ようやく思い切って切り落とし低くした。新築の時に狭い庭に植えたクロガネモチ、それから30年が過ぎた。植える時にその時の樹齢を聞いた。もうすぐ20年物、という庭師の話しからすれば50年ほどの樹齢になる。赤い実は野鳥を誘い餌となり、どこかに子孫となる種を運ばせていた。
植える時にいま以上に伸びないよう処置をしてもらった。木は伸びないが春になると薄緑色の新葉が緑濃い古い葉を押しだして樹齢を増す。樹齢を増すたびに脚立に上り剪定ばさみを使って葉形を整え無駄な小枝を切り落としていた。自分では剪定でなく枝切と称して毎年繰り返してきた。
ある年だった。先輩が庭木の手入れで脚立から落ち骨折したことを知り、多少無理な姿勢で行っていた枝切を反省し、少し幹を短くした。同じ反省から2回樹高を下げた。今年は自分の歳も考え、脚立を使わなくても枝切りが出来る樹高に思い切って低くした。最初の三分の一ほどとし枝も落とし身軽にした、と自嘲気味に苦笑いする。
切ると新しい枝葉がどこからかのぞき出る。位置がよければそれを利用してこれからもう一度形を整えてやろうと思う。ここに新築する前20年位くらいの期間、庭師に習った松と樫の木の枝切経験が今日まで役立った。次からは脚立を使わずに毎年この季節に、新葉と会話しながら年を味わいたい。
(今日の575) 50でも新葉を出して生き生きす