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ある催事の会場から臨時駐車場まで仲間と歩く。途中から道の両側に水田が広がる、苗が行儀よく並んだ田植えの終わったそばを眺めながら歩くのは久しぶり。子どものころに遊んだ田植えのころを思い出す。同道の一人は5段の田に植え終わったところという。生産量は子どもや孫を含む1家族の消費量にあたるという。
苗が一直線に並んでいる田のそばで「うまく植えている」という。田植え機でも運転の腕次第で直線にもなれば蛇行もするというのは5段農家の知人。気づいたのは、水張され田植えの準備ができ田にオタマジャクシが1匹も見えない、カエルの声も聞こえない。農薬の関係と5段農家の人に教わる。一方で雑草が茂ったままの放棄田も多く、日本農業の縮図がここにもある。
ふと、先の国会で審議予定だったTPPは審議が先延ばしになった。日本の農産物の影響に関し、日本と米国の試算に大きな隔たりがあるという新聞報道を思い出した。記事では米について米国は対日輸出額が23%増といい、日本は国内生産額への影響はゼロという。輸入増はあるがその分備蓄米にとして買い上げるから影響はないという説明はよく分からない。
若者の人口は減少しその米食離れは進む。他方で高齢者数の増加には歯止めがかからず、その高齢者の食事量の増加は見込み無く、農産物の消費量減少は想像がつく。植えられた苗になんの責任もないのに、人間の都合であれこれ聞かされるのはたまんないだろう。立派に頭を垂れるように育とうとする小さな苗の真摯な姿がすがすがしい。