<1460> 冬 薔 薇
冬薔薇 ことの次第に 人生論
バラはバラでも冬に咲くバラ。冬薔薇(ふゆそうび)という。言わば、バラと言っても一様ではない。これは人に当てても言えること。一様なる人生などはまずなかろう。だから人生論などは生まれる。そして、人生におけることの次第によって人生論などは語られる。
一生は一様ならぬを常とする ことの次第に聞く人生論
一
薔薇ノ木ニ薔薇ノ花サク。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
二
薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。
照リ極マレバ 木ヨリコボルル。
光リコボルル。
これは北原白秋の「薔薇二曲」という詩である。この「薔薇」は象徴で、この詩は象徴詩と言えよう。バラにバラ、人に人の姿あり。何の不思議はないけれど、人にあれば、白秋のバラに等しく、人は即ち人を問われる。光り溢(こぼ)れるバラの花のようであれば、まずは人生、理想と言えるだろう。 写真は冬薔薇。
薔薇に薔薇 人に人 いま冬蒼天