「ふぞろい」は漢字に直すと「不揃い」。その意味は「①揃わないこと。数の足りないこと。②形や大きさ、種類・調子などが一律でないこと。不斉(広辞苑)」とある。その例文に「不揃いな箸」が載っている。長さが不揃い、書類の端が不揃い、不揃いな文学全集などと普通に使う。着ている物の上下がアンバランスと言われるが、これも不揃いだといわず敬意をもってすこしカッコ良く言い換えたに過ぎない。
遊びと楽しみを兼ねた陶芸。粘土をこねて器を作る。今日こそは2個同じ大きさで同じ形の器を作るぞ、と始める。終わってみると納得の出来上がりはこれまでにない。次に素焼きをすると収縮するので、今度は不揃いがはっきりする。それを解消するには1日に80個くらい同じ器を作ると、体が覚え同じものが出来るようになる、とプロの陶芸家に聞いた。楽しみを超えることは難しい。
買い初めて何年にもなるが、不揃いを承知で買う物がある。それは知人の手配するこの時期ならではの柑橘類で大島産の「はるみ」。写真の様に不揃いなのはその大きさ、同じ箱のなかで仲良く収まっている。ちょっと店頭売りは難しが、私用には差し支えない。どうしてわざわざ不揃いを買うかと聞かれる。
その答えは「安いが味は不揃いでない」。大中小どれも同じ美味さで気分によって大きさ選んで皮を剥き始める。ミカンは風邪薬ともいう、新型コロナウイルスへの効能は不明だが、インフルエンザには罹っていない。このミカンの買い置きがつきるころになると桜の開花便りが聞こえ始める。錦帯橋の点検工事は終わった、さて花見の人出はどうだろうか。