酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

好天の護憲集会で感じたこと

2019-05-04 19:11:30 | 社会、政治
 別稿(4月25日)で紹介した映画「主戦場」が大ヒット中で、イメージフォーラムは立ち見の出る盛況だ。終演後、拍手が沸き起こっているという。本作を<反日>と攻撃する安倍首相支持派の〝組織的犯行〟によって低得点がクリックされていたYahoo!のユーザーレビューも、ようやく3点前後に上昇した。

 安倍首相は改憲に意欲を見せたが、俺は「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会-許すな!安倍改憲発議-」(有明防災公園)にオルタナプロジェクトのスタッフとして参加した。好天に恵まれ、6万5000人(主催者発表)が足を運んだ。会場近くに警察車両がズラリと並び、機動隊員が立っている。右翼の妨害から守るためというが、公安刑事が参加者に鋭い視線を遣っていた。

 ブース出展の目的は金聖雄監督による冤罪3部作、「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」、「袴田巌 夢の間の世の中」、「獄友」の上映会、「獄友」のサントラを担当した獄友イノセンスバンドのライブ(ゲスト・李政美)の告知である。チケット予約は映画会=キムーンフィルム(℡042・316・5567)もしくは高円寺グレイン(℡03・6383・0440)。ライブ=阿佐ヶ谷ロフト(℡03・5929・3445)もしくは上記の高円寺グレインまで。

 集会開始前にステージに立った獄友インセンスバンドの小室等さんがメンバーとともにブースを訪れ、サントラ「真実・事実・現実 あることないこと」の物販とサイン会を行った。金監督は笑みを絶やさずPRに努めていた。向かいのブースには映画「誰がために憲法はある」関係者が詰めていた。同作の主題歌を担当したのはPANTAさんである。ちなみに、集会の司会者はオルタナプロジェクトとも縁が深い神田香織さんだった。

 若者たちの政治アレルギーについて、当ブログであれこれ記してきたが、その理由のひとつに伝える側の〝姿勢〟があるのではないか。政治の言葉は硬直化しており、人は年を重ねるにつれ頑固になって、自身のちっぽけな思い込みに固執するようになる。小室さんの温かさと自然体、金監督の活力とユーモア、PANTAさんの知性と包容力、神田さんの芯の強さと表現力が、伝える側に求められている。

 ブースを訪ねた若者にCDを薦めると、「交通費しか残っていない」と返ってきた。若年層は経済的に恵まれておらず、今回も中高年層が目立っていた。そんな中、20代と思しき女性がジャージー姿の少女たち数人を引き連れ、各ブースを回っていた。恐らくステージで朝鮮高校無償化を訴える先生と生徒たちで、映画会とライブのチラシを勇んで手渡した。

 隣のブースは移動本屋「新・吉祥寺書店」で、集会の趣旨に沿った書籍が陳列されていた。一押しは絵本「ベイビーレボリューション」(文・浅井健一、画・奈良美智)でシャーベッツの名作「ナチュラル」収録曲がベースになっている。イメージに紡がれた繊細な楽曲を作る浅井は一時、反米ナショナリストであることを隠さなかった。護憲集会とはミスマッチに思えるが、同曲は明らかにプロテストソングである。

 反原発集会(3月21日)でも気付いたが、タイガースの「廃墟の鳩」がプロテストソングとして認知されつつあり、昨日もステージから聞こえてきた。「翼をください」、「昭和ブルース」、「学生街の喫茶店」、「岬めぐり」など数多くのヒット曲の作詞で知られる山上路夫氏は、鳩が半世紀を経て廃墟から舞い上がったことに驚いているかもしれない。

 ブースに集会の様子は届かなかったが、国民民主党・玉木代表が「令和初の憲法集会」と切り出した時、「令和はいらない」と会場から怒声が飛び、「安倍政権の最大の問題点は」と問い掛けた時、間髪入れず「令和だ」の声が上がったという。健全だと感じた俺は少数派だろう。令和といえば残念なのは、令和新撰組を立ち上げた山本太郎参院議員だ。感覚の鈍さに呆れるしかない。

 集会スローガンには9条改憲阻止、戦争法と共謀罪廃止、辺野古新基地建設反対、脱原発などが並んでいたが、なぜか天皇制に関するメッセージがない。次稿では<憲法と天皇制>をメーンに据えるつもりだが、俺の能力を超えていることは重々承知している。

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