ひびレビ

特撮・アニメの感想や、日々のことを書いてます。
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ネオ・ウルトラQ 第12話(最終回)「ホミニス・ディグニターティ」

2013-03-30 22:42:48 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第12話(最終回)「ホミニス・ディグニターティ」

144年。それが人間の寿命限界時。老化さえ食い止めれば144年間生きられるが、病や事故、老衰が寿命を阻む現実派変えられない・・・はずだった。ある人物が、岩の中から奇妙な生物を発見するまでは。


「お忘れですか」仁のもとを訪れたフタバという人物は、「ホミニス」と書かれた名刺を差し出し、そう問いかけた。「忘れていませんよ」仁は研究にはいずれ戻る、今は生きた人間を相手にしたいと言うが、相手は生きた人間体を実験体にすれば良いという。しかし目的は議論ではなく、生きた人間相手のカウンセリングだとフタバ。


フタバが仁のもとを訪れる少し前。
施設の名は「ホミニス」。皆一様に同じ服を着て、学習に励む子供たちがいた。マキという少年は出された問いを的確に答え、それを憧れの目で見つめる少女ユリ。そんなユリの友人であるヒカルは友達だった。ヒカルはDNAなどいらないという。
30年前、日本最古の地層から発見されたのは、宿主の老化を妨げ、出来る限り長く生きながらえさせる寄生生物ソーマ。ソーマを復活させ、人間に寄生させることに成功させた人類は、144年という限界寿命を手に入れた。だが貴重なソーマを全ての人物に寄生させるわけではない。そこで人間の選別が行われる事になったのだ。IQ150以上、遺伝疾患無し、かつ肉体優良と認められた人間のみにソーマは寄生させられる。
「国のために立派な仕事をしましょう」繰り返される放送の中で、ヒカルは今の状況が自由では無いと感じていた。どんな仕事をしても、誰を好きになっても良い。それが外の世界。「自由」という言葉に目を輝かせるユリ。ヒカルはユリに、反ソーマ同盟を汲まないかと持ちかけ、ユリもそれに応じる。

とある夜。ユリは手紙を持って館内を歩いていた。だがその様子は監視カメラにより発覚し、ユリはどこかへと連れて行かれた。彼女が持っていた手紙には「マキくんへ」と書かれていたのだった。翌朝、ヒカルたちの担任であるシイナ先生からは「あんなバカなこと考えないように」との通達があった。それを聞いて馬鹿にしたような笑いを浮かべるマキ。

ユリは別室に移され、毎日反省文を書かされ、薬も沢山飲まされているという。マキのことを尋ねられ、ヒカルは彼も心配をしていると嘘をついてしまう。ユリは息している感じがしないとヒカルに告げる。そんな彼女を「出られると良いね」と抱きしめるヒカル。
あくる日、ユリは無事に帰ってきたが、彼女は人が変わったかのようにヒカルに冷たく接し、同盟のことも忘れてしまっていた。
ヒカルは意を決し、シーツと安全ピンを用いてロープのようなものを作り上げた。そしてロープの先端に安全ピンをつけ、それを背中のソーマにも刺したヒカル。そしてヒカルは台から飛び降り、自らソーマの切除を決行したのだった。


IQ150以上もありながら、何故馬鹿なことを考えるのか、フタバには理解できなかった。「知能指数が高くても理解できないことがあるんですね」と皮肉を言う仁。ソーマの切除は前例が無く、フタバたちも動揺していた。フタバはヒカルに対し、一刻も早い精神強制をするよう仁に促していた。

ヒカルはユリと同じような部屋に移され、薬を与えられていたが、飲んだフリをして吐き出していた。そして彼女はホミニス内の一室へと連れて行かれる。そこで待っていた仁はヒカルに、彼女の心を癒す手伝いをしたいと話しかける。そして徐々に今何を考えているのかを教えて欲しいというが、ヒカルは突然立ち上がり、その場を立ち去ってしまう。その部屋には、職員達の目が光っていた。

今日はヒカルの部屋で面談すると仁。ヒカルの心は繊細で、フタバの目があっては心を開いてくれないと告げるが、心は開かなくとも、ソーマを受け入れさえすればいいとフタバ。
何とかヒカルの部屋での面談は了承された。仁は早く元気にならないとというも、ヒカルはあそこに戻るのは嫌だと答える。友達もヒカルが帰ってくるのを待っているのではという問いに、もう友達では無いとヒカル。その理由を答えないヒカルに対し、治療の話を終え、何がしたいのかを問いかける仁。
言葉にしなければ実現しない。言葉にはその力がある。それを聞いたヒカルは、「外の世界が見たい」と答えるのだった。

そして仁はヒカルの外出許可を貰い、自分の職場へと連れてきたのだった。ヒカルは仁にもう1つお願いがあると、昔親に読んでもらっていた本を差し出した。その本を読んでもらっていると、安心したかのように仁の方にもたれかかって眠るヒカル。仁はヒカルを優しくソファに横たわらせ、コートをかけるのだった。
仁が何かの準備をしていると、そこへフタバが迎えに来てしまう。明日は大切な検査の日であり、彼女は良い検体になるとフタバ。フタバは日々研究を重ね、ソーマを直接脊髄に寄生させ、二度と自分で切除出来ないようにするつもりだったのだ。
寄生手術の日を尋ねる仁だが、フタバは「あなたの仕事をソーマを宿しながら生きる意義を彼女に教えることでしょう!?・・・お願いしますよ」と告げる。当のヒカルは既に起きており、2人の話を聞いていた・・・


遂にヒカルの移植手術が明日に迫っていた。ヒカルの部屋に入ってきた職員は、ソーマを受け入れる生き方もあり、ちっぽけな人間の思いなんて広い世界では踏みにじられる時もあると語る。だが「誰かに命を操られるなんて絶対に間違っている」。そう語る職員は仁だった。「僕は決めた。君にそんな思いはさせない」そう語る仁の背中には、ソーマが寄生していた。
仁はヒカルをシーツを運ぶカゴに隠し、外へと連れ出す。外には絵美子と正平も待っていた。「僕は何があっても先生の味方ですから」という正平の肩をたたき、4人は車に乗ってその場を離れる。
仁とヒカルは遊園地に来ていた。父から外の世界は自由だと聞いていたが、自信が無かった。父を信じていなかったわけではなく、自由というのが分からなかったから。けれども今この瞬間、確かにヒカルは自由を理解していた。


また同じ病室のベッドの上。ヒカルの前には職員に扮した仁の姿。「僕は決めた。君にそんな思いはさせない」同じ言葉を語る仁を見つめるヒカルの目。彼女が見たものとは、一体・・・


感想
今回登場したのは古代生物ソーマ。寄生した宿主を生きながらえさせる能力を持つ生物で、一部の選ばれた優秀な人間は144年という限界寿命を手に入れることに。国のために働きましょうと教育される中、今の状況に疑問を持つ少女ヒカルがメインでした。

どれほど頭が良くても分からない事がある。優秀になればなるほど論理的に考えてしまい、人間の感情による行動が理解できなくなってしまうのかもしれません。144年間生きられるのに、何故自らソーマを切除するような真似をするのか。何故優秀な遺伝子を持っているのに、それを活用しないのか。言っている事は分かります。でもそれは、あくまでもその理論を押し付ける側の事情であって、本人には全く関係ない話でしょう。144年間生きられなくても良い、優秀な遺伝子を活用できなくても良い。ただ自由に生き、自由に恋をしたい。そういった生活が一切無い。あるのはただ、国のために利用されている子供たちの姿でした。

彼女たちは確かに144年間生きられるでしょう。ただそれは、国のために生かされているというだけな気がしてなりません。恐らく将来、それぞれに見合った重要な仕事を与えられ、より優秀な第6世代を残すために結婚相手も決められ、その子供もまた利用されていくのでしょう。言い方は悪いかもしれませんが、最早機械のような流れです。

優秀な人間だけが選ばれ、長生きしていく世界。彼らにより、国は幸福になる。けれどもヒカル自身の幸福はどうなってしまうのか。本来幸せだと思っていたことを忘れ、決められたことに従うことを幸せだと思うようになってしまうのかもしれません。国のために、個人が犠牲になっていいのかどうか。
ヒカルが憧れた外の自由な世界は、選ばれなかった人々が作り上げた世界でもあります。果たして外の世界の人間達は、ソーマに寄生されなかったことについて、どう思っているのでしょうね。


そして仁の謎が一気に深まった最終回でした。冒頭の「お忘れですか」という台詞、そして仁に寄生していたソーマから察するに、仁も昔はホミニスにおり、優秀な科学者としての道を屋島教授などの元で学んでいたのでしょう。けれども研究を進めるにつれて、生きた人間やその心についても興味を抱き、自らの意思で独立した・・・という妄想。
仁に依頼されたのは「ソーマを宿しながら生きる意義を教えること」。何故職員ではなく、仁なのかと思いましたが、それも恐らくは仁が適任者だったからなのでしょうね。仁もソーマを宿しながらも、自らの道を歩み、生きる意義を見つけました。そんな彼だからこそ、様々なことを実体験として語れるのかな。

最後はヒカルに対し、脊髄へ直接ソーマを寄生させる実験が行われようとしていました。最早自分の切除も許さない、自分たちの道具のような扱いです。そこへ助けに来てくれた仁、絵美子、正平!これでめでたし、めでたし・・・
かと思いきや、再びヒカルはベッドの上。同じ光景が繰り返される中、ヒカルが見たのは何だったのでしょうか。服を脱いだような音、そして「脊髄への直接寄生」・・・まさかとは思いますが、仁は自らのソーマを脊髄に移植させることで、ヒカルを守ったのでしょうか。仁の背中には皮膚の下でうごめくソーマがいたのか?

あの遊園地の出来事が現実なのか。それともラストシーンが現実なのか。それは分かりませんが、分からないままで良いのかもしれません。だって仁は自由なのですから。自由な仁は、誰にも束縛されず、自分の意思で行動を決めることが出来る。ヒカルを救い出すことも、そしてヒカルを守るために自らを実験体にすることも、そして他の行動も、どんなことだって出来ます。視聴者として、どういった結末を想像するのか、それもまた自由なのでしょうね。


全体の感想
ということで、ネオ・ウルトラQ、無事に全話終了しました!

いやー・・・正直言って、話の内容は全体的に難しかったですね(苦笑。放送局や時間帯の都合上、そう簡単な話はこないだろうと思っていましたが、なかなか考えさせられる内容が多く、毎回興味深く視聴していました。面白い回もあり、よく分からなくて悩んだ回もあったり。けれどもいずれにしろ、あれこれ怪獣たちや思想に思いを馳せるきっかけを与えてくれた良い作品だったと思います。

ネオQで度々問いかけられてきた「怪獣との共存」というテーマ。この世界(各話パラレルだとしても)では既に怪獣や宇宙人が受け入れられており、彼らにより実益や被害が発生しているケースも多く見られました。ウルトラシリーズなどでは出現した怪獣や宇宙人に驚き、戸惑う人々も見受けられましたが、「ファルマガンとミチル」では、ミチルはさも当然のようにファルマガンの存在を受け入れていました。しかし、これにはむしろ驚く方がおかしいのかもしれません。誰かを心配し、助けてくれる存在。そこに人間か宇宙人かは関係ないのでしょう。

怪獣を一方的に悪だと決めつける人もいれば、怪獣を保護しようという団体もいる。どちらも互いに互いを否定するばかりで、お互いの意見を受け入れようとする姿勢が見られませんでした。怪獣には怖い存在もいる。けれども優しい怪獣だっている。人間が言葉が通じない、見た目が違うというだけで勝手に遠ざけ、排除するのは間違っています。同じ種類の怪獣でも、人間のように1人1人に個性があるかもしれない。「怪獣だから悪」「○○星人は前に悪い事をしたから、今度来た○○星人も悪」と決めつけるのもおかしな話です。そんなんだったら、人間はとっくの昔に互いに誰も信用していないでしょうし、国際交流も無いと思います。

ただ、盲目的に怪獣を受け入れていくことはもちろん危険です。今は有益でも、将来的にどうなるか分からない。能力や人間の企み次第では、ブレザレンだって危険な怪獣になり得る。怪獣はまだまだ未知の存在ですから、プラーナのように多少の注意は必要ですね。

「人間の中にも怪獣はいる」。マーラーのように、悪意に満ちた世界を作り出そうとした存在もいましたが、それも人間の心の中の怪獣を解き放った結果。あの後の世界は、何でも横行する世界になってしまったのかな・・・
そんな怪獣たちと触れ合ってきた仁。彼は今後、どのような道を歩んでいくのでしょうか。ソーマを受け入れ、その中で見つけた生きる意義。まだ100年はあるであろう寿命の中で、数多くの怪獣と出会う事でしょう。


話をメイン3人に移しますと、若干キャラクターの印象が薄いというのは否めませんでした。仁はあれこれ語ったりで出てきますし、絵美子も記者としてあちこちに出向き、様々な事件に関わっていました。そんな中で、正平の活躍がもう少し欲しかったところです。「アルゴス・デモクラシー」では民主主義ではない、個人的な思いの大切さを見せてくれた彼でしたが、どうも薄い感じが・・・最終回も最後の台詞だけではなく、仁を信頼している相棒のような感じで、深く関わってきて欲しかったですね。


さて個性が豊か過ぎる怪獣や宇宙人たち。ここ怪獣というより「存在」といった方がしっくり来る面々も多めでした。個人的にはやはりブレザレンやプラーナといったかつてのQを思わせる怪獣たち、それとガストロポッドがお気に入りでした。話としては全体的に好きなので割愛。これもあれもと思っていたら、全部になりそうでした(苦笑。

終わってみれば全12話のネオQ。あれこれ感想を拝見してはいますが、決して好意的な意見ばかりではないのも分かります。個人的にも「ウルトラQ」の「セカンドシーズン」というのが引っかかる部分ではありました。ゴメスやリトラのような怪獣がバトルするわけでもなく、むしろ精神的にどうこうという話が多い。これはウルトラQではなく、違う作品として放送していたらより受け入れられたのかな・・・と思ったところで、そもそも「ウルトラQ」とは何か?と思いまして。
大きな怪獣が出てきて暴れる。これは「ウルトラQ」第1話。問題が解決せずに終わる。これも「ウルトラQ」。皮肉などが込められている。それも「ウルトラQ」。


「ウルトラQ」に決まった形なんて無いと思います。昔の「ウルトラQ」だって、怪獣が出てこない話はありました。ネオは明るさや楽しさといった部分は薄く、どちらかといえば暗めな雰囲気だったとは思います。けれども、それもまた「ウルトラQ」であって良いんだと、私はそう思います。この30分間、私は確かに不思議な時間を味わう事が出来ましたし。
時代が変われば怪獣も、宇宙人も、人間だって変わります。かつては2020年という未来の時間を持っていたケムール人も、今は更に未来の時間を歩んでいる事でしょう。彼らにも何か変化があったのかもしれません。

人間が変われば、心の中にいる怪獣も変わる。「ネオ・ウルトラQ」は間違いなく、新たな時代の「ウルトラQ」でした楽しめた3ヶ月間でした。ありがとうございました!
さて、5月からは総天然色ウルトラQ放送とのことなので、そちらの感想も書けたら書きたいですね。
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ネオ・ウルトラQ 第11話「アルゴス・デモクラシー」

2013-03-23 22:25:25 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第11話「アルゴス・デモクラシー」


子供の泣き声が聞こえる一室。そこは謎の武装集団に占拠されており、絵美子も人質として捕まっていた。子供たちが泣くのも無理は無いと言い返す絵美子だが、近くの人々に諭されてしまう。
外には武装した機動隊がついていることを不安に思う犯人グループの1人。ひよった一味の一人を殴りつけるリーダー・山口。
山口は明日の朝9時までに自分達の要求を呑まなければ、10分に1人ずつ人質を殺すという。既に手続きは始めているが、時間がなさ過ぎると村上警部は告げる。人質には手を出すなというも、それは警察の動き次第とのこと・・・
そこへ駆けつけた仁と正平。絵美子が人質になっているものの、このままでは手も足も出ない。


事件より少し前。「怪獣さえいなければ、あの子を亡くす事は無かった」母と子をこの手で必ず守り抜くことを決意した女性議員・唐沢。彼女は怪獣対策特措法を可決させるべく取り組んでいた。絵美子は人間から脅威と判断された怪獣もいたが、実はそうではなかった。マスコミや政治により、一方的に悪者に仕立て上げられた怪獣もいるとブレザレンやプラーナ、ガストロポッドの写真を見せる。中には恩恵をもたらした怪獣もいる。だが不謹慎だと、子供が怯えていると周りから責め立てられ、退出を余儀なくされる。
と、そこへ怪獣解放戦線が踏み込んできた。唐沢に銃口を突きつけ、彼女の主張が間違っていると山口。山口と子供たちを人質に取り、政府と交渉をするという山口。それを唐沢が受け入れると、山口はその場全員を人質にしてしまう。

彼らは怪獣との共存の道を模索すると名乗り、怪獣の生存権を認め、今後一切怪獣には危害を加えない事、怪獣対策部隊を解散させる事を命じる。その要求が受け入れられなければ人質の命は無い。その状況をテレビで見て、絵美子も人質に含まれていると報じられるや否や、現場へ赴く仁たち。


絵美子は全ての怪獣が脅威だとは思わないが、山口たちの行為は断じて間違っていると告げる。唐沢が「気が動転してるんです」と口を挟むも、山口は「貴様にこの女ほどの覚悟があればな」と唐沢に銃口を向け、選挙のためだけに立派な公約を掲げた彼女を批判する。人間ならば傷つけても良いのかと絵美子は言い、そんな彼女の名前を聞く山口。彼は時には実力行使しなければ社会は変わらないという。子供たちだけでも解放してと頼む絵美子だったが、その要求は聞き入れられなかった。


一方の正平は人ごみに紛れて警備網をかいくぐることに成功する。そしてビルの中に入ろうとドアを開けた瞬間、タバコを吸っていた戦線の1人・ノムラと鉢合わせてしまう。正平は人質の無事を確認すると、何故相手はここにいるのかと問いかける。ノムラは最初からこんな作戦が上手くいくとは思っていなかった。無関係な人は解放して欲しいという依頼に、自分に配慮してくれるかとノムラ。
だがそこへ仲間が現れ、ノムラを殴りつける。絵美子を返してくれるように告げる正平の声もむなしく、仲間の銃弾が正平を襲う・・・だがそれは、突如として空に現れた巨大な物体・アルゴスが展開した謎の壁アルゴス・ウォールによって阻まれた。

アルゴスは人類に興味を持つ者であり、言葉に耳を傾ける中でデモクラシーというものを知ったという。数千年前から人類が頼ってきたデモクラシーを見てみたいとアルゴス。
アルゴスは全国民に向けて投票を行うという。それは内閣総理大臣と、テロリストと人質の命の選択を迫る投票だった。もし実行されなかった場合・・・と、怪光線が海に向けて放たれた。その風圧はビルにまで届くほど強力なものだった。


テレビで状況を確認する怪獣解放戦線。もう嫌だと叫ぶノムラ。殴られてなお、世論が俺達を生かしておくわけが無いと山口に叫ぶノムラ。だがこんな状況でも絵美子は諦めない。何とかするためにも早く縄をほどいて欲しいという。
現場には屋島教授も訪れるが、アルゴスは虚像であり実体がないため対策は難しいという。国民が過激派たちの命を選ぶとは思えない。投票が殺人に繋がる事を人々がどう思うかだと仁は言うが、正平は絵美子だけ助かればそれでいいという。それはアルゴスの思う壺であるが、だからといって絵美子が助からなくても良いとは・・・

そして全国民による投票が開始された。民主主義に委ねられた人々の命。だがそれでもなお正平は諦めず、どこかへと駆け出していき、仁もまたどこかへと駆け出していく。
解放され、ビルの中を進む人々。子供の1人が転倒し、山口がその子を気遣うも、親によりすぐに引き離されてしまう。山口たちは入り口に張り巡らされたバリケードを解く。だがやはりアルゴス・ウォールは突破できない。
そこへ「助けたい人がいるんです!」と必死に警官隊を退けて正平が駆けつけてきた。絶対に助け出すという正平だったが、警官達に取り押さえられてしまう。なおも抵抗する正平に、どんな結果になっても人間をやめたくないと絵美子。

仁は民主主義のことなら僕が教えてやる、だからこんな事はやめるんだ!と叫ぶ。民主主義は不完全なイデオロギーであり、国民全員が知的で理性的であることでしか成り立たないと告げる。警官達に取り押さえられながらも、アルゴスとの対話を続ける。
恐怖に支配された政治を「衆愚政治」だと仁は言う。アルゴスは仁に国民というものを信じていないのかと問いかける。民衆を扇動ほど恐ろしいものはないと仁。それでは何故デモクラシーに固執するのかという問いに、それに変わるものを人間はまだ見つけ出していないからだと答える。欠陥があったとしても、今ある一番優れたものを使うことしか人間にはできないという。

アルゴスはこのような実験の末、人間は更なる優れた思想を獲得すると考えていた。仁は犠牲を伴う実験などいらないと言うが、アルゴスは民主主義自体が弱者を切り捨てる犠牲の思想では無いかと返す。


投票の結果を明らかにしてはダメだと仁。不完全なものを知恵で補いながら歩いてきた、そしてこれからも。人間は不完全で弱い生き物・・・それが分かっただけでも良いじゃないか!!と叫ぶが、アルゴスはただ笑い、投票の結果を待ち望む。人間を試さないでくれと懇願する仁だったが、今にも投票の結果は開示されようとしていた。

そしてアルゴスの笑いが響き渡った後、ビルの中の子供が持っていた風船が外へと転がっていった。それを見て、脱出する人々と、犯人達を逮捕する警官達。無事に解放された絵美子は仁と正平と再会する。

アルゴスはまたも笑う。「自分が用意した遊びはお気にめしたかな」と尋ねる。「またどこかで会おう」アルゴスはそういって姿を消した・・・


アルゴスの目的とは何だったのか。人間を絶望的に試す事が目的だったしても、その理由までは分からない。3人は絵美子の生還祝いを開く事に。そこで正平は民主主義は正しいのかと問いかけるも、アルゴスみたいなこと聞くなよと仁。ペンは剣よりも強し、絵美子がここにいる。それだけで十分ではないかと告げ、3人は杯を交わすのだった・・・


感想
今回登場した知的恐球アルゴス。人間に興味を持ち、観察していた巨大な存在でしたが、今回は彼?による一種の遊びのようなものでした。
過激派と人質の命か、総理の命か。全てを決めるのは国民全員による投票。それは民主主義によるものだとアルゴスは語っていました。国民全員が判断し、その上で決まった結果ならば受け入れるしかないのか・・・正平のように、そんなものを無視して誰か1人でも良いから助けたいと思う気持ちもあるでしょう。それは他人のことを考えない、自分勝手な発想かもしれません。ただそれは必ずしも間違っているのか。
民主主義で決まったのならば、受け入れるしか無いというのも違う気がします。国民の誰もが知的で理性的であることが理想であったとしても、感情がある限りはその理想は難しいでしょう。

よくある多数決なんかでは、例え1票の差でも多いほうが勝ちますが、それで決まったことが本当に正しいのかまでは分かりません。たった1票で負けた少数派は切り捨てられるしかないのか。誰もが納得のいく結論を導き出すことは出来ないのか・・・あれこれ考えても、恐らくは時間が足りないのでしょうね。いつまでも迷っているわけにもいきませんし。だからこその民主主義で納得してもらうしかない。けれども「参加の機会は与えた。意見は集めた。だから違う結果でも納得して」と言われても、簡単に受け入れられません。
今の選択をやり直せるなら、何度でもやり直す。けれどもそれが出来ないから、今の自分の判断を信じ、多数の意見を集めた手段を選択していくしかない。果たしてこの先、これに変わるものは生まれるのでしょうか。その時、民主主義を誰もが捨て去れるのでしょうか。

アルゴスのしかけたゲームは、人々を試すものでした。これまでずっと観察してきたアルゴスは、人間がこのような状況に陥った時にどうするかも知りたかったのでしょうね。初めから観察対象を殺すつもりは無く、ただその動向を楽しんでいました。
何となく、メフィラス星人を思い出しました。「地球をあげます」と1人の少年に言わせようとしたり、GUYSの絆を試したメフィラス星人。卑怯やラッキョウはありませんが、本当にあげちゃって大変な事態になったのはまた別のゾーンの話。こちらは侵略の意思がありましたが、果たしてアルゴスはいつまで人間を観察しているのでしょう。


もう1つ、ネオQ1話でも語られた怪獣の話。怪獣の中にはマスコミや政府によって悪者に仕立て上げられた存在もいる。それはジャーナリストである絵美子が1番良く分かっているのでしょう。ただ洗濯をしただけのブレザレン、地震を食い止めてくれていたガストロポッド、良い香水の原料を出してくれるセーデガン。いずれも良い怪獣たちでした。ところが「怪獣」というだけで嫌悪感を顕にする人もいました。ここら辺に関しては前回第10話でも書いたことなので省きますが、本当に恐ろしいのは「怪獣」というだけで勝手に悪と決めつける人間の方だと思います。ブレザレンが、ガストロポッドが何かあなた方に危害を加えましたか?

実際、凶暴な怪獣達だけを取り上げれば、いくらでも怪獣撲滅の扇動は出来るのでしょうね。怪獣は恐ろしい存在で、一見優しそうに見えてもいつか自分たちに牙を向くかもしれないと。そういった前例があるからこそ、人々はそれを信じてしまうのでしょう。そういえばウルトラマンヒカリは、後に地球を訪れるかもしれない青いウルトラマンのために頑張ってたっけ。

かといって、怪獣達を解放するためになら何をしても良いというわけではない。対話も全く出来ない、ただ暴れまわるだけの怪獣だっているはずです。そんな怪獣が出たとき、何も対策をしていなければどうなることやら。
闇雲に排除するだけではダメ。何も対策をせずに受け入れ続けるのもダメ。怪獣というのがどんな存在なのか、どんな種類がいるのか、きちんと相手を知っていくことが大切だと思います。「怪獣」という枠はもちろん、「○○星人だから悪い奴だ」と一くくりにしてはいけません。

怪獣よりも数が多いであろう人間。そんな大勢の人間達により、勝手に生き死にを決定される怪獣たち。民主主義というのなら、怪獣達にも自分達の未来について意見を交わさせる機会を与えるべきなのではないでしょうか。
今回の絵美子だけでも助けたいという正平の行動。私は批判できません。

正直難解でしたが、次回はいよいよ最終回。まとめは別で書こうと思います。
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ネオ・ウルトラQ 第10話「ファルマガンとミチル」

2013-03-16 22:08:21 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第10話「ファルマガンとミチル」

夜。ゴミが何かに向かって集まりだすのを1匹の犬が見ていた。しばらくしてそれはどこかへと歩き出していった・・・

とある学校。運動場を見つめる少女の名はミチル。ミチルは車椅子に乗っており、医者からは二度と歩けないと告げられたのだった。母は仁に相談したところ、仁は今ミチルは「否認」という状態にあると告げる。どうすれば良いのかと尋ねられた仁はいくつかの案を出すも、思春期後期にある彼女への治療は危うい心理療法になると感じていた。母はミチルの心だけでも救いたいと思っていたのだった。


ミチルは男子生徒に手を振るも見向きもされず、別の女子生徒の高跳びを眺めていた。ミチルがその場を離れて帰宅する中、ゴミが寄り集まって出来た怪獣・ファルマガンは、転んで車椅子から投げ出されたミチルを救う。「ほっといてよ!」とミチルは叫ぶも、ファルマガンは丁寧にミチルを車椅子に乗せたのだった。
そして散らばった輪切りの檸檬に手をかざすと、それは光と共に元の檸檬へと戻ったのだった。それを見たミチルは、転んだ際に壊れたクマのストラップを直して欲しいと言う。だがそれは歪な形に修復されてしまった「嘘つき・・・」と呟くミチルに「ごめんなさい」とファルマガン。
「練習は全てを超える」。足が治りさえすれば、自分もあの女子生徒のように跳んでみせる。そしてあの男子生徒とも・・・あのクマのストラップは、男子生徒からもらったものだった。

そんな事に思いを馳せるミチルの前で、ファルマガンはすっぱいレモンと、甘いハチミツをそれぞれ口にする。そんなファルマガンの様子を見たミチルは、クマのストラップを直せたら、美味しいハチミツレモンを作ってあげると約束し、互いに名を名乗るのだった。

そしてファルマガンはミチルとの約束を果たすために練習を始める。壊れたゴミを元に戻そうと、頭から煙が出るまで頑張るものの、どこか上手くいかずに咳き込んでしまう。


ミチルは仁の治療を受けていた。仁はミチルに、「強さは弱さから生まれる」と語る。「弱くなければ、強くなんかならなくていい」「自分が弱いと知っている人間ほど、優しくて強い」。そう語る仁に、ミチルは「今、凄く辛い」と、「いつかあんな時もあったって思えるかな」と問いかける。仁は「時間は君に味方する。必ず」と答えるも、ミチルは「いい加減なこと言わないでよ」と言うのだった。その時、仁は外に何かの気配を感じた。そこに転がっていたのは布切れと空き缶・・・


次にミチルがファルマガンと会った時に、ファルマガンはマフラーを首に巻き、風邪を引いたように咳き込んでいた。そしてファルマガンはミチルに練習の成果を見せる。再びいびつなクマのストラップを手に取り、今度は両手でそれを覆い、慢心の力を込める。すると見事、ストラップは元のクマの形に戻ったのだった。ミチルは大喜びし、今度約束のハチミツレモンを持ってくると告げるのだった。

そんなある日、ミチルは女子生徒と一緒に練習していた男子生徒と出会う。ミチルは男子に復帰後の練習メニューを考えてきたと渡そうとするが、女子はいい加減に現実見なよとそれを遮る。男子はミチルを可哀想だと思い、彼女の足は治ると告げたのだったが、女子は逆に残酷だと語る。そして男子が真実を告げようとしたものの、それを受け入れようとせず、その場を立ち去ってしまう・・・


仁はファルマガンに会い、ミチルとはもう会わないで欲しいと告げる。ミチルがファルマガンといることは、彼女に悪影響を与える。そしてファルマガンにとっても良くない影響を与える。壊れたものを直し続けた先に何があるのか。その夜。仁が帰宅した時、ミチルの母がミチルのことで駆け込んできた。


ファルマガンはミチルを小屋に誘い、車椅子テニスの雑誌を見せ、ミチルに「あまい」と言う。怪獣に説教なんかされたくない!と苛立ち、自分はこの人たちのように強くないと叫ぶ。
「練習」とファルマガンが言っても、ミチルは自分に構わないでと言う。ミチルは彼が自分じゃないことも、足が治らないことも分かっていた。「私には高飛びしか無いのに!」そう嘆くミチル。ファルマガンは「ミチル、わらう、えがお、かわいい」と告げ、ミチルの足は治すために足に手のひらをかざす。

「無理だよどうせ」とミチルが諦める一方で、ファルマガンは「練習、超える」と治療を始める。彼女の光がほとばしる中、ミチルはあまりの衝撃に気を失ってしまう。それでもなお、ファルマガンは治療を続ける。するとその頭部に亀裂が走り、そこに出現した空間は周囲の物を吸い込み、遂にはファルマガン自身も光となって消えてしまった。


無事足が治ったミチル。約束のハチミツレモンを届けにきたものの、ファルマガンはどこにもいない。と、そこへ仁が現れた。
ミチルはファルマガンだけが私を叱ってくれたという。心が繋がっていたら見た目は関係ない。「その言葉をファルマガンが聞いたら、きっと喜んだろうな」と仁。ファルマガンの能力は壊れたものを直すことだが、それには相当のエネルギーが必要だった。ファルマガンは自分の命と引き換えに、ミチルの足を治したのだった。それを聞いたミチルは、自分の足を叩き続ける。「いらないよ!一生歩けなくていい!だからファルマガンを返して!」そう叫ぶ彼女の手を止めた仁は君にはしなければならないことが一杯あると告げる。

仁の言葉を受け、ファルマガンの言葉を思い出し、ミチルは陸上部に復帰した・・・


感想
今回の怪獣は、見習い怪獣ファルマガン。手から放つ光で物体を修復する能力を持つ、心優しい怪獣でした。

もう足は治らないと宣告されたミチル。そんな彼女を可哀想に思い、心だけでも救おうとした母と仁。男子生徒は足は必ず治ると言ってくれたそうですが、女子生徒に言わせればそれは残酷なこと。治らないものを「いつか治る」と希望を与えることは、見方によっては残酷とも思えるのでしょうね。現実と向き合い、治らないということを受け入れた上で歩き出さなければならない。けれどもミチルにはその一歩が踏み出せませんでした。

誰もが彼女の心をいたわる中、唯一叱ってくれたのがファルマガン。「甘い」という言葉は、元々はハチミツをなめた時の言葉。しかしそれが、まさかミチルへの説教の言葉へと変わるとは思ってもいませんでした。治らないと知りつつも、諦めずに車椅子テニスで優勝する人もいる。
彼女と同じ立場にいない私が簡単に言える話ではありませんが、ファルマガンの言うような別の道もあるはず。簡単なことではないと思いますけれども、現実と向き合い、今の自分に何が出来るか探していかなければならないのかもしれません。

ファルマガンが望むのはミチルの笑顔。ただそれだけ。きっと車椅子テニスを紹介したのも、そこで活躍するミチルの笑顔を見たかったからなのでしょう。ミチルの可愛らしい笑顔のために、その命を使い果たしたファルマガン。事実を知ったミチルが足を叩くシーンはちょっと涙腺にきました。

仁が言っていた、ファルマガンがミチルに与える悪影響。仁にしてみれば、ミチルには今の状況を受け入れて欲しかったのでしょう。しかし優しいファルマガンがいては、彼女は現実を受け入れようとせず、いつまでも足は治ると信じ続けていたのかもしれません。もしかしてファルマガンが「甘い」と厳しく言ったは、仁の言葉を受けたからだったのかな。
「優しさ」とは甘やかす、優しくするだけではなく、時には強く厳しく接することも必要なのでしょう。それらが合わさる事で勇気のエクリプスモードに・・・はコスモスの話。

ミチルは足を怪我していた時は「足が治れば自分だって」「私には高飛びしか無い」と嘆いたいました。しかしファルマガンが犠牲となって足が治ると、今度は「歩けなくても良いからファルマガンにいて欲しい」と泣き出す。彼女は仁の言葉が無ければ、またそこで立ち止まってしまったでしょうね。
無い物ねだりを続ける彼女に、仁は「しなければならない事が一杯ある」と告げていました。ただこれも、危険な治療だったのでしょう。安易に厳しくしすぎれば、ミチルはファルマガンがいなくなった事を嘆き続けて、自分に負い目を感じてしまいかねません。そういえば心理カウンセラーだったなぁというのを久々に思い出しました(汗。

再び歩けるようになった今、彼女がやるべき事は泣いて自分の足を叩くことではない。足が治った現実と、ファルマガンがいない事を受け入れ、そしてファルマガンの望みであった笑顔でいること。できれば最後にミチルの笑顔が見たかったところです。あのちょっと曇った表情や天気は、まだ笑顔ではいられないけど、現実を受け入れ始めたという決意の顔なのかもしれません。


人間と怪獣は相容れない存在なのか。思えば今回、ミチルはファルマガンと出会った時から一度も驚いていませんでした。「あれ?驚かないの?」と思いましたが、そもそも何故怪獣が助けてくれたというだけで驚かなければならないのかと自問。怖い怪獣ばかりではなく、優しい怪獣もいます。助けてくれた相手が誰であろうと、それは自分を思ってくれたからこその行動。それを相手が怪獣だからというだけで突き放すのはおかしな話ですね。人間だろうと怪獣だろうと、見た目が違っていても、相手を思いやれば心は通じ合う。

そもそも、人間と怪獣の関係をおかしくしたのは人間の方だと思います。ブレザレンやセーデガンのように、人間に友好的な怪獣もいました。セーデガンは出自が不明ですが、ブレザレンは元からの怪獣っぽいですし、彼は自分の意思で洗濯業を営んでいました。それを見て「怪獣が洗濯!?」と恐れるのは専ら人間の方。いくら怪獣が友好的でも、人間が怪獣を勝手に怖がり、勝手に遠ざけてしまう。
確かに怪獣の中には凶暴な存在もいますが、人間も1人1人容姿が異なり、中には怖い心を持った人もいます。それでも人は人を信じて暮らしています。なのに何故怪獣を信じることが出来ないのか。多少姿形が違っても、犬や猫は受け入れて、怪獣だけが受け入れられない・・・人間はよく分かりません。



誰も彼もが強いわけではない。けれども、弱いからこそ強くなろうと思うことができる。「練習は全てを超える」。ファルマガンの練習は、全てを超えてミチルに笑顔を取り戻すことになりました。次回は1話で出たような怪獣の保護を訴える集団が出てくるようで。しかしでかい・・・
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ネオ・ウルトラQ 第9話「東京プロトコル」

2013-03-09 22:14:56 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第9話「東京プロトコル」

東京で地球サミットが開催された。議題は「温室効果ガスの削減」。削減目標が厳格に規定され、ノルマを達成できない国には規制がしかれ、更なる発展の妨げになっていた。この議定書は通称「東京プロトコル」と呼ばれており、テレビでも温室効果ガスの概況が放送され、99%になると交通規制や電力供給のカットが行われるという・・・


公園のベンチで本を読む少年ヒロシ。友人に野球に誘われたヒロシを見つめるのは父親のタケシだった。工場に戻ってきたタケシは社員とタバコを吸いながら、子供の時に、大人の事情も暑さも忘れて遊んでいた事を思い出す。
タバコは温室効果ガスに入らないかと心配する社員。タケシは環境破壊の前に俺の家が破壊されると嘆いていた。「もう限界かもしれない」。そう社員に呟くタケシだったが、その言葉はヒロシも聞いていた。

と、そこへ裁判所の職員が現れ、債権者からの依頼で突然仮差押が始められてしまう。「子供もいるだろうが!やめてくれよ!」というタケシの言葉も届かず、そのまま仮差押は続けられてしまうのだった。
その夜、タケシが酒場で飲んでいると電力規制が始まってしまう。謝る酒場の親父に対し、こんな風になってしまった社会が悪いとタケシは呟く。緊急停電が実施され、タケシの帰路は真っ暗になっていた。

ヒロシの友人にも夜逃げをする家族が現れた。7月のノルマは何とか達成されたが、国民の限界は近い。軽工業や重工業、特に第1次産業への打撃が著しい。インフラの頭打ちが排出量カットに一番効果的だとは言い、ノルマ不達成時の関税決定権の譲与などに比べれば現況の方がマシ。しかし今の状況はどう考えてもマシではなかった・・・


差し押さえられてしまったため、働く事が出来なくなったタケシ。息子とキャッチボールをし、本が好きなヒロシに、一杯本を読んで勉強し、良い所に就職して欲しいと父は願う。ヒロシから「うちも夜逃げするの?」と尋ねられたタケシは、息子を大丈夫だと優しく抱きしめるタケシ。するとその背後に突然、風船のような怪獣が煙突の上に現れた。
正体不明の怪獣の出現は、ノルマ達成の件でもめる会議室にも伝わることとなった。その怪獣は「プラーナ」と命名され、各地の工業地帯やビルの上に取りついていた。その頃から温室効果ガスの劇的な現象が始まり、会議室でも扇風機ではなく、エアコンが寒すぎるくらいに用いられるようになった。


1ヵ月後、プラーナはビルの屋上という屋上に増殖し、不気味な姿に成長していた。タケシの工場も注文がばんばん舞い込み、経営は順調そのもの。タケシはヒロシに本を読まずに工場を手伝えと告げる。工場が息を吹き返したため、古いバットなどを捨て、新しく好きなものを買ってやるといわれたが、ヒロシは古いグローブを大事そうに手に取るのだった。


更に1ヵ月後。プラーナは排出ガスを無尽蔵に吸収することが判明。東京プロトコルを守りながら経済発展が出来るため、通天閣の拡張工事、国民1人あたりへの10万円の支給、第五副都心構想、日経平均が50,000円を突破するなど、全てが順調にいっているかのように見えた。

ヒロシの友人の1人が、海外へ転勤した。ヒロシは残った友人から新しいグローブを使うように勧められるも、まだ使えると自分の古いグローブでキャッチボールを始める。何でも買ってもらえるようになったのは良いが、遊ぶのは2人だけになってしまった・・・
タケシは今日も忙しく働き、夜もご馳走を食べに行く事に。タケシはプラーナにおがみ、会議のメンバーは他国からガス削減の方法を尋ねられていた。プラーナは培養できないか、それよりも言い逃れた方が他国に差をつけられる、などと笑いながら話し合っていた。


更に更に1ヵ月後。上野動物園はパンダを10頭も借り入れており、パンダは30頭に。GDP、出生率も軒並み増加したのだった。
そんなある日、ヒロシがプラーナを見上げると、慌ててタケシにその姿を見せる。プラーナは真っ黒に染まってしまっていた。会議室にも即座にその事態が伝えられるが、「何か影響はあるのか」とメンバーは報告者に尋ねる。「何かあってからでは・・・」「有識者の見解では排除が打倒かと・・・」と告げるものの、今プラーナを失えば被害は大きい。結局、様子を見るという結論に達してしまった。プラーナはヒロシの家から見える個体だけではなく、各地のプラーナもまた同じように黒く巨大化していた。

「逃げようよ」「仕事なんてしている場合じゃないよ」というヒロシだったが、「仕事をやめてどうやって生きていくんだ!」と叫んだ後、「仕方ないんだよ、あれは」と呟くタケシ。人々が不安そうに見上げる中、プラーナの動きは活発化した後に停止。そして光ったかと思った次の瞬間、各地で一斉に爆発が始まった!

煙が晴れると、そこには火花を散らし、大きな花のような物を咲かせたプラーナが残っていた。まだプラーナが生き残っている事に安堵する会議室の面々。ただちに環境への影響は無いと判断され、人々はプラーナの開花を歓迎する。
・・・ただ1人不安げに見つめるヒロシを除いては。


感想
温室効果ガスを吸い込み続けたプラーナが爆発し、日本全体でガスの基準値が突破して、画面が真っ暗に・・・という展開を予想していたのですが、まさかの花咲きENDでした。これはちょっと予想外。


現実でも京都議定書で温室効果ガス削減云々というのは習いましたが、こちらはより厳しく行われている印象があります。ただ、今回の東京プロトコルでのノルマ達成。それは一体何を思って、あそこまで躍起になって達成していたのでしょうか。日本の発展、経済規制の回避、安定した暮らし。それを求める気持ちは分かりますが、誰一人として地球の環境を考えていなかったように思えます。あの中で、誰か1人でも地球を思って検討していた人物がいたのでしょうか。

プラーナ出現時に汗がたれたのは良かったですね。あれは暑さだけではなく、冷や汗、見ようによっては「やめてくれ!」という涙のようにも見えました。
ガスを吸収すると分かるや否や、人々はすぐにエアコンを使い出し、がんがんガスを排出し、まだ使える物を捨て、新しい物を買う。辛い規制が敷かれれば人は物や思いを大事にし、それが無くなった途端にやりたい放題。何とも極端な中、ヒロシだけは終始変わらず本を読み、使える物を大切にし、プラーナを楽観視していませんでした。タケシも良い父親かと思えば、工場が忙しくなった途端に本を読むのをやめて、工場を手伝うように指示するとはなぁ・・・


そしてプラーナの黒化&巨大化。焦ってその情報を伝えた女性でしたが、メンバーは「何か影響はあるのか」の一点張り。今問題がなければ、そう易々とガスを吸ってくれるような有益な生物を殺すわけにはいかない。それはガストロポッドの時もそうでしたが、「未来が証明してくれる」という事なのでしょうね。しかし、それを未来が証明してからでは遅い。
今回は幸いにも花を開いただけで終わりました。しかしあの花は「今は」環境に影響は無いのかもしれません。しかし、何故日本にだけプラーナが来たのか。何故ガスを吸ったのか。


プラーナの正体に関しては2つ考えが浮かびました。1つは星を自分の住みやすい環境に変えてしまう生物ではと思いました。自身の成長の助けとなる温室効果ガスがある日本に訪れ、そこを餌場として成長。そして花を咲かせて、そこから出る花粉が周囲の環境を一変させる・・・そんなレギオン草体のような存在。もしくはマンモスフラワーのように根を張って、人を襲うかもしれません。
あくまでも妄想ですが、あのプラーナが安全だとは全く思えません。例え今が安全であっても、この先ずっと安全とは限らない。プラーナの花が同じく温室効果ガスで育つのだとしたら、それが枯れる時を祈るべきなのでしょう。なのにそれに気づかず、今後とも延々とガスを放出し、プラーナがいなくなった時の事などまるで考えたく無いかのように発展し続けると。

もう1つは人間にやり直す時間を与えてくれた存在というものです。もうどうしようもなくなった時に現れ、自分がガスを吸っている間に何とか打開策を編み出すようにとのメッセージがあるのかもしれません。しかしいつまでも吸収できるわけではなく、限界もある。あの花は、もう手遅れだという意味があるのかも・・・


「仕方ないんだよ、あれは」という言葉には、全てを受け入れたという感情がこもっていました。仕事が無くなれば環境は良くなるが、仕事をしなければ生きていけない。温室効果ガスの削減は重要だが、ガスの排出無しでは暮らせなくなってしまうところまで、人間は到達してしまいました。
地球を思うか、個人を思うか。どちらが正しいかなんて選べませんが、少なくとも「今が良ければそれで良い」とだけは思いたくないものです。

次回は怪獣?ファルマガン登場。
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ネオ・ウルトラQ 第8話「思い出は惑星(ほし)を越えて」

2013-03-02 22:17:16 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第8話「思い出は惑星(ほし)を越えて」

流星群を待って屋上で望遠鏡を覗く正平と、それを隣で待つ絵美子。今回のりゅう座流星群が見れる機会は稀だという。そして絵美子は数々の流れ星を目撃するが、正平は一向に見つけられない・・・その頃BARトビラには謎の人物が来訪し、勝手に酒を飲んでいた。

聴いたことの無い言語を話す3人組。そこへトビラに現れた人物が、「猊下は殺させない」と同じ言語を使って現れた。3人組と交戦する人物は街を自在に駆け回り、障害物や車があってもお構い無しに逃走を続ける。映画館内でようやく1人まで減らし、その最後の1人も何とか倒す事が出来た。
「左派の動きは止められない」「転生から間もないが仕方が無い」と、その人物が所属するグループは謎の儀式を執り行う。穴に何か四角い物体を放り込むと、それは数々の惑星を越えて、地球のどこかに落下した。トビラに訪れた人物は「ハタ」と呼ばれ、転生者の入庁を早く行うようにと指示を受けた。

その頃1組の男女、浩一と敬子。浩一は敬子に寄り添い眠っていたが、何かぼんやりした顔をして目を覚ました。浩一は徹夜で医師になる勉強をしている青年であり、医師になるだけではなく危ない場所へ向かおうとしていると言う。敬子は「私より恵まれない子の方が大事?」と問いかける。浩一は「恵まれない子なんて言い方やめろよ」と苛立ち去っていった。

その頃ハタはトビラの前で眠りこけた正平を揺さぶり起こす。正平に丁寧な口調で酒を渡して欲しいと頼み込むハタは、惑星ギ・ノールから訪れた侍従武官だという・・・つまりは宇宙人。
正平はハタに酒を振舞うが、どこかハタのことを信じていない様子。どうやって来たのかを問うが、ギ・ノールと地球の技術には差があり、そこには地球人が自ら到達するべきだと言う。教えてくれないことを「ケチ」というが、ギ・ノールは寛大で礼儀正しい事で通っていると、ハタは怒りを顕にする。
ハタに謝った正平は、お金はあるのかと尋ねる。ハタは金銭は無いが銀を出して見せた。ハタは地球のウィスキーを、ギ・ノールの栄養物の代替品として飲んでいるのだった。そして帝都大学医学部の場所を尋ねるハタ。

そしてハタは浩一の前に現れた。浩一を猊下と呼び、命が危ないために急ぎ自分と来ていただきたいと告げる。しかしその話をいきなり信じられるはずもなく。浩一は何とかハタから逃げおおせ、大学の講義室へと入った。
DNAの抗議を受ける浩一の隣に座ったものの、そこへ「惜しいですな」とハタが現れた。精神は転移し、死は終わりではなく、命と共に大いなる意思があるというハタ。命が尽きた時に意思は、無作為に次の宿主を選び、その意思が宿った人物を次なる教皇として迎え入れているのだという。

大いなる意思は浩一に宿り、ギノール星教皇の転生者であるという。浩一は勘弁してくれよと苛立つが、ハタの姿や声は浩一にしか見えていない。なにとぞ星へと頼み込むハタを押しのけ、浩一はどこかへ去っていった。


ハタは屋上で仲間と連絡を取っていた。正平にギノール星の現状を告げるハタ。前の教皇が崩御されて以降、教皇の御心で結ばれていたギ・ノール星は民族紛争が絶えなかった。教皇の存在に異議を唱える左派の存在もいるため、何としても浩一を守らなければとハタ。だが正平はまだ信じようとせず、「よく出来てるなぁ」とにやけながら、拉致なんて寛大なギノール星人のすることではないと説得していた。その頃、ハタの所属するグループは、左派の襲撃を受けていたのだった・・・


浩一は敬子にもたれかかっていたが、やがて目を覚まし、あながちハタの言う事が御伽噺では無いと感じていた。その様子を後で見つめるハタと正平。浩一はいつも1人で考え、答えを出していた。今回も浩一は「国境なき医師団」に参加しようとしていたのだった。敬子は「考え直してくれない?」と問うも、浩一からの答えは無い。自分はそこまで着いていけない。浩一の行く先について敬子は何も分からない。敬子は日本には浩一を待つ人がいるというが、浩一以外にも医者は大勢いる。日本には私がいると敬子が言っても、浩一は心の中で行かなければならないと声がするという。

正平は仁や絵美子にもハタを紹介する。ハタは地球時間でいう所の479歳。ギ・ノール星の出生率を問おうとするが、今日は堅い話は無しだと酒を酌み交わす。酒を飲み、歌を歌うハタ。聞いた事は無いが、その歌声に遠いふるさとの景色を思い出す仁。
ハタは正平に、猊下の、浩一のあのような顔を見た事が無かったという。この星こそ猊下のような人間を必要としているのかもしれない。我々の問題は、我々で解決しなければならないのか・・・そう思っていると、唐突にハタは何かを察知してその場を飛び出していった。


その頃浩一と敬子は2人きりで話をしていた。浩一は敬子は連れて行けないと告げ、その場を立ち去る。敬子もその後を少し離れて着いていくが、そこへギノール星の左派が現れた。間一髪ハタが浩一を守り、浩一に逃げるように告げる。だが敵は複数。ハタだけでは逃げる浩一と敬子を守りきれない。

左派の刃が浩一に迫るが、それをハタは身を挺してかばった。その様子を間近で目撃した正平。ハタは浩一に立派な医師になり、地球人を救ってくれるように告げる。最後の最後で正平もようやくハタが宇宙人だと信じることが出来たが、浩一に抱かれてハタは消滅してしまった・・・


後日、ギ・ノール星の夢でも見ていたかいと浩一に語りかける正平。正平は何かの装置を取り出し、ハタが何かを受け取り、歌を歌う姿を浩一に見せる。輪廻とかは信じていないが、何故か悲しい感情がわきあがる浩一。もしかしてそれが前世の記憶かもしれない。浩一は敬子の肩に、そして胸に顔を埋めるのだった・・・


感想
祝!総天然色ウルトラQ、テレビ初放送!時期は5月だそうで。個人的にウルトラQは白黒だからこその良さがあると思うのですが、見ないうちに否定をするのも何ですし、カラー版にも期待するとします。

さて今回は1人の地球人を、自分の星の教皇の意思が宿った後継者として迎えに来た宇宙人の話。遺伝するのは血脈に刻まれた因縁特徴だけではなく、その意思もまた遺伝するというのがギ・ノール星人のハタの言葉。今回浩一が国境無き医師団に志願したのも、そういった教皇の意思がどこかで受け継がれていたのかもしれません。地球に新たに転生したからには、地球で出来る事を成す。日本には教皇の力が無くても助かる人は大勢いるかもしれないが、その他の地域ではそうとは限らない。人が行かない所へ、より多くの人を救うために立ち上がる。教皇はきっと誰よりも民の幸福を願った人物なのだろうなと。

ただいきなり教皇がどうのと言われても信じられるはずも無く。正平ならば・・・と思いましたが、これまで怪獣やら宇宙人を見ているのにも関わらず、ハタが宇宙人であるとはなかなか信じようとしていませんでした。まぁ見た目人間だしなぁ・・・

もちろん意思が遺伝するというのはハタやギ・ノール星の考えであり、それが正しいのかどうかを証明するのは難しいと思います。しかし、それを信じて疑わないハタたちの行動を見ていると、実際にそうなのだろうと感じました。浩一が教皇の意思を受け継いでいるか分からないと思っていたのでは、自分の命をかけて誰かを守る事なんて出来ないと思います。言葉ではなく、その行動でハタは真実を見せてくれました。

ギ・ノール星の問題は、自分達で解決しなければならない。もちろん浩一が教皇として戻れば事態は治まるかもしれません。しかしいつまでも1人の教皇に頼っていかなければならないのか。教皇が死んでから行動するのではなく、生きているうちに教皇の意思を引き継ぐ人物もいるのではないでしょうか。ギ・ノール星に、立派な後継者が生まれると良いですね。


「国境なき医師団」に参加する事を決めていた浩一に対し、「私より恵まれない子が大事?」と問いかけた敬子。浩一は敬子のその問いかけそのものではなく、「恵まれない子」という発言に苛立ちを感じていました。
「恵まれない子」というのは勝手な言い方だなと感じます。「恵まれない子に愛の手を」と言われて想像する風景もありますが、それはあくまでも私が思ってしまった子供の姿であり、その子供が本当に恵まれていないかどうかは、その子供にしか分からないのでは。
「恵まれない」というのは「自分は恵まれている」という思いがある気がします。一体何を基準にして「恵まれない」と指し示しているのでしょうね。金があれば恵まれているのか、医療制度が完備していれば恵まれているのか・・・恵まれている・いないは見た目だけでは決して判断できないものだと思います。
とはいえ、そういった思いから発展する、様々な活動に関しては悪く言うつもりは全くありません。「『恵まれない子』なんて言い方をするな!」と言う事は簡単に出来ても、実際そういった子供たちを救っている活動は簡単に真似できるものではありませんし。「恵まれているかどうかは本人にしか分からないから、助けるのはよそう」というのも違う気がします。表現に思うところはあれども、それは誰かを救いたいという思いに変わりありませんし、立派な活動だなと思います。


思い出は惑星を越えて。ウルトラQというよりは後のウルトラシリーズに出てきそうなサブタイトルでした。聞いた事も無い、会った時間もほんの数十分。けれども彼の行動や歌は、何故か浩一の涙を誘いました。そこには浩一の中にいる、教皇の感情も含まれているのでしょうね。自分に着き従い、迎えに来てくれた上に、命を守ってくれたハタ。彼との様々な思い出が、教皇から浩一に伝わり、涙となったのでしょう。ハタの願いどおり、浩一には立派な医師となってもらいたいです。

さて次回はバルンガのような怪獣プラーナ登場。「人間にとって救世主のような怪獣」は、大体嫌な方向にしか話が動かない気がします(汗。
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ネオ・ウルトラQ 第7話「鉄の貝」

2013-02-23 22:14:11 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第7話「鉄の貝」

千葉県房総沖。ここで漁をする人々は、魚が全く取れない現状に悩まされていた。しかし装置を見てみると、確かに何かがそこにいる。しかし「おやっさん」と呼ばれた男性はあの辺りに魚がいた前例が無いといい、それはおそらく別の物だと判断する。果たして海底には一体何が・・・人間には計り知れない現象が今、始まろうとしていた。

神奈川県三浦海岸近辺。そこに住む少女は1人、庭で遊んでいた。父親は飲んだくれており、母親は既に他界していた。父は娘に金を渡して酒を買ってくるように命令する。重たい酒を抱え、家までの帰り道に浜辺を歩く少女。彼女はそこに1匹の大きな貝を発見する・・・

一方茨城県の山中。楽しそうに山を登る人々の後を、必死に歩いていく絵美子。先頭を歩く人々とは打って変わって、辛そうな絵美子は仕事のためと必死に山を登る。が、そこで人々の叫び声が聞こえてきた。慌てて駆けつけると、そこには謎の貝がうごめいていた。絵美子は落ち着いてその貝を写真に撮影するも、その正体は分からないまま。写真撮影中、何故か熱くなって来た・・・

貝獣はガストロポッドと命名され、全国に大量発生していた。屋島教授に連絡し生体研究を依頼したが、果たしてガストロポッドの目的は何なのか。
屋島教授も研究には手こずっていた。絵美子が発見していた時には熱を発していたが、今は発していない。特定の状況下では高温を発するものの体は高温に耐えうるように作られていた。
そんな中、福田教授という人物がテレビでガストロポッドと火山分布の関係を語り始めていた。出現地と火山分布は一致し、地殻に影響を与えて地震が発生すると語る福田教授だが、屋島教授はその考えは早急すぎると判断していた。屋島教授は政府の研究チームにも加わらず、独自に調査する事を決めていた。

海中ではガストロポッドの熱が中和されていたが、陸上では中和するものが無い。放置すればいずれ巨大地震に繋がるというのが福田教授の思う事実だった。対策のために特殊兵器を開発する福田教授。万が一にも失敗は無いと語る福田教授の姿を、少女はテレビで黙ってみていた。そして少女は誰にも気づかれないようにカモフラージュしたガストロポッドに駆け寄り、私が守ってあげるからと話しかける。


ガストロポッドは熱を発するのではなく、熱を吸収する。熱エネルギーを食べると一時的に体温は上昇するが、また元に戻る。初めに地殻変動があり、熱エネルギーを食べるためにガストロポッドは地上に上がった。故にガストロポッドは地震を引き起こすのではなく、地震発生を防いでくれている。一連の地殻変動はガストロポッドのせいではないというのが屋島教授の判断だった。
そこへ科学省から人々が訪れ、ガストロポッドは1匹残らず駆除するようにとの命令が下ったと告げる。丹下准教授によれば、福田教授は何か不都合な事実を隠している。それを明らかにするべく、屋島教授たちは車を走らせる。

山梨県の山中。そこでは福田教授の指揮の下、ガストロポッド駆除作戦が始められようとしていた。屋島教授たちが到着する前に、山に群がったガストロポッドに対し、特殊兵器による駆除が始まってしまう。屋島教授たちは内閣府からの許可もあるとの書類を見せ、急ぎ現場へと向かった。
だがその間も大規模な駆除は進んでおり、ガストロポッドたちはガスにより苦しんでいた。出力を上げて一匹残らず駆除するように指示する福田教授を止める屋島教授。だが福田教授は屋島教授の言う事を聞かず、自分は巨大地震を防いだ英雄になる、未来が証明してくれると叫び、屋島教授たちを追い出してしまう。「未来が証明してからでは遅い」という仁の声は届かず、ガストロポッドたちは1匹残らず駆除されてしまった。

事実がまかり通らない事のもどかしさを仁は感じていた。九州でも駆除が終わり、関係各所や出版社も福田教授の言葉を信じきっていた。
何も起こらければ良い・・・その時、仁たちのいるバーや、あの少女が暮らす地方でも地震が発生していた。少女は苦しそうなガストロポッドに海水を与えようとするが、ガストロポッドは死んでしまう。その体から僅かに蒸気を発しながら・・・だが、ガストロポッドからは新たな命が生まれたのだった・・・


感想
ウルトラQで貝と言えばゴーガですが、こちらは良い貝獣でした。あちこちに出現したガストロポッドは体から発する熱により地震を引き起こすと考えられていたものの、事実はそれと真逆。ガストロポッドは熱エネルギーを食べ、地震を防いでくれていました。しかしそんな事実を叫ぶ仁たちの声は誰にも届かず、発生してしまう地震。最後にガストロポッドは卵を産みましたが、あの卵が無事に成長するのかどうか。

地震が起こった際、少女とガストロポッドの周囲は揺れていなかったように思えます。もしかしてあのガストロポッドが熱を吸い取ってくれたから、あの周りだけ揺れなかったのかもしれませんね。メカニズムに関して細かい事を言い出したら夢も希望も無さそうなので、そこら辺はこの場合置いておきましょう(汗。
おそらく海辺付近では熱エネルギーをあまり取り込むことが出来なかったため、あのガストロポッドは亡くなったのでしょう。浜辺から殆ど動かなかった事からすると、元々体力があまり残されていなかったのかも。最期の描写は僅かに得た熱エネルギーを次世代に託した・・・という描写だと受け取っています。

あの少女はテレビで福田教授の言葉を聞いていながらも、自分が信じたガストロポッドのために奮闘していました。例え地震を引き起こす生物だと言われようとも、その命を守ろうとする。普通に触れていましたから、ガストロポッドが熱を出しているわけでは無いという事にも気づいていたのでしょうね。
あの親ももう少し娘の事を考えてやれば・・・まぁ、地震が起こった際に娘を心配していた姿は良かったですけども。


一方の仁たちは、事実がまかり通らないもどかしさを感じる事に。どれだけ事実を叫んでも、既に広まってしまった考えには対抗できない。いずれ屋島教授が正しい結論にたどり着くと悟ったのでしょう。先手を打った福田教授の推論はあっという間に広がる事に。

国を救った英雄になる。どちらが正しいかは未来が証明してくれる。それに対する仁の「未来が証明してからでは遅いんです!」という台詞が印象的でした。未来で「ガストロポッドは地震を防いでいた事が分かりました」などと言われても、既に起こってしまった事は取り返しがつきません。福田教授を批判しても後の祭り。何故あの時ああしていなかったと考えても、殺してしまったガストロポッドは戻ってこない。そんな事実を証明されてからでは遅すぎる。
屋島教授が指摘したように、福田教授は事実に気づいていたのでしょう。それでも後には退けなかった。屋島教授に先を越されまいと判断を急ぎすぎた結果があの未来。

事実を知って尚、間違った自分のやり方を推し進める。間違った判断で描いた未来が、今の判断の正しさを証明してくれるわけがありません。自分を信じるのも大切ですが、自分の間違いを認めようとしない彼に、未来など託せません。福田教授は英雄になれずに終わったわけですが、「駆除していなかったらもっと大きな地震が起こっていた」とか言い出しそうで嫌ですね・・・
「何も起こらなければ良い」というのも仁の言葉。国が救われたのなら、福田教授が英雄になっても構いません。方法は違えども、仁たちや福田教授が証明しようとしたのは同じ「何も起こらない」という未来なのですから。


それにしても、あの卵を父親が発見したらどうするのだろう。果たして娘の言葉を信じるか、学者の言葉を信じるか・・・気になります。
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ネオ・ウルトラQ 第6話「もっとも臭い島」

2013-02-16 22:13:03 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第6話「もっとも臭い島」

絵美子が持つ悲しい恋の香水「セーデカンヌ」。それは独特の香りがしており、どうやら曰くつきだという・・・


1人の女性、優希が目を覚ますとそこは浜辺だった。周りには誰もおらず、叫んでも彼女の声は誰にも届かない。森の中を探索して抜け出た先もまた浜辺。優希は絶海の孤島に流れ着いてしまったのだった。
夜になり、手持ちのライターで枝に火をつけようとするが、なかなか火がつかない。するとその時、物音と共に強烈な臭いが襲ってきた。臭いに耐えながらその方向へと進むと、そこには火がつきそうな葉っぱなどが置かれていた。優希は何とか火を点けることに成功するも、彼女を見つめる大きな2つの目が・・・

3日目。空腹の彼女のもとに、物音と共に食べ物が届けられた。だがまたも強烈な臭いが襲ってきた。思わず吐きそうになる臭さの原因は、1体の怪獣が発していたものだった。逃げる優希を追う怪獣。その最中、優希は膝に怪我を負ってしまう。彼女の怪我を見た怪獣は、鼻をこすって何かのエキスを指につけ、それを傷口にすりこむ。始めは嫌がっていた優希だが、傷の痛みはあっという間に引いていたのだ。
一緒に果物を採取し、怪獣の隣で果物を食べる優希。怪獣の臭いは相変わらず強烈なため、優希は海で洗ってあげようとするも、どうやら怪獣は水が苦手な様子で、海に近づこうとしない。優希が水をかけると驚く怪獣。
その夜、優希は怪獣の名前を尋ねる。くぐもった声の中で聞き取れた名前は「セーデガン」。自分の名前は優希だというと、セーデガンも「ユウキ」と聞き取れる言葉を何度も発する。


そして7日目。一緒に昼寝をしていると船がやってきた。優希が懸命に声を上げると、その船の船長は気づきこちらへやってくる。だが船が島にやって来るのと同時にセーデガンは姿を消し、優希はセーデガンの臭いが染み付いたまま元の暮らしへと戻って行くのだった。

だが帰宅後、セーデガンの臭いが染み付いた服から、まったく別の匂いがすることに優希は気づく。研究所でも未知の匂い成分が発揮された事が判明し、優希は再びセーデガンの元を訪れる。
セーデガンは優希の物を並べ、まるで帰りを待つかのように浜辺に座っていた。優希はセーデガンからエキスを分けて貰い、それを新たな香水「セーデカンヌ」として発売したところ大ヒットし、売り切れる店も現れた。原料は一切秘密にしていた優希だったが、その一方ではセーデガンの住む島を何とか買い取ろうと動いていた。


優希が再びセーデガンの元を訪れようと準備をしている最中、情報収集衛星がセーデガンを発見してしまう。セーデガンが海に近づこうとする様子が撮影されていた。政府は自衛隊に出動命令を下し、更には異様な姿をしており、有毒ガスを発生させている怪獣への武器の使用も認められてしまった。
優希も慌ててその島に駆けつけ「悪い事をしていない」「そっとしておいて」「有毒ガスなんてない。世界で一番良い匂い」という優希の懸命の説得も空しく、出現したセーデガンは一斉射撃を受けて絶命してしまう。

「ユウキ」と呟き亡くなったセーデガン。自衛隊が帰還する中、優希はセーデガンの亡きがらに抱きつき泣き続けた。その顔がセーデガンのエキスや血にまみれるのも構わず。
・・・だが、セーデガンが亡くなった後もその香水は発売され続けていた。また原料の調達をお願いしますと頼まれた優希の口調はどことなくゆっくりに、そして鼻はセーデガン同様に大きくなっており・・・


感想
匂いと臭いの第6話。強烈な臭いを発する悪臭セーデガン。その心は優しく、鼻から出るエキスは傷を癒し、そして大人気香水の原料にもなりました。最初はその強烈な臭いや、「怪獣」ということで逃げた優希。しかしセーデガンが優しい怪獣であることを知ると、臭いの事を口に出すものの、嫌な顔1つせずに笑顔で過ごしていました。

しかしセーデガンの優しい心を知る優希にとっては良い怪獣でも、何も知らない人々からすれば危険な存在。強烈な臭いを発する巨大生物。確かに危険だと思うのも無理はありませんが、何も即殺害しなくても・・・自分達とは違い強烈な臭いを発するから、巨大生物だから。そんな理由で怪獣を殺すのは人間の勝手すぎます。
かといって、セーデガンは有益な怪獣だから生かしておこうというのも違うと思います。人間にとってどうか、ではなく、セーデガン自身を知ることが何よりも大切でしょう。


ラストではセーデガンにすがりついた優希もまた、セーデガンのような口調と鼻になっていました。もしかすると、あのセーデガンも本来は人間だったのではないでしょうか。珍しく怪獣が自分や相手の名前を口にしていましたし、優希と同じ理由であの島に流れ着き、その前のセーデガンと出会い・・・というような流れがあったのかもしれません。セーデガンは、背中からのラインで「ちょっとだらしないレッドキング」という印象を受けました。

どんなに強烈な臭いでも、素晴らしい未知の匂いに変わることもある。劇中で香水を使用していた女性たちですが、彼女たちがその原料を知ったらどうするのでしょうか。「コピ・ルアク」というコーヒーを思い出しました。


ニルワニエ同様、怪獣だからといって決して悪い存在ばかりではない。ブレザレンのように有益な怪獣だけが生きていても良いと許されるのもまた間違っていると思います。
優希は例えセーデガンが香水の原料にならなかったとしても、懸命に自衛隊の行動を止めたことでしょう。優希の帰りを待ち、再会を喜んだセーデガン。彼が海に向かおうとしていたのも、優希に会いに行くためだったのではないかと。しかしおそらく、その場合でも彼は射殺されてしまっていたのでしょうね・・・本当、セーデガンが人間に何をしたのか。怪獣はありのままの姿で生きていることすらも出来ないのか。


「匂い」と書けば良い香りに。「臭い」と書けば悪臭に。「におい」という言葉1つにも様々な意味があります。ただそれは人によって異なるもの。男性の私からすれば、女性の香水などは時たまきつくて、辛い時があります。
もしかして怪獣もにおいと同じものなのかもしれませんね。人によって感じ方が異なり、始めはきつくても、一緒にいるとその感じ方も変わってくるかもしれない。ただ「慣れない」というだけで拒絶してしまうのも考えものかもしれません。


自分の鼻からセーデガンと同じエキスを採取し続ける優希。彼女もいずれ、あの島に渡ることになるのかもしれません。
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ネオ・ウルトラQ 第5話「言葉のない街」

2013-02-09 22:18:28 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第5話「言葉のない街」

3人で旅行する事になった仁、絵美子、正平。正平は楽しそうに撮影をするが、その傍らで仁は車の整備にかかりっきりだった。ようやく整備が終わり、仁は再び車を走らせる。


旅行に出かける前。絵美子はエピゴノイドと接した人物にインタビューをしていた。その女性が言うには、エピゴノイドは何も言わなくても全て分かったという。完全に自分の事を理解してくれるからこそ、注文などしなかった。だがその男性は突然姿を消してしまった。エピゴノイドは年を取らず、永遠を生きていく。女性は1年ごとに年を重ねていく。しかし何故、姿を消したのか・・・自分があの人だったら分かってあげられるのにと言い残し、女性は去っていった。
エピゴノイドと呼ばれる存在である2人の人物、女性のメリと男性のハシオ。彼らの元に男性が尋ねてきた・・・

一方、仁の元にも旅行の前、田所ハルヒコという人物が現れた。彼の父・田所博士はエピゴノイドと呼ばれる人造人間を作り出した張本人だったのだ。
発売されたエピゴノイドは、人間の気持ちを完全に察する事が出来る。高価ではあったが孤独を癒すため、メイドとして雇うため、恋人として・・・だがエピゴノイドはその後、1体残らず姿を消し、田所博士の下へと戻ってきた。残された人たちは困惑し、言葉も出なかったという・・・

ハルヒコによれば、メリとハシオというエピゴノイドの素体がおり、仁に2人に会って欲しいと頼みに来たのだった。父と同じくエピゴノイドの研究をしているハルヒコは、彼らに使われているヒックス流子電池の寿命がもうすぐ切れると計算していた。そこで仁に自分の下へ来るように頼んで欲しいというのだ。しかしそれならば、何故自分で行こうとしないのか?

田所博士は最期を明かさず消えていったという。仁はハルヒコに「もしエピゴノイドたちが田所博士を手にかけたのではなかったら、直すつもりはあるのか」と尋ねる。ハルヒコはさすが屋島教授が見込んだだけのことはあると賞賛し、復讐に人生を捧げるつもりはないと仁に告げるのだった。


そして現在。仁たちはかつての田所博士の研究施設であり、エピゴノイドたちが暮らす施設に旅行に来ていた。そこで食事を注文した3人だったが、途中で正平は別の物が食べたくなった。そう思っていると、彼の前には注文したものではなく、食べたくなった物が運ばれてきたのだ。どうやら正平はエピゴノイドに関して知らされていないようで。
正平が疲れていると、そこには目の前には疲れを癒すための食事、そして彼の肩を揉むメリの姿があった。

一方の仁と絵美子は、田所博士の墓前にいた。「これは・・・」と尋ねても、2人のエピゴノイドは何も話さず、2人の前から去っていった。
正平はメリとハシオは素敵だが、人間らしくないと感じていた。そして声を聞いていない事に気づいたのだった。そこで仁は正平に、コミュニケーションにおける言語の重要性がどのくらいかと尋ねる。コミュニケーションによる言葉の役割は僅か7%、口調が38%、そして身振り手振りが55%の重要性だと仁は告げる。それでも正平は、2人の声が聞きたかった。


正平がシャワーを浴びたいと思っていると、メリがバスローブやタオルを運んできてくれた。そんな彼女に何か言ってくれませんか?と尋ねるも、メリはただ笑うだけだった。そこへハシオが現れ、2人はどこかへ行ってしまう。去り際、メリの首筋にある模様を見つけた正平。
そして正平は仁たちに旅の本当の目的を尋ねる。仁は田所博士の本当の目的が完全の愛の研究だったと話し始めた。人の心の奥底まで知ることが出来れば、真の愛が見つかるのではないかと博士は考えていたのだった。そこで博士はメリとハシオに愛し合うように告げ、ハシオからメリに花を手渡させるも、メリは花瓶を用意し、田所博士に渡すだけであった。

メリとハシオのキスに喜ぶ田所博士だが、仁は2人にとっては残酷なものだったのではないかと語る。男女の愛は「わからない」という事が前提にしていないかという。分からないからこそ愛し合うことが出来る。完全に心を理解してしまうと、そこに相手を思いやる気持ちが生まれても、恋愛感情が芽生える事はなかったのだ。田所博士が愛し合うように命じても、メリとハシオは機械的にキスをするだけだったのだ。2人を縄で結び付けても、彼らの表情は一向に変わらない。

人間に引き取られたほかのエピゴノイドたちはどうだったのかと正平。仁はもっと悲惨だったのではないかと推測する。どんな良い人の中にも悪意があり、それを毎日覗き続ける事には耐えられなかったのでは、だからこそ人間と関わらなくても良いように、この街を買い取ったのではないかと仁。
正平はエピゴノイドたちの死を知り、焦りを感じるも、絵美子はエピゴノイドたちは死ぬわけではないという。それに、動き続ける事がエピゴノイドにとって幸せとは限らない・・・


夜。絵美子はその思いを言葉にしてメリとハシオに「田所博士を手にかけたのか」と尋ねる。するとメリは人間は何かを信じなければ生きていけないと話し出した。例えそれが偽りでも、時に人間は猛進し、時に都合のいいように事実を曲げてしまう。するとハシオが「僕らは博士を殺めてはいない」と口にする。
その言葉に対する絵美子の心を読んだメリは、絵美子が疑った事を言い当ててしまう。だから何を言っても無駄であり、人間は自分の信じたいことしか信じようとしないとハシオ。やってないならやってないと言えば良いと怒る絵美子だが、メリは絵美子のような人間が羨ましいという。

仁は2人に僕の心を察して欲しいと告げる。仁の心を読み取ったメリは、私たちのささやかな願いを聞いて欲しいという。その願いは愛し合うこと。何故出来ないのかという理由も分かっていた。それを解消するためには、不完全ならば良いのですとメリ。メリとハシオは、相手の気持ちが分からなくなる能力を願うのだった。

仁はその願いをハルヒコに伝えると言い、2人は仲間達と相談すると言って去っていった。不完全でありたい、人の心が分からない機能が欲しい。3人が去った後、エピゴノイドたちの寿命は切れ、その場に固まっていた。しかし街は前と変わらず静かすぎる時が流れていた・・・




感想
やっぱりdf寄りな雰囲気。

さて第5話は人造人間エピゴノイドが登場。心を読み取る事が出来る彼らは田所博士によって作られ、富裕層などに販売されたものの、自分の意思で田所博士のところに帰還。そして田所博士は彼らを用いて完全なる愛の研究に没頭するも、どうやっても愛は生まれず・・・

仁曰く、男女の恋愛は「分からない」という事を前提としているそうな。自分はあの子を好きだが、相手はどう思っているのだろうか。こういった行動をしてくるという事は、自分を好きなのではないか。しかしこの間はあんな事を言われたし、やはり自分は嫌われているのか・・・などといったモヤモヤも、「分からない」からこそ生まれてくるものですね。もし相手の感情を完璧に理解できたとしたら、「あの子は自分を好きだと思っているから付き合おう」や「あの子は自分が嫌いだから告白しても無駄だ」となってしまうと。

思いが通じ合うのは便利にも思えますが、人間の心は相手への清い心だけでは無い。あいつが憎い、あいつが妬ましい、どうして自分だけ。そんな暗い感情までも読み取った上で、果たして愛情を保ち続けられるのかどうか。愛情でないにしろ、一緒に暮らす上では苦痛でしょうね。街を歩けば、すれ違った人の数だけ悪意を聞く事にもなりかねないのですから。

思いが完全に伝わると、思いやる気持ちは生まれても愛情は生まれない。言葉にしなくても伝わる仲、というのには愛情を感じますが、それはこれまでに様々な意思を伝えてきたからこそ生まれるものでしょう。メリとハシオのキスには、どこか機械的なものが感じられました。おそらくは「博士が自分達がキスをする事を望んでいる」と読み取った上での行動だったのではないかと。
愛情は自ら与え、そして誰かから与えられるものだと思います。「あなたが愛して欲しいと思っていたので愛しました」というのは愛情ではないでしょう。


コミュニケーションで重要なのは身振り手振り。確かに言葉が通じなくても、自分が焦っている、どこに行きたいというのは身振り手振りで現せますしね。言葉の重要性は僅か7%。それでも、口調や身振り手振り以上に声や手話などの言葉を信じたくなるのは何故なのか。

ようやく言葉を口にしたメリとハシオ。しかし彼らの口から出たのは、人間への諦めの言葉でした。何を言っても人間は自分の都合の良いように解釈してしまう。「殺していない」と言われても、心のどこかではそれを疑ってしまう。信じる心も持ち合わせているのでしょうけども、エピゴノイドたちにはその全てが伝わってしまうと。

今回、ハルヒコは自分でエピゴノイドたちの元へ1度は向かったのでしょう。しかしそこで、エピゴノイドたちに自分の心を見抜かれてしまったために、仁に依頼したのではないかと思います。「もしエピゴノイドたちが田所博士を手にかけたのでなければ~」という台詞からも、そんな雰囲気が感じ取れました。

ハルヒコは仁に「復讐に人生を捧げたりはしない」と語りました。最初見た時には「それなら大丈夫か」と思い、ラストでエピゴノイドたちが止まっていたシーンの後、ハルヒコが直してくれると信じました。しかし見直してみると、自分が都合の良いほうを選んでいたんだなと思わされました。おそらくハルヒコはエピゴノイドが父を手にかけたと思う気持ちがあり、だからこそエピゴノイドたちはハルヒコの元に行かなかったのではないかと。

ハルヒコが復讐をしないと信じるのも、疑うのも、不完全だからこその感情。仁はメリとハシオに心を読んでもらう際、ハルヒコを信じて欲しいと思ったのかな。ハルヒコは復讐するかもしれない。けれども復讐はしないといった「言葉」を信じたい。例え都合のいい解釈になってしまうとしても。
「Aさんの言葉を信じる」「Aさんがこういう口調で話していたから信じる」「Aさんがこういう身振り手振りをしていたから信じる」。コミュニケーションの上での重要性が低いとはいえ、それでも私は言葉も信じたい。


不完全であるからこそ成り立つ愛情。例え相手の心が分からなくても愛情を育んできたからこそ、今があるのでしょう。分からないから理解しようと努力する。分からないけど好きな相手の事は信じていたい。目の前に答えが置いてあると、そういった感情も生まれないのでしょうね。

ラスト、電池が切れて動かなくなったエピゴノイドたち。不完全になりたいと願っていたメリとハシオにとっては、動き出すのが幸せなのでしょう。静かすぎるあの街から声が聞こえるのは、そう遠く無い日かもしれません。私はそう信じたいです。
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ネオ・ウルトラQ 第4話「パンドラの穴」

2013-02-02 22:12:00 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第4話「パンドラの穴」


男性が目を覚ますと、そこは穴の下のようだった。上を見上げると、落ちてきたと思われる穴からは、満月が覗けた。ふと下に目をやると、何かを封じるような蓋が置かれていた。男性がその蓋を動かすと、気体が噴出し、慌ててまた蓋をする男性。
すると、「何故だ」「それを望んでいたはずだ」という声が聞こえてきた。更には火が襲い掛かってきて、何故蓋を戻したのかと問いかけてきた。男性を襲った火はやがて形を取り、岩のような生物になった。それは全ての悪意、憎悪、無秩序、本来の世界に満ちていた塊「マーラー」であると語る。人間をたぶらかし、堕落させたものたちが自分を穴に封じ込めたという。
マーラーは蓋をあけ、自分を、世界を完全なものにするようにと男性に告げる。男性には蓋を開ける資格があり、マーラーには蓋を開けることは出来ないという。

マーラーが完全な姿になれば、善悪の境界が無くなり、本来の姿に戻る。それは「パンドラの箱」だと男性は告げる。パンドラの箱を開いたから悪意が広まったと男性は言うが、マーラーはそれはゆがめられた話だと、世界は元々そういう形だったと語る。善悪は捏造された価値であり、真実の世界を見たいとは思わないのかと問いかける。
見たくない、という答えに心地良い嘘だとマーラー。「蓋を開けてもらう」マーラーはそういい残して砕け散った。


一方のバー「トビラ」。仁の後輩・黒木と待ち合わせしていたが、ドタキャンされたという。仁と黒木は競うように研究し、危険な研究にも手を出した。

脳と心の関係を調べていた仁と黒木。仁はその研究に危機感を感じていたが、黒木は遂に一線を超え、婚約者を人体実験に用い、人間の悪意や憎しみを消そうとしたのだった。婚約者・ハルカが治る見込みは無い。しかし黒木はいつか研究が成功し、治るはずだと信じていた。

科学の力で憎しみや悪意を消そうとするのは、歪んでいると絵美子。しかし正平はそうやって科学は進歩してきた、黒木も犠牲にするつもりはなかった、何にだってリスクはあるという。覗いてはいけない暗闇があり、それを覗きたくなる気持ちも分かると仁は2人を仲裁する。
すると絵美子は正平にあるテストをする。カップの中に大切な物を入れ、次にここに来るまでその中を見ないでと告げるのだった。開けたら分かるように仕掛けてあると絵美子。もし開けたら絶交・・・そう言い残して絵美子は出て行った。


穴に落ちた男性であり、仁の後輩・黒木はいつの間にかベッドの上にいた。そこへハルカという女性が現れ、あんな事はしたくなかったと黒木に告げる。黒木はハルカを幸せに出来るというが、あんな事をしなくても幸せだった、どうして自分を殺したのかと問いかけ・・・

それはマーラーが見せた夢だった。マーラーは「女を元に戻して欲しくは無いか」と問いかける。黒木は治療は進んでいると、ハルカは元に戻ると告げる。

時が経つと、黒木の前にはまたしてもハルカの姿が。自分が元に戻してみせるというが、マーラーはそれは無理だと、蓋を開けば元に戻してやるという。「黙れ!」そう黒木が叫んで振り返ると、ハルカは人形に摩り替わっていた。またもマーラーに幻影を見せられたのだった。
マーラーはいつしか人のような形を取り始めていた。蓋を開け、悪意を解放しろ。そうすれば全て君の望んだ世界になる・・・

そして遂に、黒木の前には仁が現れていた。「科学に善悪は無い。あるのは進歩だけだ」それが黒木のモットーだった。仁ならば開けるかと問うが、仁は開けないと答える。科学にだって、開けなくていいトビラがある。そんな仁に、黒木はそれが仁の敗因だと告げる。しかし科学者として勝者であっても、人間として、男としてそれはどうなのか。
ハルカが元通りになって、悪意が満ちた世界で暮らしていけるのかと仁。黒木は「シュレディンガーの猫」だという。この中から悪意が噴出すとは限らない。悪意だという可能性はあるが、それでも中をあけて確かめてみる。それが科学者だと言い、黒木は遂に蓋に手を伸ばす。だが直前で正気に戻り、仁がマーラーの化けた姿だと気づいたのだった。

こんな風に仕向けられるのが我慢なら無いと黒木。マーラーは黒木が思っていたい上に頭が良い事を認めた。もうすぐ夜明け。悪魔は朝日と共に消えると相場が決まっている。マーラーは「あるいはそうかもしれない」とだけ呟答えた。マーラーは本当に黒木を選んだ事を良かったと思い、ここにきてくれたことを感謝していると言う。
不完全なお前は結局は何も出来ず、胸糞の悪い夢を見せるのが精一杯だと黒木。


突如マーラーは笑い出した。その時、穴に差し込む一筋の光。その光に怯えるようにマーラーは姿を消した。黒木は勝ったと大喜びし、蓋の周りを回り始めた。と、そこへ人の声を聞いて絵美子が訪れた。しかし黒気には、絵美子の姿はハルカに見えていた。助けを呼びに行こうとする絵美子をハルカだと勘違いし、行かないでくれと告げる。

ハルカは蓋を指して「それ何?」と問いかける。開けてはいけない蓋だというが、ハルカは黒木らしくない、扉を開ける資格がある人間だ、黒木以外に誰がやるのかと唆す。

最早絵美子の言葉など耳に届かず、黒木はその蓋を開け放った。そこから外にあふれ出していく黒い霧。「マーラー!!」黒木の絶叫と、マーラーの高笑いが響き渡る・・・
そして正平は耐え切れずカップの中を見てしまい・・・


感想
頭に装置をはめられたハルカを見て、「メカゴジラの逆襲」を思い出しました。

第4話はウルトラQというよりは、dfよりの物語だったように感じます。暗闇を覗く時、暗闇もこちらを覗いている。怪物と戦う時、自身もまた怪物になっているかもしれない。怪物と戦える力を持った人間を、歓迎してくれる人ばかりでは無いでしょうしね。


今回登場したのは悪意や憎しみといったものの塊である暗黒悪意マーラー。最初は岩のような姿だったマーラーですが、黒木と接していく中で、次第に人の姿へと近づいていきました。幻想を見せ、仁を作り出し、あの手この手で蓋を開けさせようとするマーラー。日の光に怯えて逃げたように見えましたが、あれも演技だったのでしょう。黒木の思い込みを利用して、相手を油断させる。そして最後は絵美子の善意を利用し、蓋を開けさせる事を成し遂げました。

パンドラの箱にシュレディンガーの猫。開ければ悪意が解き放たれるとは言うが、確かめなければ悪意が入っているとは言い切れない。「開けるなよ!?絶対に開けるなよ!?」と言われるほど、中身が見たくなってしまう。けれども、ちょっとぐらいならと、ばれないだろうと覗いてしまったがために、暗闇に覗き込まれて狙われる事に。絵美子との約束を破り、中身を見てしまった正平。彼が見たのは希望か絶望か、どちらなのでしょうね。

科学に多少のリスクはある。少なくとも黒木はハルカを犠牲にするつもりは無かったと語られていましたが、そもそも婚約者を実験台に使うという行為そのものはどうなんでしょう。それを「仕方ない」と捉えるか、「秩序が乱れている」と捉えるか。
前回のヴァルカヌス星人の話を考えると、あちらは美しさと醜さの境界線があったように思えます。絶対不変の秩序や美しさはあるのでしょうか。時や場所が変われば、それらは変わるもの。元々の境界線は、どうやって生み出されたのか。


悪意に満ちた世界。それは文字とは反対に、誰が何をしても「悪い」と感じなくなる世界ではないでしょうか。善悪の区別など無くなってしまうと思います。何をしても当然だと認められてしまう世界。誰もが悪意を悪意だと気づかない世界が成り立ってしまうのではないかと。

脳の研究のために、恋人が犠牲になってしまっても「科学の発展のためなら、多少の犠牲は仕方ない」。憎悪により人を殺しても、嫉妬で何かを奪い取っても、それが本来の姿であるために「仕方ない」と認められてしまう世界。この世界ならばハルカを元に戻す事も出来るかもしれません。だってもう、何をしても、恋人を元に戻すためには仕方ないのですから。
(追記)マーラーを封じ込めたのは、道徳などの教えを広めた人々だったのかな。人道に反する、あってはならないことだという境界線が人々の中に根づき、「悪い」という意識が芽生えた。例え人類の発展に寄与する事であっても、悪い事はしてはならないと感じるようになった。それがマーラーのいう「堕落」だと思います。

怪獣らしい怪獣は出てきませんでしたが、私はこういう話も好きです。次回は言葉を交わすことの無い人々の話。
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ネオ・ウルトラQ 第3話「宇宙(そら)から来たビジネスマン」

2013-01-26 22:07:07 | ネオ・ウルトラQ
ネオ・ウルトラQ 第3話「宇宙(そら)から来たビジネスマン」

絵美子と同年齢のモデル・美樹は絵美子も羨むほどの美人。正平は絵美子の方が良いと言うが、目の前でそれを言えるかと尋ねられると黙ってしまう。そして仁は別の本に没頭中w

絵美子は正平と共に美樹のインタビューに向かうが、美樹は「美とは生まれた時からのものであり、血のにじむような努力をしても醜いものは醜い」と語り、その場を立ち去ってしまう。美樹が個室で1人鏡を見ていると、その顔には何やらうっすらと模様が現れ、すぐに消えていった。しかし美樹はたまらず鏡を壊し、どこかへいなくなってしまう。
絵美子たちが音を聴いて駆けつけた時には、「ヴァルカヌス星人 羽屋丈二」と書かれた名刺だけが残されていた。


絵美子は仁も伴って、3人で名刺に書かれていたビルへと向かう。そこで彼らを出迎えたヴァルカヌス星人・羽屋丈二は、我々のビジネスを気にするなと告げる。ヴァルカヌス星人はビジネスのためにこの星を訪れ、美樹を連れてこの星を立ち去るという。美樹はまるでマネキンのように固まってしまっていた。


かつて、ヴァルカヌス星人は街で見かけた1人の女性の後を追っていた。その女性は病院に入ろうとしたが立ち去り、橋から飛び降りようとしていた。そんな彼女に、ヴァルカヌス星人はあなたのような美しい女性を初めて見たという。だが女性は馬鹿にしているのかと告げる。女性は「この醜い顔のせいでずっと大変な思いをしてきた」と語るが、ヴァルカヌス星人はそれでも彼女を美しいという。

その女性、美樹が願ったのは「誰もが羨む美人になりたい」という事。美樹の顔はヴァルカヌス星人により変えられたものだったのだ。ヴァルカヌス星でも美しいものが好まれており、彼はそれを売るビジネスマンだった。「綺麗になりたい」という女の子弄んだ相手を許せないと絵美子は言うが、ヴァルカヌス星人はちゃんとした契約に基づいた所有権があるという。

ちゃんとした契約書があるものの、ここは地球であり、地球には地球のルールがあると仁。そんな彼らにヴァルカヌス星人は問いかける。犬や猫を飼うのに、何故人間を飼わないのか。牛や豚は殺して食べるのに、何故人間を食べないのか。
ヴァルカヌス星人は彼らを責めているのではなく、「ヴァルカヌス星にとって人間は、地球における犬や猫と同じ事」と語る。何も美樹を殺して食べるわけではなく、美樹はヴァルカヌス星で永遠に愛され続ける。そう告げるヴァルカヌス星人に対し、絵美子は美樹よりも美しいものを連れてくるという。
ビジネスにとって大切なのは「信頼」。ヴァルカヌス星人は契約成立の手助けのために、美的感覚を図る機械を渡す。ヴァルカヌス星人と人間の美的感覚は違うため、役に立つと考えていた。


屋島教授によれば、それは人間の負のエネルギーを量る事が出来る機械であり、嫉妬などの感情で発電が出来るという。つまり、かつての美樹は自分を否定する負の心が凄まじく、それがヴァルカヌス星人の美的感覚にマッチしていたと。

さすがに人間そのものと交換するわけにはいかないため、負のエネルギーだけを手に入れることに。
屋島教授が作った負のエネルギー抽出装置を持って出かけた絵美子と正平。2人は1組のカップルに出会った。話の内容は男性の方が女性に金を貸してくれるようにと持ちかけている様子。

そして男性に照準を合わせると、男性は白目をむき口の中から黒いエネルギーが溢れ出た。見事抽出できたが、男性は「騙すのに疲れた」「ダメな人間だ」「死にたい」と語り出し、遂には自分の首を絞め始めてしまう。正平は慌ててエネルギーを男性に戻し、その場を立ち去る。男性は何とか息を吹き返したのだった・・・

負のエネルギーがなくなるだけであんな風に狂ってしまう。負のエネルギーとは人間にとって何なのか。正平がそう考えていると、絵美子は「あんな男死んだって誰も傷つかない」「あんな男いない方が皆幸せ」と告げる。正平は絵美子が何かに取りつかれているようにしか思えなかった。


ヴァルカヌス星人は絵美子が約束の品物を持ってこなかったことに怒りを感じていた。女の気持ちを弄んでいるといったが、自分の気持ちを弄んでも良いのかといい、ヴァルカヌス星人は契約を破棄しようとする。
そこへ仁が現れて、無尽蔵にエネルギーを集められる機械を作ったという。最早等価交換ではなく、美樹より価値のあるものがなければ美樹は取り戻せない。

それでも仁には自信があった。屋島教授が作り出した装置で時間を遡り、土地から負のエネルギーを採取しようというのだ。あちこちに装置をしかけ、いざスイッチを入れるとエネルギーは瞬く間に集まってきた。

それをヴァルカヌス星人に手渡すと、ヴァルカヌス星人は「地球は美の宝庫だ」と言って大喜び。しかし美樹を取り戻しても、美樹の顔はヴァルカヌス星人が地球を去れば元に戻ってしまう。それでもヴァルカヌス星人は大丈夫だというが、それは相手の星の美的基準であり・・・


その夜、バー「トビラ」で契約成立のパーティーを開く一同。楽しげに酒を酌み交わす男性陣の一方で、絵美子は美樹が取引されるのが嫌だったと語り、その杯を交わす。

だが次の日、美樹はヴァルカヌス星に旅立つ事を自ら決めていた。それは契約違反ではないとヴァルカヌス星人は言い残し、3人の前から姿を消した。

地球は醜いものには辛い星。ヴァルカヌス星にとってもそれは同じ。美樹は昔の自分に戻るのが嫌だといい、ヴァルカヌス星人にとっては良いビジネスが出来た事を喜んでいた。そして2人はヴァルカヌス星へと旅立っていった・・・


感想
「宇宙」と書いて「そら」と読むと、とある少女が駆けたのを思い出します。

さて第3話は宇宙のビジネスマン、ヴァルカヌス星人の羽屋が登場。かつて醜さから自殺直前までに追い詰められていた美樹の前に現れ、「誰もが羨む美人になる」という願いをかなえる代わりに、美樹をヴァルカヌス星に連れて帰る契約をしたと。

ヴァルカヌス星の美的感覚は、地球とは異なり、負のエネルギーがあればあるほど美しいと感じるようで。美樹はこれまでビジネスを続けてきた羽屋が絶賛するほどの美人。つまりは相当な負のエネルギーを溜め込んでいました。
しかしその負のエネルギーも無くなってしまうと、抽出された男性のように自分を追い込み、死に至ってしまう危険性も見受けられました。あの男性にしてみれば、相手を騙してやろう、金を毟り取ろうと言った気持ちで行動していたために、なまじそれが無くなってしまうと良心に押しつぶされてしまうのでしょうね。汚い心が無ければ生きていけないとは、何だかなぁ・・・

美樹を取り戻すために奔走した絵美子。ヴァルカヌス星人に「気持ちを弄ぶなんて~」と語るシーンでは、「一筆奏上!」と言って変身するかと思ってしまいましたw
そんな絵美子でしたが、男性に対しては「あんな男死んだって誰も傷つかない」「あんな男いない方が幸せ」と厳しい一言。見た目ではなく、心の醜さは絵美子も受け入れられないようですね。しかし、そう感じる絵美子をあの機械で測ったら、少しは針が振れたんじゃないかな。

見た目はどれだけ美しくても、心の中には醜いものがある。いきなり「土地からエネルギーを吸収する!」といった時には、さすがに「はい?」と思いましたが、それはさておいて(汗。環境汚染が叫ばれる中で、土地からも負のエネルギーは採取できました。一見綺麗に見えても、その土地で昔何が起こり、どういった思いが刻まれていたのか。前回のブレザレンの話を見ていると、地球のどこからでも負のエネルギーが採取できそうで嫌ですね。
ヴァルカヌス星人にとって「地球は美の宝庫」。ならば人間にとっては・・・


今回の一件は、羽屋にとってはれっきとしたビジネス。相手との契約に基づいて連行していく宇宙人もまた珍しい。大体消去エネルギー源とかで勝手に連れ去る輩ばっかりですからね・・・なぁケムール人w

人間の売買について認めようとしない絵美子たちでしたが、それはあくまでも地球の話。ヴァルカヌス星では犬や猫と同じく、人間の売買も認められている。何故犬や猫を飼うのに人間は飼わないのか、何故牛や豚を食べるのに人間を食べないのか。法律があるから、可哀想だからといった簡単な話ではなさそうです。
ペットショップに行って、人間が檻の中に入っていたらおかしいと感じても、犬や猫が入っていても何の違和感も無い。人間と犬。何が違うのでしょうね。ペットショップに行った時、かごに入っている仲間を見て、動物たちはどう思っているのでしょうか。


無事契約が成立した後の交流会ではしゃぐヴァルカヌス星人が好印象でした。考え方は違いますが、ああやって地球人と宇宙人が交流しているのを見れるのは良いですね。
しかし美樹は旅立ってしまいました。地球にいても、また元の顔に戻ってしまうだけ。絵美子や正平、仁がいるといっても、必ずしも元の顔の美樹に好意的な人物ばかりでは無いでしょう。それは美樹がこれまで大変な思いをしてきたという事からも明らかです。ヴァルカヌス星で暮らすことが、美樹にとっての幸せならば何も言えません。

地球でもヴァルカヌス星でも、自分の美的感覚にそぐわないものは遠ざけられる。もしかすると地球の中には、美樹と反対にヴァルカヌス星からやってきた人もいるのでは・・・という想像も出来た第3話でした。
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