大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2015年12月20日 | 植物

<1452> 寒溪蓀 (かんあやめ)

         寒溪蓀 冬の日差しの よき日かな

  寒さのこの時期に花を咲かせるアヤメがある。カンアヤメで、漢字では寒溪蓀、寒菖蒲と書く。本来のアヤメが初夏のころに開花するのに対し、このアヤメは耐寒性が特徴のアヤメ科アヤメ属の多年草で、草丈は普通のアヤメよりも小ぶりで高さが三十センチほど。淡青色の花をつける。

 最初に見受けたのは、寒牡丹で名高い葛城市当麻町の石光寺だった。寒牡丹を撮影に出かけたとき境内の片隅に咲いていた。ヒメシャガに似たところがある。写真の花は駅からの帰り、いつもの道とは違う道を歩いて出会った。冬の日差しが花を温めているように見えた。

                                                                    

 晴れ渡った臘月の青空には上弦の月がかかっていた。月は常時地球を回り、地球が太陽を回っているので、月も同時に太陽を回っていることになるが、その軌跡は地球よりも複雑であることが言える。そして、月の満ち欠けは当然のこと起きることになる。弦月は月が半分地球の陰に入るときの月である。 写真はカンアヤメと上弦の昼月。

   いつもとは 違ふ道行き 寒溪蓀

   晴れ渡る 大和国中 冬の月

   電線に 冬の弦月 掛かりけり