なんだか強く手を押さえつけられているような感じがする。そこで目が覚めた。お昼を済ませガラス戸越しに入る日ざしを背に雑誌に目をとおしていた。ページをめくりながら、うつらうつらと…、そこらあたりくらいまでは記憶に残っている。
うたた寝をしていたようだ。うたた寝は気持ちよい。寝入るまでは何度か目をパチパチ、顔を左右に振るなど睡魔を追っ払うこともある。それは寝入りへの儀式のようなもの。大きな変化をとらない限りその道へと進んでいく。
寝るつもりはないのに眠るのがうたた寝。熟睡でなく浅い眠りなのに目覚めはよい。うっかりうたた寝をして、約束の書きあげる時間を失い自分に八つ当たりしたこともある。それでも和みを感じさせるのがうたた寝だろうか。
ガラス戸の外には柔らかい日がさしている。昨年末に植えた葉ボタンがその日ざしを受け、私と同じようにぼんやりしているように見える。そう、うたた寝をしているようだ。こんなのどかなひと時に「関東地方では春一番が吹きました」と季節情報がテレビから流れた。
(写真:温かい日ざしにまどろんでいた葉ボタン)