器用という言葉には、手先が良くきく、技芸に匠などいくつかの解釈がある。その中で「物事の役に立つ才能のあること」が今、考えていることに当てはまる。何も出来ないが何かを思いついたあとで、もしかしたらこれは実用新案かいや特許になるかも、という浅はかな考えに苦笑したことはある。それを実現させる人が陶芸仲間に一人いる。
その人の最新作はろくろの回転装置(勝手に命名)がある。陶芸用ろくろ、漢字でろくろは「轆轤」と書くそうだがとうてい覚えきれない。そのろくろ、回転可能な円形の台で、その上に粘土をのせ台を回しながら手を添えると綺麗な円形ができるはずだが、思い通りにはいかない。電動ろくろもあるが、教室では手動ろくろ、回転が落ちると手で回す、いい感じで円形になりそうだが、回転を上げるため手を離すと後に続かない。
教室のろくろにワイヤーを掛け、足踏みスイッチでモーターを回転させ手動ろくろを電動方式に変換する自作の装置を持参された。電動ろくろは使いこなせないが手動では回転操作が面倒、そんな困難を解決出来そうな一品。師範格のメンバーの試用後の感想は「こりゃあいい」と太鼓判だった。次回そっと試させてもらおう。
ほかにも釉薬掛けで、釉薬が剥げ落ちないように作品を掴む用具もある。どれも自宅のアトリエで製作という。ステンレスの板や番線を使ったそれらは見た目も爽やか。その人は幾つもの実用新案所持者で、地方紙でも紹介されていて、話を聞いていると子どもころに返った気になる。これぞ器用者、持っている才能を困っている人のために生かす人だ。いい作品作りのためお願いしてある用具の完成を楽しみに待つ。