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江國香織『号泣する準備はできていた』

2014年09月12日 00時35分59秒 | 文学
江國香織『号泣する準備はできていた』(新潮文庫)を読んだ。
この本のタイトルはかなり印象的で、加藤典洋が作品の中身ではなくてタイトルを何かを語るために引用していたこともあり、記憶している。
つい最近、NHKの『本棚食堂』という、登場人物たちが本に出てくる料理を実際に作って食べるというドラマで、この小説が取り上げられていたことで興味を持って買って読んでみた。
江國香織は『きらきらひかる』がおもしろくていっとき読んでいたこともあるのだが、『きらきらひかる』以上におもしろいものがなく遠ざかっていた。もう二十年近く。
今回久しぶりに読んだが、やはり続けて読もうというほどは惹かれなかった。
短編集なのだが、どれも(私には)短い。
もっと話を続けるべきじゃないかと思うところで(私の印象では七割くらいのところで)終わる。なので食い足りなさが残った。
そのくらいの短さで、何かを思わせる程度で終わらせるのが江國香織の狙いなのかもしれないが、私には物足りなかった。
しかしもちろん読んでいる間はおもしろいものもあった。最初の短編などはおもしろかった。繰り返すからおもしろくなくなったのかもしれない。
「溝」という短編で、
《半荘麻雀ではあったが、思いの外時間がかかった。》(89頁)
との表現があり、江國香織が麻雀を知らないにしても新潮編集者にも麻雀を知っている人はいないのだろうかと思った。
私は実際に打つ麻雀を半荘(ハンチャン)以外でしたことがない。
言いたいのは、半荘一回だけだったが、思いの外時間がかかった、ということだろうか。だったらわかるがそのようには読めなかった。

昨日NHKで夏目漱石の『こころ』について関川夏央や高橋源一郎や小森陽一が語る番組があり、また『こころ』を読みたくなった。
何度も読みたくなるってやはり名作なのだろうな。
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