ひびレビ

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“氷菓 第3話”をもう一度

2023-09-01 06:42:14 | 2012年アニメ
 「氷菓」再視聴感想、第3話は「事情ある古典部の末裔」。これまで「一身上の都合」とだけ語られてきた千反田の入部理由が明らかとなるお話です。

・薔薇色から日常へ
 第2話ラストで「俺に告白でもするつもりか」と冗談を言ったつもりの奉太郎でしたが、想定外の千反田の反応を前に奉太郎の視界は一気に薔薇色に色づき初め、時計の振り子もハート型に見えてしまうほどに奉太郎の胸は高鳴っていました。振り子時計は揺れ動く奉太郎の心境を表すのにもぴったりでしたね。


・「私がその伯父(関谷純)から何を聴いたのか思い出させて欲しいんです!」「よくわからんのだが」(千反田/奉太郎)
 後の文化祭の時もそうですが、千反田は過程を省いて結論から先に話しがちですね。特に焦っている時ほどそうなりがちに思えます。
 結論から先に話すのは解説時には有用だと思いますが、相手に頼みごとをする際には突拍子もない話だと思われてしまいかねませんから、状況に応じた使い分けが必要なのかなと。
 それにしても「省く」……良い響きです(笑。


・「そして勧誘メモの時もです!」(千反田)
 第1話の里志曰く「今日の屈託は意外と高くつくかもしれない」。その言葉どおりとなりました。
 音楽室の謎は「現場を見れば簡単に推測できること」であり、出向いていたらそれほどの驚きも無いままに終わったことでしょう。しかし「数多くある掲示板の中から一枚の小さな勧誘メモを見つける」のは誰にでも出来るものではない。結果として千反田が奉太郎を頼るきっかけを作ってしまったのは奉太郎自身ということで、里志の推測は当たっていたわけですね。


・穴を掘り続ける幼い千反田を見つめる奉太郎
 幼い頃の記憶を頼りに、「何か」を一心不乱に探し続ける千反田。同じ場所を掘り続けても見つかるとは限らず、かといってどこに埋まっているかも分からない。もしかすると、今までに掘った穴を更に掘りすすめれば見つかるかもしれない。あての無い、言ってしまえば「エネルギー効率の悪い探索」を延々と続ける千反田に対し、それを黙ってベンチで見つめる省エネ主義の奉太郎。好奇心の塊と省エネ主義の対比に思えます。


・「それでよければ手伝わせてもらう」(奉太郎)
 責任はとれないが、手助けは出来る。そんな奉太郎が最終回ではあんなことを思うようになるの、良いよね……


・テスト期間中の奉太郎
 テスト期間が進むに連れて、部屋も汚くなっていくのがリアルで好き。特に掃除用のコロコロローラーがポイント高いです(笑。で、そのタウンページらしきものは一体何に使うつもりで置いてあるので……?


・姉・供恵からの手紙
 テスト終了直後で疲れているにも関わらず、姉からの手紙はきっちり読む奉太郎。バイクの音が聞こえただけで、自分あての手紙とも限らないだろうに、余程楽しみにしていたのか、はたまた早めに読んでおかないと何を言われるか分からないという姉からのプレッシャーを感じたのか。いずれにしろ、奉太郎とは異なり非常に活発的、言い換えれば最も身近な薔薇色の存在である姉の手紙を読んで、胸を躍らせたかったりするのかなぁ……と。


・「ちーちゃん」(摩耶花)
 テスト期間中に一緒に勉強したと思しき千反田と摩耶花。第2話では初対面故に「千反田さん」「伊原さん」だったのが「ちーちゃん」「摩耶花さん」とあだ名・下の名前に呼び方が変わっています……その瞬間を見せて欲しかったなぁ!?……そういえば伊原って里志を「ふくちゃん」と呼んでますから、男女問わず親しい相手は「○○ちゃん」呼びする感じですかね?奉太郎を呼ぶとすれば「おれちゃん」「ほうちゃん」……うーん、違和感(汗。


・遠垣内先輩
 部室近くの廊下に見慣れぬ物体、鍵のかかった部室、匂いを嗅いだ奉太郎をにらみつける、相手が千反田家の人間だと知るや否や動揺する……改めて見ると、隠す気あるんですかね、この先輩(汗。見慣れぬ物体について先生から問い詰められた際、何と答えるつもりだったのやら。


・摩耶花のありがたみ
 千反田と奉太郎の「お願い」だけでは、あと一歩押しに欠けていたかもしれませんう。ここで摩耶花が「部室である前に教室」と正論を唱えたからこそ、遠垣内先輩も分が悪いと見たのでしょうね。強気な摩耶花にしか出来ない、ナイスフォローだったと思います。


・奉太郎の説得と遠垣内先輩の同様
 ここ、奉太郎の口調だけで「本心で脅しているわけではなく、ただ文集が欲しいだけ」感が伝わってくるのが素晴らしいですね。棒読みとはまた違う、感情こそ籠っていないが明確な意思を感じる口調に聞きほれます。
 また、遠垣内先輩の動揺っぷりも見事であり、「それは、ダメだ」のちょっと裏返った感じの声とか最高でした。自分の行為を看破されているのは間違いないが、かといって口に出すわけにもいかない。「脅しているのか」と言ってしまえば、千反田家の前で墓穴を掘ることに等しい。奉太郎があの口調だったからこそ、遠垣内先輩も折れてくれたんだろうなと。
 なお、この後第15話「十文字事件」で先輩は再登場します。今回の一件で懲りたと思いたいところですが、果たして……?


・伯父の手元にあった「氷菓 第二号」
 この号は千反田の伯父「関谷先輩」が去ってから一年後に発刊されたもの。それが伯父の手元にあったというのも不思議な話。
 退学した学校の文化祭に自ら訪れるとは考えにくいため、人づてに手に入れたものだとは思いますが、これを渡した人物はどのような心境で渡したのか、受け取った伯父は前文を読んで何を思ったのか。そして、それを捨てずに取っていたということは、自身の経験を忘れないためなんですかね……


・「時効ってことさ」(奉太郎)
 知らない方がいい真実もあるのではと戸惑う千反田に対する一言。ここで千反田の意見に従い真相の追及をやめることも出来たはずなのに、千反田のために調べられる理由を差し出す奉太郎の優しさが印象的です。


 といった感じの第3話でした。やっぱ面白いよなぁ、氷菓。感想書くために何度か見返してますが、全く飽きがこないって素晴らしいわ……
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