<1438> 師走の岡辺を歩く
山間の棚田の畦の草叢に冬日を纏ひ竜胆の花
風はなお強いものの今日は寒のゆるみがあったのか、昨日にくらべると穏やかで暖かささえ感じられる奈良大和の日中だった。ということで、出かけたくなり、平群の里、高安山の麓の辺りを歩いた。もう師走だというのに花はあるもので、咲き残りだろうか、否、遅咲きに違いないヤクシソウとリンドウの花が草叢の中に見られた。サザンカのような冬の花はこの時期あたりまえのことであるが、ヤクシソウやリンドウのような花が見られるとは思っていなかったので嬉しい気分である。
遅く咲く花も劣れるものならず いま懸命に咲く花も花
言わば、生きいるということは個々それぞれに存在するということであり、命あるものは千差万別で、これがあたりまえのこと。とするならば、早く咲く花があれば、遅く咲く花もあって然り、どちらがどうのと言うことはない。早咲きは早咲きを誇り、遅咲きは遅咲きを誇る。そして、ときにはその反対の歎くということにも当てはめて言える。どちらにしても、生たるものは生きるを「よし」とは等しく言えることである。 写真はリンドウの花(左)とヤクシソウの花(中)と花盛りのサザンカの花。