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小林秀雄づくし

2012年10月24日 22時14分40秒 | 文学
ふと思いついてしばらくまえから小林秀雄の「考えるヒント」(『小林秀雄全作品 23』では上巻所収)を読んでいる。何がきっかけだったかよく思い出せないが、大岡昇平が小林秀雄入門には「考えるヒント」が最適というようなことをどこかで言っていて、ちょっと再読してみようかと思ったように思う。
半分読んだ。
たまたま小林秀雄の講演CDも手に入ったので聴いている。小林秀雄づくしである。
講演では本居宣長についての話が多く、おもしろいのだがいま僕が興味を持っている小林秀雄は本居宣長好きの小林秀雄ではない。文芸評論から距離を置いて、骨董をやったり音楽をやったり美術をやったりという小林秀雄に興味がある。

《作家が、芸術というものについて、ロマンチックな夢を抱いているから、作家の仕事に、何か特権意識が伴う。何故、そんなものから離脱して、社会の他の様々な職業のうちの作家業をやっているに過ぎないという自覚に立ち戻らないのだろう。それが根底的な事だ、と彼は言いたいのである。》(「「菊池寛文学全集」解説」)

菊池寛のことを語りながら自分の意見を言っているのだが、文学を特別なものではないと考えようとする小林秀雄に興味がある。
以前『小林秀雄全作品』を読んでいたときも、小林秀雄が匿名批評に興味を持ち、小説というものはおもしろいおもしろくないというような一般人の単純な評価にさらされるべきだというようなことをどこかで語っているのを読んで、「へえ」と思い、そこにもっとも感心した。
小林秀雄嫌いで有名な丸谷才一にいま興味を持つのも、彼が私小説が嫌いで、小説の主人公の職業が作家ではないところだ。
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