広場にはグランドゴルフのコースが10余り設けられている。乾いた打音とその都度起こる拍手に歓声、その合間に小さなため息が起きる。この広場ではよく見かける光景。日差しはあるが冷たい風が吹いている。声はそれに流されていく。
鳥取県のある地区で生涯スポーツ活動推進事業の一環として、教育委員会が中心になり考案されたグランドゴルフ「高度な技術を必要とせず、しかも全力を出す場面と、集中力や調整力を発揮する場面がうまく組み合わされており、ルールもごく簡単なことから、初心者でもすぐに取り組めます」というキャッチフレーズ通り、ゲートボールを凌駕したという。
「高齢者には手間のかかる準備がないのがいい」とこれを楽しむ人から聞かされている。たしかに、ゴールポストが立っているだけだ。その中で赤や青や緑など好みの色が入り混じる。見ていて飽きない。
生涯スポーツとして高齢者が長く続けるには「気楽に気やすく」がひとつのポイント、目の前でるり広げられているプレーを見ながら、退職前の講座で教わったことを思いだし、ひとり納得した。
わずらわしい、めんどくさい、新しいことを始めようとすると必ず頭を持ち上げてくるこの気持。そんなことで、これまで何度も何かを失っているようだ。数年前、誘われた時から続けていたら、スコアはどのくらいになっているだろう、虫のいいことを考えていた。
(写真:さわやかなプレーが続く広場)