大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2015年12月07日 | 写詩・写歌・写俳

<1440> 明けの明星の金星と下弦側の三日月

       「あかつき」を迎へるごとく空高く明けの明星輝きにけり

 一転して快晴の空模様になった七日早朝、午前六時過ぎに窓の外を見たら明けの明星の金星と下弦側の三日月が相対するように明るく輝いて見えた。いい眺めだと思ってカメラを持ち出したのであったが、折しも、金星の探査に向かっていた探査機「あかつき」が金星周回軌道に入るためのエンジン噴射を試み、これに成功し、宇宙航空開発機構(JAXA)は金星周回軌道に入ったとみられると発表した。

                                                             

  「あかつき」は縦横一・四メートル、高さ一メートルほどの箱形の探査機で、二〇一〇年に打ち上げられ、そのときは金星周回軌道に入れず、太陽を周回し、再度のチャンスをうかがっていたが、このほど再挑戦した。JAXAによると、日本の探査機が地球以外の惑星を周回するのは初めてという。「あかつき」は金星の環境を詳細に観測し、地球との違いを探り、その原因を調べるという。

 今月三日には小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の引力を利用した軌道制御(地球スイングバイ)を行ない、成功して、C型小惑星「RYUGU」に向かったばかりである。「はやぶさ2」は二〇一八年に「RYUGU」に着き、一年半ほど滞在し、二〇二〇年末に帰還の予定だと言われる。

 「はやぶさ2」と「あかつき」の二つの探査機の宇宙ショ―は圧巻だったと言えよう。これからの活躍が期待される。それにしても、宇宙は広い。地球上ではそこここで人間同士の小競り合いが展開され、戦火も見られるが、月も金星も広い宇宙空間にあって普段の運行を滞ることなく行なっている。もちろん、地球も同じことであるが、自分のことになると何故か見えなくなる。争いなどは何になろうと、澄み切った明け方の三日月と金星を仰ぎ見ながら思ったことではある。 写真は月齢25.4日の三日月と相対するように輝く明けの明星の金星 (斜め下・午前六時十分ごろ撮影)。