたことになっている。棒で殴られても直ぐには死なないだろうから、殴られ続けられてさぞかし痛い思いをしただろう。