大きな窓越しに、波静かな瀬戸内海を見おろしながらの同好会の昼食は550円の定食。当然のことマスクは外しているが黙食で進む。その時間は通常の3分の1ほどで終わる。食堂のTVニュースは、国家公務員倫理規程違反の霞が関の超高額な接待会食を報じる。ワインの値段に驚きの声が発せられたともいう。接待側の狙いは何か、一納税者として知りたい。
食事を終えた一人が「春カスミはいいねえ」と瀬戸内海の霞む島々を指さす。快晴の日は窓から見える名前のついている島は15、遠くの沖合に大きな柱島や小さな祝島が見える。さらに沖合になると遠くは広島県呉市が左方に、さらに四国山脈が望め、それは愛媛県まで至る。この施設から快晴の日、直線で90㌔ほど離れた石鎚山を撮ったことがある。
「春の海 ひねもす のたりのたりかな」、句は作れないが与謝蕪村のこの句は知っている。句のあることは知っているが言葉の意味を知らない。ちょっと調べてみる。ひねもすは「朝から晩まで一日中」、のたりのたりは「波などがゆるやかにうねる様子」。のたりは連続して一つの語になることを知った。
句の意味は何となく穏やかな浜辺の光景かな、そんな風に感じていたが、ひねもすと、のたりのたりの語を辞書で調べ「穏やかな春の日和、一日中緩やかに寄せては返す波の様子が詠まれている」そんな解釈になった。いまだ経験したことはないが、そんな浜辺を一日眺めていたら眠くなるだろう、蕪村に怒られそうな結末となった。