クモの糸といえばだれもが知っている芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話を思い出す。そのお話はここではまたの機会にして次に進もう。早朝ウオーキングと銘打って歩いていたころ、桜並木では蜘蛛の巣が無数に並んでいる。それに引っかかると巣は「バリバリ」という音を立て破れ、頭部にねっとりとした網のようなものがくっつき、のぞくのに何度も苦労した。
そんな時、クモの巣を構成する糸の強さを、大きな蛾がかかっても破れないことなどから自然に会得した。軒下に張られたクモの巣、見つけると取り除いているが、時には頑固な巣もある。検索すればその糸の強さの秘密は知ることが出来るが、今日までそのままで来ている。
門扉を取りつけたレンガの柱から屋根に数本のクモの糸が伸びている。除こうとレンガとクモの糸の付け根を見ると、糸は大した仕掛けなどなくついている。因みに糸を引っ張ってみたが簡単には離れなかった。どんな接着剤が糸にあるのかと驚いた。こんなのが数本よじれあって1本の糸になれば素晴らしい力になる、改めて悟った。
現在の科学力をもって、クモの糸に模したものが人工的に作られたとしたら、衣服生活に大革命が起きるだろう、漁網や船止めのロープも変わるだろう。高架橋のつり橋は軽くなるだろう、急いで屋根に上って逃げるクモを苦笑し見ながらとてつもないことを思っていた。
(今日の575) クモの巣の中を覗いたことは無し