日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

暇を出すころに

2014年10月17日 | 生活・ニュース


 父は新築して2年ほどで急逝した。その家は私が定年になるころ30数年の年月を過ぎる。定年後の棲家として改修するか新築するか、考えられる諸条件を折り込んで家庭内協議、結論は新築とした。場所を決めるに当たっては、加齢を考えて買い物や通院などにも便利な場所、それに広さを折り込んで相当な期間探し、今の場所で手を打った。それか20年が過ぎた。

 棟上げから1カ月後、阪神淡路大震災が発生。当時のわが家も大きく揺れたが、それ以上に建築中の物件が心配になった。幸いなことに何の異常もなく無事だった。震災被害地の仮設住宅建設へ必要ということで、便器やエアコンの入荷が遅れ、建築業者も慌てた思い出がある。何とか手配でき入居にこぎつけた。引っ越しの最中、東京でサリン事件が起きる。よくよく大きな事件に関係する新しい我が家、いささか行く末を心配したことを思い出す。

 台風対策や室内通気の改善工事、外壁塗装の保守工事などいくつかの出費は重ねたが、来春、人でいえば成人の月日を重ねたことになる。この期間、1度も手を加えなかったのが畳、畳表の返しは3年目に、そんな話は耳にしていたが、そのころは傷みなどほとんどなく見送っていた。最近、年月を経て畳表の薄い茶色も貫禄備わり、痛みも見え始めたので表替えを決めた。

 新築以来、床板を見るのは初めて。「全く傷んでいませんね」は畳職人の床板評価。たいした埃もなどもなく安堵する。夕方、イグサの香りを張りつけたような青々した畳が返ってきた。何事もなかったかのように寸分も違わず元の位置におさまる。縁も表も新製品、もう替えることはないだろう、そう思いながら、空雑巾で拭く。色がより鮮やかになる。
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