春一番とオリンパス・ペン

2017年2月17日
僕の寄り道――春一番とオリンパス・ペン

小学生時代、わが家にやってきた初めてのカメラはオリンパス・ペンというハーフサイズの製品だった。36 枚撮りのフィルムを入れると倍の 72 枚撮れるので経済的なのだと母は言っていた。

わが母の経済性は、意地でも 72 枚撮り終わるまで写真屋に出さないという決め事で成り立っていた。早く写真が見たくても 72 枚撮り終えるまでは見ることができない。36 枚撮りフィルムを詰められたオリンパス・ペンは 72 枚撮り終わるまで、ナフタリン臭い洋服ダンスの隅で次の出番を待っていた。

そしてとうとう 72 枚を撮り終わると写真屋に出され、母がちびちび撮りためた写真が闇から復元され、
「あれっ、これ、いつどこで撮ったんだっけ?」
という写真の塊(かたまり)となって仕上がってきた。

   ***

2 月 16 日、保育関係の女性編集者が入稿用データを取りに来てくれると言う。午後 5 時くらいに来てくれたら駅まで送りますと電話で言ったら
「あっ、魂胆が丸見え!」
と言って笑う。

暖かい夕暮れとなり、明日 17 日は春一番が吹きそうだという。さっさと受け渡しを終え、魂胆通り、駒込駅前まで送りがてら飲みに出た。机の脇にあったデジタルのオリンパス・ペンを首に下げて出かけた。

駒込駅前『カーニバル』のあった場所はこういう店になっている

楽しく飲んで別れて翌朝となり、酔っ払って昨夜撮った写真をパソコンに取り込んだら、夜景に混じって寒々しい雪景色が出て来て驚いた。

昨年の 11 月 24 日は雪だったようで、仕事場のベランダに出て写真を撮り、あまりの寒さに引っ込んだままカメラを放置したらしい。母親と同じようなことをしている。


コメント ( 4 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
Unknown (浮雲)
2017-02-17 18:38:10
いいなあ!
近所にいっぱいいいところがあって!
私の近所など何もないからなあ!
仕方がないので、ネオンの代わりに、かすかな星の灯りの下で先ほど一杯やったところです。
日中は暑いくらいでしたが、さすがに寒くなって来て、早々に引き上げましたが・・・?
 
 
 
「田舎のネズミと町のネズミ」 ()
2017-02-18 08:42:56
表題のイソップ童話を思い出しました。
近くに川や山や暗い夜空のある暮らしがいつも羨ましいです。
今日は埼玉まで老人ホーム訪問ですが、昨日の春一番で「大宮操の桜」(樹齢百年の河津桜)が満開になったそうです。
写真に撮れるかなあ。
 
 
 
大宮操車場の桜 (薬局の末息子)
2017-02-18 09:17:55
高崎線、宇都宮線の下り列車がいいですよ。赤羽か浦和で乗り換える。一番うしろの車両がいいかしら。
 
 
 
赤羽乗り換え ()
2017-02-18 09:26:18
ありがとう、了解です。
 
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