<1452> 寒溪蓀 (かんあやめ)
寒溪蓀 冬の日差しの よき日かな
寒さのこの時期に花を咲かせるアヤメがある。カンアヤメで、漢字では寒溪蓀、寒菖蒲と書く。本来のアヤメが初夏のころに開花するのに対し、このアヤメは耐寒性が特徴のアヤメ科アヤメ属の多年草で、草丈は普通のアヤメよりも小ぶりで高さが三十センチほど。淡青色の花をつける。
最初に見受けたのは、寒牡丹で名高い葛城市当麻町の石光寺だった。寒牡丹を撮影に出かけたとき境内の片隅に咲いていた。ヒメシャガに似たところがある。写真の花は駅からの帰り、いつもの道とは違う道を歩いて出会った。冬の日差しが花を温めているように見えた。
晴れ渡った臘月の青空には上弦の月がかかっていた。月は常時地球を回り、地球が太陽を回っているので、月も同時に太陽を回っていることになるが、その軌跡は地球よりも複雑であることが言える。そして、月の満ち欠けは当然のこと起きることになる。弦月は月が半分地球の陰に入るときの月である。 写真はカンアヤメと上弦の昼月。
いつもとは 違ふ道行き 寒溪蓀
晴れ渡る 大和国中 冬の月
電線に 冬の弦月 掛かりけり