電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
春のコーナーアーク
2017年2月18日
僕の寄り道――春のコーナーアーク
むかしから春の生暖かい世界が苦手で、外に出てそういう空気に触れると、心がわさわさと不安で満たされる。
幼い頃の入園入学、卒園卒業など、慣れ親しんだ世界からの出口、見知らぬ世界への入口、さまざまな別れと出会いが春という場所にあったからだろう。
そういう不安に胸が満たされるとよく泣く子どもだった。大人になって避けられないことの不安には動じなくなったはずなのに、やはり生暖かい春の風に吹かれると心がわさわさする。
春のコーナーアーク
最近読んだ本に「恨みは消すことができる、だが記憶は消せない」という至言があり、誰の言葉で正しくはどうだったか、調べ直したいのだけれど見つからない。
恨みは忘れることはできても、あった事実をなかったことにはできない。人間とはそういうもので、赦し合うとはどういうことか、忘れてはいけない大切なことだ。アジアの果ての小国同士、いまだいえぬ確執を乗り越える鍵はそこにあるだろう。
幼い頃の不安は消し去ることができた。でも不安でいっぱいの胸の痛みに泣いた記憶は消えない。だから春風に吹かれると大人になっても声をあげて泣きたくなる。そういうものだ。
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