ルカの福音書 1章26−38節
この箇所は、多くの絵画作品の元になった「受胎告知」の場面です。祭司ザカリヤに現れた神の使いガブリエルは、今度はガリラヤのナザレに住むマリヤのところに現れました。ナザレには受胎告知教会というのが建てられています。隣にはヨセフにちなんだ教会も建つのですが、大きさでは受胎告知教会のほうが勝っていました。ついでですが、各国からのマリヤの絵がこの教会の中に張られてあったのが印象的でした。写真は日本からのマリヤ像で、細川ガラシャ夫人がイメージされたのだそうです。
ガブリエルはマリヤに「おめでとう。恵まれた方。主があなたとともにおられます」とあいさつしました。これは、「喜びなさい、あなたはすでに恵みを受けました。主があなたとともにおられるのです」ということです。「おめでとう」「喜びなさい」と言われたマリヤは戸惑うのです。
「おめでとう」「恵まれた方」と言われたら、「まあ、なんて嬉しいことでしょう!」となり、神の恵みを得たマリヤはこのあと幸せに暮らしました…というように進むはずですが、そうだったのでしょうか。神のご計画を信じて受け入れた時から、マリヤはスイスイ、トントンと物事がうまく行くようになったということではなくて、むしろ逆だったのではないのでしょうか。戸惑うマリヤ、悲しむマリヤという印象がむしろ強いのです。
神に恵まれるとはどのようなことなのだろうかと、立ち止まって考える箇所です。