報道の映像は紅葉の秋から降雪や冠雪に変わり、寒さ到来に変わった。都会の街を行き交う人らの装いもすっかり冬に変わった。寒さ対策として、電気に灯油にガスの値上がりで暖房費節約対策として着こんで過ごすという。その話題に川柳好きな人が、それは貧乏くさい、明るく「エコな生活」をしてるのだと、柳人らしい解釈でみんなを笑わせた。
「起きれない 布団と体が くっついて」(小学5年 男)、子ども5・7・5に載った一句。寒い朝の起きにくい様子が子どもならずとも伝わる。私は紙面の川柳愛好家でいつも熱心に読んでいる。知人の作品に出会うと、往年の人柄を思い出し、川柳の力がこうも変えさせたのかとその隠された力に感心しながら観賞する。
川柳を読んだ感想は、物事の神髄をズバリ、政治や社会の矛盾を風刺、人の生活や心理、情など複雑な様子をわずか17文字で表現している。俳句も17文字だが、こちらは季語を入れる約束ごとがあるが、川柳にはそうした約束事がないだけに単刀直入で詠まれているところが小気味良い。
散歩の途中に、まだその色あせない紅葉が塀の上に構えている家がある。外から見ると塀の瓦が支えているようで、瓦にあっぱれをあげたい。「紅葉など 見る暇なしの この重さ」が瓦の気持ちではと指を折る。「川柳に 読まれて瓦 落ち葉待つ」。せかっく歩きながらメモしたので記しておくで、笑わないで。今日そばを通ったら紅葉は少し軽くなっていた。