月刊経団連(雑誌)の意外な記事

2019-02-14 00:00:03 | 市民A
12月号の月刊経団連を月遅れで読んだのだが、

まず枕の話として、政権主導で始めようとして浮遊中の『プレミアムフライデー』のこと。そもそも月末の金曜日なんて一ヶ月で一番忙しい日だ。会社は月末締めのイベントが多い。最終週は忙しいわけだ。さらに金曜日になぜ残業するかというと、週末に出勤したくないからだ。実は『プレミアムフライデー推進協議会』なる組織があるそうだ。その組織が主体となってさる10月19日の金曜日に「プレミアムFUN+WALKフライデーウォーキング」というイベントがあったそうだ。100名が参加し大手町から銀座まで2Kmを練り歩いた。狙いは月末金曜日にとらわれない『マイ・プレミアムフライデー』運動らしい。こぶしを振り上げて気勢を上げて、何と戦うのだろうか?この『マイ・プレミアムフライデー』という新語が、世間で使われることがあるのだろうか。

次に、今月号のメインテーマが-Society 5.0時代への期待/ロジスティックス変革のうねり-。これも政権が推し進めているSociety 5.0の実現の手近な目標である物流費削減について書かれていて、座談会には、国交省、大学教授、流通業(スーパー・コンビニ)、大手海運会社、経団連(司会)というメンバーで、それぞれにロジスティクスの変革に賛意を示しているのだが、司会が取り繕っているだけで、それぞれ違うことを言っているわけだ。対談になっていないような気がする。

要するに、日本中の荷主(製造業だったり消費者だったりする)の情報と物流業者の状況を突き合わせてさらにAIによる予測を組み合わせて無駄なく運用しようということなのだが、こんなことができると思っているのは、役所の人間と大学教授位なのではないだろうか。世界中でこれができるのは北朝鮮しかないだろう。

そもそも、物流費というのは物流業者からすれば売上高で、高ければ高いほどいい。競争があるうちは安ければ安いほど競争相手がつぶれるわけだが、ほぼ行き着いている。一方、荷主にとって運賃は安ければ安いだけいいのだからかみ合わない。

また世界規模でも同様なのだが、日本でも基本的には西日本が生産地域で東日本が消費地域であるために、西から東へ向かうトラック等はだいたいフルカーゴだが、東から西に向かうトラック等に空きが出やすい。企業収益の差は、この西行便の積載率にかかっていて、それが営業力の差であるわけで、みんなで仲良くやりましょうと、話がまとまるわけがないわけだ。

しかも、物流には変動の幅があって、コアの輸送量については、荷主(生産者)が子会社を作って固定費保証で安定的に安く運び、変動する部分をサードパーティの運送業者に押し付けるわけだ。

また、共同化といっても、パレットの一枚、段ボールの箱一個まで所有権があって、パレットがなくなったとか結構大騒ぎをしているわけだ。

AIでロスの防止と言っても、例えばコンビニ弁当(恵方巻)の廃棄問題にしても、「多く仕入れ過ぎて捨てるロス」と「仕入れなくて売れなかった遺失利益ロス」の関係があって、原価が5割以下(粗利が5割以上)である場合は、在庫がないための遺失利益の単価の方が余って捨てる廃棄ロスの単価よりも大きいため、どうしても過剰仕入れになりやすいわけだ。ご家庭の買い物の場合、利益という尺度はないので、単に食材を買い過ぎるとロスになるという関係のわけだ。この粗利率なんて企業の重大秘密(バレているけど)のわけで、日本共通の最適化とか考えられないはずだ。

というまとまりのない話が多いのだが、雑誌の後ろの方に、作家の秋山真志が「ぼくのライフワーク」という1ページを書いていて、現在「鎌倉物語」という本を書いているそうだ。二編あって「鎌倉文士編」と「鎌倉映画編」ということで、「映画編」は小津安二郎、原節子、田中絹代などを中心に書こうと思って、まだだいぶかかりそうなので「文士編」を書いているそうだ。白樺派の里見弴、永井龍男、川端康成、小林秀雄、澁澤龍彦、田村隆一などが登場するらしい。書き終わってから発表してほしいのだがライフワークなので、書き終わらないかもしれない。

実は鎌倉文学館という立派な建物が実在しているのだが、鎌倉文士の第一号的な扱いを受けているのは、上記の各氏ではないのだ。鎌倉の街並、海岸、八幡宮といった日常に大きな憂いを感じていた最初の文士は、源実朝ということになっている。