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予報通りだが激しい雨音に窓を開けた。傘を持たない子が走っている。小学校の下校時間。急いで数本の傘を持ち外へ。
1本の傘を持ち合っている仲良し。通りがかりのご婦人の傘でしのぐ子。半泣きだった低学年の女の子は、広げた傘を渡すとこっくりと頭を下げた。ありがとうと、男の子は受け取らずに駆けていく。
手持ちの傘がなくなったころ、雨雲は通り過ぎ、ひと時の慌しさが終わった。
大粒の雨の中、元気で明るい子どもたちがうれしかった。
日の暮れるころ、丁寧なお礼の言葉と一緒に傘たちは帰ってきた。
2008年6月25日 「毎日新聞 はがき随筆掲載」
(写真:雨の日のひとこま))