詩篇 88篇
きのうは「降誕後主日」でした。教会ではクラリネットとピアノによる特別賛美のひとときがありました。一曲目は「優しくも愛らしき」。讃美歌21では「飼いばおけにすやすやと」として親しまれている愛らしいクリスマスの讃美歌です。そして二曲目は「アメイジンググレイス」でした。暖かで優しさが伝わってくるような神さまからの素晴らしい贈り物でした。
詩篇88篇のタイトルには「コラの子たちの賛歌」とあるのですが、どこにも神への賛美は見当たりません。ですから、ある人々はこの詩篇の後半はどこかに紛失してしまったのだとさえ考えます。確かに、この詩篇には苦しみのただ中にある作者の神への祈りと、神が作者に何をなさったのかが交互に歌われています。まとめると次のようになります。
作者は主に
・昼は、叫び、夜は、あなたの御前にいます
・私は日ごとにあなたを呼び求めています。あなたに向かって私の両手を差しのばしています。
・しかし、主よ。この私は、あなたに叫んでいます。
主は作者に
・あなたはわたしを最も深い穴に置いておられます。
・あなたの激しい憤りが私の上にとどまり、あなたのすべての波であなたは私を悩ましておられます。
・あなたは私の親友を私から遠ざけ、私を彼らの忌みきらう者とされました。
・主よ。なぜ、私のたましいを拒み、私に御顔を隠されるのですか。
・私はあなたの恐ろしさに耐えてきて、心が乱れています。
・あなたの燃える怒りが私の上を越え、あなたからの恐怖が私を滅ぼし尽くしました。
・あなたは私から愛する者や友を遠ざけてしまわれました。
こんな目に遭わされてもなお、神に信頼して呼び求める作者のひたむきさが痛々しいほど伝わってきます。こんなにもひどいことをされたのであれば、もう祈るのをやめたら…と言ってやりたくなるようにも思えます。それでも、彼は主に祈るのをやめません。何があっても信頼しているのです。ここに、作者と主との強い絆を確認できます。
*写真はルカス・クラナハによるマリヤとエリサベツ、それに幼子イエスの降誕の絵(シュテーデル美術館)