参院選の最終情勢分析が出揃った。記者クラブ制度をめぐって民主党と対立するメディアは、自民党復調の流れにほくそ笑んでいる。この間の報道(世論誘導)を、半世紀にわたる贈収賄(官房機密費)の結果とみるのは、ひねくれ者の俺だけだろうか。
W杯準決勝でスペインがドイツを圧倒し、オランダと決勝で相まみえる。36年間の夢が叶って、<オレンジの呪縛>から解放されることを俺は切に願っている。ちなみに、1日余分に休めるオランダ有利が俺の〝客観的予想〟だ。ロッベンか誰かの劇的決勝シュートに、俺の心臓はパッタリ止まるかもしれぬ。まあ、それでもいいかな。腹上死ほどじゃないが、最高に幸せな召され方だし……。
一昨日(7日)、新宿ロフトで<花田裕之50歳記念ギグ>を見た。「花田って何者?」が皆さんの正直な感想に違いない。花田とはデビューから解散までルースターズを支えたギタリスト&ボーカリストである。
コアなロックファンにとって、<1988年はボウイではなくルースターズが解散した年>が定説だ。この20年、邦楽ロックを底上げしたブルーハーツ、ブランキー・ジェット・シティ、ミッシェルガン・エレファントの面々は折に触れ、「彼ら抜きに僕たちは存在しなかった」とルースターズへの敬意を語っている。ルースターズは<日本のヴェルヴェット・アンダーグラウンド>といっていいほどの影響力を誇るバンドなのだ。
大江慎也脱退後のルースターズに関心を示さない者、大江だけでなく花田と下山淳のコンビにも愛着を抱く者……。ルースターズへのスタンスは二つに大別できる。俺のように後者に属する側は、ルースターズについて語る時、おのずと涙目になる。生々流転したルースターズは、悲劇の数々に彩られた不遇のバンドだったからだ。
3rdアルバム「インセイン」、45㌅シングル(4曲入り)「ニュールンベルグでささやいて」と「CMC」で世間を瞠目させた大江の才能は、自らの内側をも抉る。6th「φ」録音時、花田らは大江を病室から担ぎ出してスタジオに運んだという。大江の絶望を織り込んだ「φ」はヴェルヴェッツの3rdに匹敵するダウナーで美しい作品だ。今回のギグでは、同作でカバーしたヴェルヴェッツの「宿命の女」もセットリストに含まれていた。
(A)=花田・下山・池畑潤二によるロックンロール・ジプシーズ、(B)=プライベーツ+池畑のセッション、(C)=ルースターズ中期、(D)=ルースターズ最終形と、イベントは四つのパートに分かれ、終演は11時近くになる。膝治療中の身には堪える4時間だったが、中身の濃さに痛みも忘れていた。
(A)では「クレイジー・ロマンス」、(B)では大江在籍時の「ヘイ・ガール」など、ルースターズの曲も演奏され、(C)から本番モードになる。過小評価されがちな中期ルースターズの雄姿を待ち侘びていた多くのファンは、花田に合わせ「ネオン・ボーイ」を歌っていた。
リスタートとなったライブ(渋谷公会堂だっけ?)で、花田の「大江です」のとぼけたMCに続き、「ストレンジャー・イン・タウン」のイントロが流れた。喪失感に覆われた詞は、30歳を前にした自身の状況と絡まり、胸を揺さぶられた記憶がある。当時の情感が四半世紀を経て鮮やかに甦り、脆くなった俺の涙腺を刺激した。
ブルース色が濃いストーンズ風⇒骨太のビートバンド⇒脱力感漂うニューウエーヴ⇒オーソドックスなロックバンド……。どの時点でもライブはうまくなかったルースターズだが、解散直前に突然変異する。世界標準の轟音ギターバンドに上り詰めた瞬間を捉えたのが「FOUR PIECES LIVE」だ。「再現できないジグソウパズル」、「パッセンジャー」など「FOUR ――」収録曲が(C)と(D)のセットで次々と演奏されていく。
俺は曲順に違和感を覚えていた。「何かが用意されている」という予感は見事に的中する。花田が「九州から大江慎也です」と紹介するや、俺の前は映画「十戒」状態になる。ファンが一気にステージに押し寄せ、空いたスペースを俺は悠々と進んだ。いかにもロッカーという風情の花田と下山に挟まれた大江は、中年太りの普通のおっさんだが、カリスマ特有のオーラを放っていた。「恋をしようよ」の強烈なフレーズ、♪ただ俺はおまえとやりたいだけ……を絶叫するなど、計3曲でボーカルを取る。
ビートだけでなく自らまで刻んだ大江、大江に殉じてバンドを去った池畑、創設メンバーとして唯一残った花田、途中加入ながら花田と伍した下山……。この4人に限らず、10人のルースターたちには確執もあったはずだが、恩讐を超えて、同じフレームに立っていた。花田と下山が大江に向ける優しい眼差しが印象的だった。
人は老いるにつれ、絆を失くしていく。家族の絆さえ、お金が絡んで断たれることさえある。俺が七夕の夜に感じたのは、妬ましいほどの〝男たちの絆〟だった。苦難を共有した者たちが、時を経て支え合う……。そんな奇跡に触れることができて幸いである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_uru.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/eq_1.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ang.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_jump.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0025.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0129.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0134.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/onpu.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/mike.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/headphone.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/roket.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
W杯準決勝でスペインがドイツを圧倒し、オランダと決勝で相まみえる。36年間の夢が叶って、<オレンジの呪縛>から解放されることを俺は切に願っている。ちなみに、1日余分に休めるオランダ有利が俺の〝客観的予想〟だ。ロッベンか誰かの劇的決勝シュートに、俺の心臓はパッタリ止まるかもしれぬ。まあ、それでもいいかな。腹上死ほどじゃないが、最高に幸せな召され方だし……。
一昨日(7日)、新宿ロフトで<花田裕之50歳記念ギグ>を見た。「花田って何者?」が皆さんの正直な感想に違いない。花田とはデビューから解散までルースターズを支えたギタリスト&ボーカリストである。
コアなロックファンにとって、<1988年はボウイではなくルースターズが解散した年>が定説だ。この20年、邦楽ロックを底上げしたブルーハーツ、ブランキー・ジェット・シティ、ミッシェルガン・エレファントの面々は折に触れ、「彼ら抜きに僕たちは存在しなかった」とルースターズへの敬意を語っている。ルースターズは<日本のヴェルヴェット・アンダーグラウンド>といっていいほどの影響力を誇るバンドなのだ。
大江慎也脱退後のルースターズに関心を示さない者、大江だけでなく花田と下山淳のコンビにも愛着を抱く者……。ルースターズへのスタンスは二つに大別できる。俺のように後者に属する側は、ルースターズについて語る時、おのずと涙目になる。生々流転したルースターズは、悲劇の数々に彩られた不遇のバンドだったからだ。
3rdアルバム「インセイン」、45㌅シングル(4曲入り)「ニュールンベルグでささやいて」と「CMC」で世間を瞠目させた大江の才能は、自らの内側をも抉る。6th「φ」録音時、花田らは大江を病室から担ぎ出してスタジオに運んだという。大江の絶望を織り込んだ「φ」はヴェルヴェッツの3rdに匹敵するダウナーで美しい作品だ。今回のギグでは、同作でカバーしたヴェルヴェッツの「宿命の女」もセットリストに含まれていた。
(A)=花田・下山・池畑潤二によるロックンロール・ジプシーズ、(B)=プライベーツ+池畑のセッション、(C)=ルースターズ中期、(D)=ルースターズ最終形と、イベントは四つのパートに分かれ、終演は11時近くになる。膝治療中の身には堪える4時間だったが、中身の濃さに痛みも忘れていた。
(A)では「クレイジー・ロマンス」、(B)では大江在籍時の「ヘイ・ガール」など、ルースターズの曲も演奏され、(C)から本番モードになる。過小評価されがちな中期ルースターズの雄姿を待ち侘びていた多くのファンは、花田に合わせ「ネオン・ボーイ」を歌っていた。
リスタートとなったライブ(渋谷公会堂だっけ?)で、花田の「大江です」のとぼけたMCに続き、「ストレンジャー・イン・タウン」のイントロが流れた。喪失感に覆われた詞は、30歳を前にした自身の状況と絡まり、胸を揺さぶられた記憶がある。当時の情感が四半世紀を経て鮮やかに甦り、脆くなった俺の涙腺を刺激した。
ブルース色が濃いストーンズ風⇒骨太のビートバンド⇒脱力感漂うニューウエーヴ⇒オーソドックスなロックバンド……。どの時点でもライブはうまくなかったルースターズだが、解散直前に突然変異する。世界標準の轟音ギターバンドに上り詰めた瞬間を捉えたのが「FOUR PIECES LIVE」だ。「再現できないジグソウパズル」、「パッセンジャー」など「FOUR ――」収録曲が(C)と(D)のセットで次々と演奏されていく。
俺は曲順に違和感を覚えていた。「何かが用意されている」という予感は見事に的中する。花田が「九州から大江慎也です」と紹介するや、俺の前は映画「十戒」状態になる。ファンが一気にステージに押し寄せ、空いたスペースを俺は悠々と進んだ。いかにもロッカーという風情の花田と下山に挟まれた大江は、中年太りの普通のおっさんだが、カリスマ特有のオーラを放っていた。「恋をしようよ」の強烈なフレーズ、♪ただ俺はおまえとやりたいだけ……を絶叫するなど、計3曲でボーカルを取る。
ビートだけでなく自らまで刻んだ大江、大江に殉じてバンドを去った池畑、創設メンバーとして唯一残った花田、途中加入ながら花田と伍した下山……。この4人に限らず、10人のルースターたちには確執もあったはずだが、恩讐を超えて、同じフレームに立っていた。花田と下山が大江に向ける優しい眼差しが印象的だった。
人は老いるにつれ、絆を失くしていく。家族の絆さえ、お金が絡んで断たれることさえある。俺が七夕の夜に感じたのは、妬ましいほどの〝男たちの絆〟だった。苦難を共有した者たちが、時を経て支え合う……。そんな奇跡に触れることができて幸いである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_uru.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/eq_1.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ang.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/body_jump.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0025.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0129.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0134.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/onpu.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/mike.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/headphone.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/roket.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
思いながらも、言葉に表現できなかった私の思いを
みごとに語ってくださっていて、胸が熱くなりました。
>恩讐を超えて・・・
>妬ましいほどの〝男たちの絆〟だった。
本当にその通りだと思います。
私はロフトには行けなかったのですが、そう感じていました。
灘友さんのブログに彼らの集合写真がUPされていますが、
彼らの表情を見ていると、
なんて、かっこよく年を重ねた男たちなのだろうと
うらやましくなりました。
こちらの記事を私のブログでもぜひ紹介させていただきたいのですが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。
中後期ルースターズの代表曲を網羅してましたね。私のような年寄りが主力かと思っていたら、意外に若い人も多かった。
灘友さんって、「失業中です」と話していた人だっけ? ブログを見てみます。
解散から22年、ルースターズ伝説が進化していることを実感した夜でした。
たしかに
ルースターズって 男の 素直になれない儚い生き物の性 を時に ロマンチックに時に荒々しく 体現している 稀有なバンドだった
この記事を読んで こっちも涙腺が ゆるくなってしまった
花田裕之の魅力 って
深いよな~~ !
だから絆の中心にいるのかな。同世代として付き合っていきたいロッカーです。