冬の味覚と言えば「カニ、牡蠣、河豚、あんこう、海老」が上位にランクされるが、海の幸が主役のようだ。中でもカニが1位という。カニと言えば、昔の話になるが、カニを食べるために職場仲間と有名な鳥取県賀露に一泊で出かけた。漁港近くの旅館で夕食に朝食とカニを堪能したのが、これまででカニについての唯一の贅沢になる。
定年後は高値で、この季節の本物のカニを口にすることはなくなった。そこで登場するのが「かにかま」、始めえてみた時は本物のカニと見間違えた。蒲鉾という文字がなければ綺麗に騙されていた。登場したのは昭和40年代の後半というから半世紀近くになる。この間、カニに近づける製法も味も、最適な魚種も研究されてきた。
先日、今冬はカニが一段と高値で「カニすき鍋」は手が出せない。代わりに「かにかま」が代役を引き受けている。「知らなかったら本物のカニと思うかも」というのは食した人のレポート、高評価に驚いたが、色や形は本物そっくりで区別で出来ないとか。
味はこれからだが「ほぼタラバガニ 焼いてもお鍋にも」、「ほぼカニ カニではありません しゃぶしゃぶ鍋に」のラベルのついた二つの製品がずらり並んでいる。「ほぼ」は租または略と書いて「おおかた、おおよそ」などの意味がある。それを承知してカニの味と感ずれば庶民の味として受け入れられる。コロナの規制緩和が解けたら新種の変異株で先行きおぼつかない。この「ほぼカニ」なら家庭でも簡単に楽しめそうだが、お味は鍋奉行の腕にかかる。