酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

第58回スーパーボウル~マホームズの冷たい緻密さに痺れる

2024-02-14 22:25:40 | スポーツ
 日本時間12日午前にラスベガスで開催された第58回スーパーボウルは、史上最も注目を集めた一戦になった。チーフス(AFC)が49ers(NFC)をオーバータイムの末、25対22で破り連覇を達成した試合を1億2340万人が視聴し、昨年から7%増の新記録となる。ちなみにラスベガスのオッズでは攻撃陣に厚みを誇る49ersが2㌽リードしていた。

 例年以上に注目を集めたスーパーボウルだが、発端になったのはテイラー・スウィフトとチーフスTEケルシーとの〝美女と野獣〟の交際だ。チーフスの試合を観戦していると、VIPルームで一喜一憂しているテイラーの姿が映し出される。ラブロマンスは日本、そして大統領選をも巻き込む大騒動になった。東京ドームで4日間、22万人を集めたテイラーはインスタのフォロワー数が2億8000万人を誇るインフルエンサーである。

 前回の大統領選でバイデンを支持した歌姫はトランプ陣営にとって邪魔な存在だ。<スーパーボウルでチーフスが勝ち、テイラー-がバイデン支持を公表する>なんて筋書きは避けたいから、様々な陰謀論を仕掛けてきた。その中のひとつは〝日本公演直後、間に合うはずがない〟だったが、プライベートジェットに乗って余裕でラスベガスに着いた。

 マカフリー(49ers)、パチェコ(チーフス)の両エースRBがファンブルで攻撃権を失うなど得点が入らない展開だったが、守備陣、キッカーを中心にしたスペシャルチームの健闘が光る内容だった。両キッカーは相次いでスーパーボウルのFG記録を更新する。第2Q残り4分23秒、トリックプレーでタッチダウンを決めた49ersが10対3とリードして前半を終える。マホームズへのプレッシャーも厳しく、チーフスファンの俺も難しいかなと感じていた。

 1キャッチで1㍎獲得に終わったケルシーはイライラを隠せず、アンディ・リードHCに体をぶつけるように詰め寄っていた。後半最初の攻撃でマホームズがインターセプトされた時点で終わったと思ったが、ケルシーとのホットラインが開通する。9回キャッチし93㍎を獲得するだけでなく、デコイ(おとり)として機能する。オーバータイムで決めたゴール前のキャッチが試合を決めた。

 一回のミスも許されない第4Q残り1分53秒、オーバータイム残り7分22秒でFG、タッチダウンに導いたマホ-ムズの冷たい緻密さに見入ってしまった。将棋にたとえるのもおかしな話だが、AI評価値で10㌽差をつけられた藤井聡太八冠がジワジワ追いついていく感じに似ている。マホームズはチームを連覇に導き、ロマンスをハッピーエンドに導いた。シンシティー(罪と欲望の街)ラスベガスで開催されたスーパーボウル中継では、金にまつわるエピソードが幾つも紹介されたが、夢と愛に溢れた試合だった。

 1999~2012年、リードはイーグルスHCを務めていた。チームは好成績を収めていたが大一番には勝てず、解説陣には〝コンサバティブ〟と評されていた。2013年にチーフスに移ってマホームズと出会うや、天才の煌めきと想像力を生かしたオフェンスでトリッキーな作戦を多用するようになる。自らを変えて三たび栄誉を手にしたリードは、来期以降もHC職にとどまる。

 スーパーボウルの終了と軌を一にするように、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)の決勝トーナメントが始まった。名将たちがひしめく争いだが、俺が応援してきたモウリーニョはASローマをクビになり、バイエルン監督就任の噂が流れている。CL、EL各2回優勝に導いたモウリーニョは悪童的振る舞いで物議を醸してきたが、戦術家、モチベーターとして選手から絶大な支持を得ている。東日本大地震被災者に60万ユーロ(約7000万円=当時)を送ったことも知られている。

 49ersのシャナハンは〝逆転されるHC〟の汚名を返上出来なかった。リードだってある時期、批判をさらされていたし、チャンピオンリングを手にする日が来るかもしれない。NPBが開幕する前に、<監督論>を書きたくなった。
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