ひびレビ

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"氷菓 第10話"をもう一度

2023-09-23 08:26:43 | 2012年アニメ
 「氷菓」振り返り。第10話「万人の死角!」は、入須先輩と奉太郎の会話から、犯人の特定?に至るまでが描かれます。

・「最初から君が目当てだった。古典部などではなく」「君は、特別よ」(入須先輩)
 試写会の時もそうですが、入須先輩は建前ばかりではなく、ある程度本音を話してくれるからこそ厄介な相手なんですよね。全てが建前なら疑ってかかればいいが、試写会の時に見せた感謝の言葉や、この言葉などは紛れもない本心。故に騙されてしまう。
 自身の「人使いの荒い女帝」として噂すらも「そんな女帝に自分は頼ってもらえている、期待されている」と相手を調子づかせる要素に変えてしまっているように感じます。

・「俺に技術など……ただ運が良かっただけです」(奉太郎)
 「運が良かった」というのは千反田の「一身上の都合」を聴かされた時にも発した言葉ですが、千反田が「運に頼らせてください」と運を認めたのに対し、入須先輩は「運で済ませてしまうことの残酷さ」を語り、奉太郎に自身が特別であることを自覚させようと試みます。
 恐らくここで入須先輩が千反田のように奉太郎の運に頼ったのであれば、奉太郎は古典部員たちの力を借りつつ解決したでしょう。ですが、今回は奉太郎自身が「特別」であることを自覚してしまった。「一人で解ける」と思ってしまった。それが大きな落とし穴だとは知らずに。
 これまでの事件では解決したのは奉太郎であるにせよ、実際には古典部員たちからの情報提供や軌道修正があったからこそ、真実にたどり着けていました。何でも自分一人でやった気にさせられてしまった奉太郎は、ちょっと悲しく見えてしまうので、この話は苦手なんですよね(苦笑。


・里志と奉太郎の会話
 自分にしか出来ないことは無いと断言する里志。彼の「こだわり」に関する思いはもう少し先の話で語られます。
 また、奉太郎の里志に対する評価ですが……何気ない会話の中であれば里志の表情をあそこまで暗くすることは無かったでしょう。奉太郎に他意が無かったにせよ、なまじ入須先輩に「期待」されてしまっている奉太郎からあんな言葉を聞かされてしまっては、「こんな自分が特別なのだから、きっとお前も特別になれる。頑張れ」などと、どこか上から目線、無責任な応援をされているようにも感じてしまいます。
 

・摩耶花の魅力
 摩耶花ならこの映画をどう撮るか?と問われて、あれこれ指摘を始める摩耶花。構図へのこだわりは自身も……だからこそ、でしょうね。
 里志が補修に連れていかれた後、摩耶花も図書登板だから、入須先輩を手伝う気はあっても奉太郎を手伝う気は無いなどと言いつつも、最後には謝りながらその場を去っていく摩耶花。千反田や里志とはまた違う、この親しい距離感こそが摩耶花の魅力だと思います。


・「これが本郷の真意だ」(奉太郎)
 推論ではなく結論。その後、入須先輩への説明においても「確信しました」と自分の結論に間違いが無いと確信しています。
 首吊りの影の正体は「~だったんだろうな」、進度間違いについては「こう書くだろうからだ」、糸魚川先生に話を聞きに行く前には「補足できるはずだ」と、これまでいずれも「推論」を語ってきた奉太郎でしたが、今回は「結論」を出している。その点においても入須先輩の影響の大きさが感じられます。


・「沢木口の言葉を借りましょう。『別にいいでしょう、それくらい』」(奉太郎)
 個人的に奉太郎が一番調子に乗ってしまっているのがここだと思います。入須先輩からの問いかけに「待ってました」と言わんばかりに口角を上げて、このセリフ。調子づいてんなぁ……


・「どうやら羽場はお気に召さなかったようだ」(奉太郎)
 盛り上がりを重視する中城、本郷が7人目の役者を探していたというヒントをくれた沢木口。この2人は少なからず自分の案や考えに沿うものだったため、受け入れられたのでしょう。一方羽場がお気に召さなかったのは「羽場の推理が採用されなかったから」「奉太郎案が面白かったから」「ザイルが使われなかったから」のどれですかね。


・「どうだった」(奉太郎)
 映画を見た古典部員たちに感想を尋ねる奉太郎。文字にするといつもの感じですが、実際には普段よりややテンション高め、自信ありげに問いかけているように感じます。ですが返ってきた答えは……


・奉太郎を窓際に引っ張る摩耶花
 まだ室内に人がいるのを気にしてか、窓際に移動したうえで、どこか申し訳なさそうに疑問を投げかける摩耶花。仲は良好とはいえないまでも、大勢の前で問いただすような真似はしない。そんな摩耶花の優しさが光る場面ですね。


 摩耶花の指摘により色づいた世界は一転して灰色に。何故あの件を忘れていたのか。本郷の真意はどこにあるのか。といったところで、次回は「愚者のエンドロール」編ラストにして、奉太郎曇らせ回です(汗。
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