遺産相続においては、当然、子供の存在が大きく関わってきますし
また、トラブルの原因になることも多いのですから
遺言が大きな意味を持ってきます。
【先妻と後妻の両方に子供がいる場合】
波平には、かなり昔に離婚歴があり
その先妻との間に子供がいたとしましょう。
この先妻は相続人になりませんが、この子は法定相続人となりますので
子供は4人となり相続割合は均等です。
例えば遺言により、この先妻に形見分けとして遺産を残したり
サザエにより多くの財産を相続させることもできます。
【内縁の配偶者やその間に子供がいる場合】
(波平の場合、愛人はいつでも作れますが
内縁の妻はフネとの結婚前の話でしょう)
内縁=事実婚については、以前
将来のワカメを例え話にしたことがあります。
その際に触れましたように
内縁は、いわゆる愛人関係とは別物ですが
法律的な婚姻関係がない点においては同一で、相続人にはなれません。
その彼女との間にできた子供は
認知をしていない限り、相続権はありませんし
認知していても、嫡出子の半分の相続分になります。
例えば遺言によって、その子を認知したり
遺留分を侵害しない範囲で財産を残すことが可能です。
もちろん同じく、彼女にも遺贈できますし
生前贈与によって財産を残すこともできます。
(遺贈…遺言書によって財産を残すこと)
【結婚した相手に連れ子がいる場合】
サザエさんは波平と養子縁組をしない限り、相続権はありません。
生前に養子縁組を行うか
遺言で遺贈をしなければなりません。
【未成年の子供がいる場合】
磯野家はカツオとワカメが未成年ですので
親権者(通常は両親)が必要で、この人は
子供の財産を管理したり、教育したり、保護したりしなければなりません。
フネに先立たれていて波平が死ぬと親権者がいなくなってしまうとき
言い方を変えると、波平が最後に親権を行う人のときは
遺言で未成年後見人(*)を指定できます。
そうしないと、親族等の請求により
家庭裁判所が選任することになってしまいます。
ただし、未成年後見人は必ず一人ですので
「弟夫婦」のように2人を指定すると無効になります。
未成年後見人には親権者と同様の権利義務が与えられますので
遺言で指定して、一番信用のできる人に見てもらえるようにしましょう。
それでも心配な場合は、さらに
未成年後見人を監督する未成年後見監督人を指定することもできます。
(*) 親権者、未成年後見人ともに法定代理人の一種ですが
遺産相続において、未成年者と親権者(または未成年後見人)の利益が相反する場合
親権者(または未成年後見人)は、家庭裁判所に
未成年者の特別代理人の選任を請求しなければなりません。
フネが存命中に波平が死亡すると、フネが親権者となりますが
フネとカツオ、ワカメは利益が相反しますので
遺産分割においては特別代理人の選任が必要です。
「この未成年の子供がいる場合」の後見人と代理人については
遺言書でできる、できないの関係が話がややこしいので
再度、勉強した上で訂正があるかもしれません。