保護猫活動する隠居爺の野菜作りとスキーの日記そして病気の記録

冬場の60日以上はスキー、夏場はそのための体力作り&自給用野菜作り、そして保護猫活動と病気の記録も綴ります。

義母が他界しました。

2012年02月21日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

2月16日午後5時28分、急性間質性肺炎により義母は永眠しました。

享年81歳、まだ平均寿命に達しない若さでした。

風邪の発症から50日、肺炎の発症からは
僅か42日間という短い闘病生活の末のことです。 

葬儀もすでに滞りなく済ませることができました。

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改めて「間質性肺炎」を知る

2012年02月11日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

肺の内部の気管支の末端には、肺胞という球状の袋がいくつも付いていますが
呼吸するためにはこの袋が正常に機能しなければいけません。

この肺胞同士を結合させているのが、毛細血管やコラーゲン線維から成る間質です。

間質性肺炎は肺炎の一種ですが
細菌やウィルスを原因とする一般的な肺炎のように肺胞内部に炎症が起きるわけではなく
肺胞壁を構成しているこの間質という部分に炎症が起こり、線維化して硬くなってしまう病気のことです。

その進行は急性で、その原因により塵肺・薬剤性肺炎・過敏性肺炎などがあります。

塵肺は金属や鉱物の粉塵を長期間吸い込んだため、薬剤性肺炎は薬の副作用のため
そして過敏性肺炎はカビに対するアレルギー反応により引き起こされます。

ただし、間質性肺炎の約50%は“原因不明”であって、かつ、これといった治療法もなく
未解明の部分も多いため、国の特定疾患に指定されています。

間質が炎症を起こし、肺が線維化していくメカニズムは次の通りです。

1.間質に炎症が起こると、間質の細胞に傷がつきます。

2.傷を修復するために、コラーゲン線維を生産する線維芽細胞が増殖します。

3.傷が治っても線維芽細胞の増殖は止まらず、どんどんコラーゲン繊維が重なっていき
肺胞壁が厚く硬くなっていきます(これが線維化という状態です)。

4.繊維化が進むと、肺胞腔と毛細血管の距離が遠くなって肺胞が崩れてしまいます。

5.ガス交換が上手くできなくなるため血液中の酸素が不足し呼吸困難になる呼吸不全になります。

間質が一度線維化してしまうと、残念ながら元の状態には戻りませんので
治療は進行させないことを目的として行います。

治療は薬物療法が基本で、炎症を抑えるための「ステロイド薬」や「免疫抑制剤」が用いられますが
いずれも副作用が多く、また、どんな人にも必ず効くとは限らず、治癒率は非常に低いと言われています。

ちなみに、5年後生存率 38%、平均余命1~2ヶ月、回復する場合は自然回復です。

 

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どこまで延命治療をお願いするか

2012年02月09日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

すでに病院には何枚もの「同意書」や「誓約書」を提出していますが
その文面に“延命治療”という文字は見ていないと記憶しています。

代わりに、昨日、始めて“蘇生処置”をどこまで施すかを尋ねられ
口頭での回答の後で1枚の書類に署名をしましたので
これがいわゆる“延命治療の中止”に対しての最終的な同意になるのでしょう。

 

*終末期医療…治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがない状態の終末期に行われる医療の総称で
病気に対する医療や苦痛緩和のための医療、生命の維持のための医療等が含まれます。
具体的には、薬物投与、化学療法、人工透析、人工換気、輸血、酸素吸入、栄養・水分補給など。

*延命治療…回復の見込みのない患者に対する生命維持のために用いられる治療です。
心臓マッサージ、人工呼吸器などの蘇生処置も含まれ
これらが特に高齢者に対して行われる場合、ただ死期を延ばすために行う治療になるようです。
多くは本人の意思ではなく、家族など周りの人間の意志で行われると言われています。

 

義母は今まで、気管挿管はICUで1カ月の間に2度行い、2日前から一般病棟でマスク型になっていますが
ベットで少し身体を動かしただけでも酸素が不足し呼吸困難になってしまう状態です。

3度目の挿管は無理と言われ、気管切開は本人・家族ともに拒否していますので
日数とともに減少させなければならないステロイド剤投与に対して
間質性肺炎が再度、進行する場合には「もう打つ手がない」とM医師からは告げられています。

こうなった場合、高齢者の心臓マッサージについては蘇生の可能性は低く
結果的に苦しみを引き伸ばすだけになることも多いと聞き、これも実施しないように
ただ、モルヒネ投与や点滴を少しずつ減らすなど、苦しさと痛さの緩和処置は
くれぐれもお願いします、と口頭と書面でお答えしてあります。

  

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医師Aのレポート…延命治療について

2012年02月07日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

延命治療ということが話題になる場合、この言葉は「意味のない延命治療」として使われることが多い。

しかし、実際の医療の現場で、ある治療が「大切な救命治療」か「意味のない延命治療」かを判断するのは常に難しい問題である。

例えば、食事を取れなくなった高齢者に栄養を点滴することは必要な救命治療か、意味のない延命治療か? 
さまざまな身体的条件、本人の意思を総合的に判断して決めることになるが、一般的に栄養の補給は必要な救命治療で、意味のない延命治療とは考えられていない。
家族が栄養の補給を拒否する場合はごくごくまれなケースである。

具体的に「延命治療」となりうる治療方法を列挙してみよう。

(呼吸機能)

・気管挿管…救急救命の蘇生処置として気管にチューブを入れる処置。その後、自発呼吸機能が改善されればよいが、そうでないと気管切開型の装着が必要となる。
 
・気管切開…通常は救急的処置で気管内挿管された後、長期に渡って呼吸管理が必要な場合に実施されることが多い。
 
*人工呼吸器は救急救命の強力な手段であって、蘇生手段として装着され、多くの人の命を助けている。
一方で、呼吸機能の回復がなく人工呼吸器が外せない場合は、無駄な延命処置として尊厳死の問題が生じている。

(栄養補給)

・末梢点滴…一時的な脱水、栄養不足には対処出来るが、長期的には十分な栄養は補給できない。何度も点滴していると血管も使えなくなる場合も多い
 
・中心静脈栄養…長期的な栄養補給が可能であるが、深部の太い静脈にカニューレを挿入する必要がある。気胸、動脈穿刺などの事故がおこることもある。数か月で発熱の原因となり、繰り返し穿刺が必要となる。
 
・経鼻胃管…鼻からチューブを胃に挿入して流動食を滴下する。チューブが不快で自己抜去することも多い。
 
・胃瘻(いろう)…皮膚から胃に穴をあけ、栄養を滴下する。内視鏡的手術で造設されるが、手術には合併症や危険も伴う。完成すると管理は容易。数カ月ごとにチューブを交換する。

(心臓機能)

・ペースメーカー…心臓のリズム不整で心不全をおこす場合に植え込まれる。高齢者の場合、心機能の異常を寿命と考えるか、ペースメーカーを用いても治療すべきか迷うことも多い。

(腎機能)

・人工透析…腎機能が低下して、尿毒症や心不全状態で導入される。
 短期間で必要がなくなる場合もあるが、一般には生涯必要となり、毎回、長時間の透析が必要となる。
 精神・身体的負担は大きい。

(その他)

・酸素投与…呼吸、循環機能障害で酸素濃度が低下したとき一般的に行なわれる
・輸血…消化器癌などで貧血が生じた場合など。補給的治療で一時的な対処である
・薬剤投与…強心剤、鎮痛剤、その他いろいろの薬が使用される
・蘇生処置…心マッサージやアンビュウーバッグによる呼吸。救命のための一時的な処置

 

では、何が「意味のない延命治療」か?

どのように考えたらよいのであろうか?…その際の判断項目

1.生存期間…その治療方法を行なった時と行なわなかった時の生存期間の差は?

2.生命の質…その治療法で延命された状態でどのような“生命の質”が保たれるか?
     ①(循環・呼吸機能) 自分で呼吸が出来るか    
     ②(植物的機能) 栄養が与えられれば生きていくことが出来るか 
     ③(動物的機能) 自分で動くことが出来るか  
     ④(思考能力) 自分で考えることが出来るか 
     ⑤(生活の質) 苦痛のない、喜び、楽しみのある生活を過ごせるか 

3.本人の意思…本人はどこまでの治療を望んでいるか?

4.生命の倫理…「命の尊さ」と「人間としての尊厳」の調和

1と2は、その治療法を行なうと「どういう生き方」で「どのくらい生きていけるか」を予測し、その状態が、本人の意思と生命の倫理に合致するかを考えて総合的に判断する。
3は、本人が意思表示できない場合は家族が本人の意思を代弁することになる。
4では、患者、家族と治療する側の考え方が一致するのが望まれる。

具体的例を考えてみよう。
(1)脳梗塞で寝たきり、植物状態で経管栄養で長期に生きている
(2)末期の消化器癌のため食事摂取できないが、中心静脈栄養で生きられる
(3)85歳で認知症が進み、意思疎通も困難。腎不全で人工透析が必要
(4)蘇生処置を受けたが自発呼吸が回復せず、人工呼吸器で生きている
 
私の考えは
(1)と(2)の栄養補給は必要な基本的な治療と考える。
(3)は判断が難しい。少なくとも、単に高齢だからとか、高度の認知症だからという理由で透析は不要な治療という考えには賛成できない。
ただ長時間の透析は束縛・拘束とも考えられ、本人の苦痛はどうか。
また、透析回路を引っ張ったりすれば危険も伴うことになる。
(4)は意味のない延命治療。

 

 

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「気管切開」するか、しないかの選択

2012年02月05日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

義母は“人工呼吸器なし”では、今後生きて行くことはできないようです。

この場合、気管挿管型から気管切開型への変更が必要とも言われています。

延命治療、安楽死や尊厳死などについて急いで学んで
担当医から数日中には問われるであろう家族としての考えを示さなければなりません。

風邪の診断から僅か1カ月、“まさか”が現実になろうとしています。 

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生存できるのは、3人に1人…

2012年01月30日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

一昨日の時点では、義母は肺炎の病状が悪化して
間質性肺炎のうち肺線維症を併発しているのだそうです。

今までは肺胞の中の炎症だったものが
肺胞を取り囲む毛細血管が通る間質の一部にまで炎症が起こり
柔らかい間質が硬い繊維質になることで本来の呼吸機能が損なわれる症状との説明でした。

すでに細菌は検出されていなく、まったく別の肺炎なのだそうで
免疫機能が誤作動を起こし、自らの身体を損傷させているのだとも聞きましたが
担当医からの説明にしろ、ネットで調べた情報にしろ
それぞれの因果関係というか、繋がりが難しくて今ひとつ理解できません。

その際、「免疫を抑えるより強いステロイド剤を投与します」と言われたと思いますが
担当医から続けて告げられた次の言葉のショックでよく覚えていないのです。

「生存できるのは3人に1人です。心臓マッサージが必要になった場合、延命を図りますか?」

つまり、3人に2人は亡くなるということではありませんか!

年初め、風邪でゴホゴホしていたのは知っていますが
その後の緊急入院でマスク型の酸素吸入をしている時に2、3度、呼吸困難で苦しそうな表情を見ただけで
あとはほとんど、気道挿管式の人工呼吸器で眠らされたまま亡くなってしまうというのでしょうか!?

“死ぬ”ことを「息を引き取る」と言うように、肺がこれほど直接的に命に関わるとは
いい年をして今さらながら思わずにはいられません。

日頃、私などには煩く感じるほど二人でよくしゃべっていた女房の進言により
心臓への延命処置はお断りしましたが…。 

 

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ある医師のインフォームドコンセント(抜粋・一部加工)

2012年01月25日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

(インフォームド・コンセント)

正しい情報を得た(伝えられた)上での合意を意味する概念。

医療行為(投薬・手術・検査など)においては
患者が治療の内容についてよく説明を受け十分理解した上で
自らの自由意思に基づいて、医師を含む医療サービスの提供者と方針において合意することです。

単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を「拒否」することも含まれています。

説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく
代替治療・副作用や成功率・費用・予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれます。

また、患者側も納得するまで質問し説明を求めなければなりません。


(高齢者肺炎のインフォームドコンセントの注意点)

・肺炎と診断した根拠と、どういう治療をするのかを分かり易く説明する。
・原因菌の確定前に、治療を始めて効果を見ながら変更していくことを説明する。
・外来で治療するか、入院して治療するかの検討。
・理解判断能力の低下した高齢患者への配慮。
・終末期においては肺炎の積極的な治療をしないという選択肢もあり得る。

 

(治療効果が出ないときの説明)

原因菌の決定を基にして適切な抗生物質療法をやっても、治療効果がでない場合があります。

高齢患者では、患者自身の免疫力が落ちて治療効果が出ない場合や
誤嚥性肺炎を繰り返す場合、肺がんなどによる閉塞性の肺炎の場合などは
ある意味、終末期と見られ、どこまで積極的な治療を続けるかについては、難しい倫理的な問題を含んで来ます。

「人工呼吸器をつければ、呼吸は楽になるかもしれませんが
意識を低下させるような薬を使うことになり、色々話すことは難しくなるかもしれませんが、どうしましょうか」と
最期の時期にどのような治療を患者が望むのかという確認は必要です。

古い西洋の諺に「肺炎は老人の友」という言葉があり
静かで苦しみも感じない大往生の形で最期の時を迎える高齢患者も少なくないのです。

肺炎の終末期医療において
積極的な肺炎の治療をしないことは患者・家族を見放すことではありません。

「肺炎の治癒は難しいかもしれないが、苦痛を取ることは最大限行っていきますから」というように
患者家族を支える言葉も大事なのではないかと思われます。

 

(意思決定能力の確認と事前指定・代理決定)

前記のように高齢の肺炎患者では、痴呆などの疾患だけでなく
低酸素血症や高炭酸ガス血症により理解力や判断力が低下してくることがあります。

微妙な意思決定能力の評価は精神科医に依頼することになりますが、一般的には
(1)検査・治療方法が判る理解能力
(2)自分なりの根拠によって選択できる評価能力
(3)その選択を伝える伝達能力
があれば、意思決定能力があると判断してよいでしょう。

ある期間をおいて再確認できれば、決定の信頼性は高まります。

病状が悪化して意思決定能力が低下する場合に備えて
自分なりの治療についての意志表示をする「事前指示書」や
代理決定する人を決めておく「事前指定書」を作る病院も出てきています。

いずれにしろ、患者の意識がなくなる前に
どのような最期の日々を迎えたいかということを話しておくことは担当医の重要な仕事です。

また、そのようなものを残さず意識低下状態に陥った場合には
患者の関係者による「代理決定」がなされることになりますが
患者本人の意思を推察できる人による代行判断を仰ぐことになります。

これも難しい場合には
患者の関係者によって自分たちが患者の状況だったらどう望むだろうかという
最善の利益を考えて治療方針を決定していくことになります。

 

(代理決定を求めても、家族間で意見が別れたらどうするのか?)

家族などが代わりに意思決定をする場合、患者本人の意識があった時の言動をよく知っていて
その思いを代弁できる人による代行判断が優先されますが、どうしてもそれが難しい場合
自分がその立場だったらどうして欲しいかという最善利益の視点から関係者が協議することになります。

このような場合、医師からは
「患者さんの意識があったとしたら、どうされたいと思われるでしょうか?」などと尋ねながら
この患者さんがこれまでどのような人生を送って来られたかを訊くようにすると
決定の方向が何となく見えて来ますし、代理決定する人の精神的負担の軽減にも繋がることが多いのです。

医師から「この方法が良い」などと強く奨めることは控え
何よりも声が大きいなどのキーパーソンの考えだけで決定することは避けなければなりません。

とにかく、充分に家族の思いを聞くことには時間をかけるべきです。

特に、状況が悪化し呼吸不全で人工呼吸器を付ける場合など、医師としては
早急に結論が欲しくなりますが、ある程度の家族内のコンセンサスが出る前に治療を決定すると
後々まで家族内のしこりを残すことにもなりますので注意しなければなりません。 

 

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高齢者(65歳以上)の「肺炎」事情

2012年01月24日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

日本の全年齢における“原因別”死亡統計によると、肺炎はここ10数年来
がん・心臓病・脳卒中に次いで第4位を占め続けています。

ただし、85歳以上では2位、90歳以上では第1位です。

近年、新しい抗菌剤が数多く開発され使用されているにも拘わらず
死亡原因としての肺炎は減少するというより徐々に増加傾向にさえあるのです。

さらに、肺炎で死亡した人の90%は65歳以上の高齢者なのですから
医療が発達した現在でも、高齢者とってはまだまだ非常に厳しく恐い病気と言えます。

 
多くの高齢者の命を脅かす肺炎の特徴として、以下の4点が挙げられます。

(1)老化による生理機能低下のため、咳・痰・発熱などの典型的な臨床症状を欠くことが多く
これが肺炎の発見の遅れにつながる可能性があるとされています。
 
(2)高齢者は様々な基礎疾患(成り立ちの大もとの病気)を持つことが多く
肺炎が重症化し易くなる傾向があります。
 
(3)老化による薬物代謝・排泄機能の低下のため、治療薬の副作用が生じ易くなります。
 
(4)誤嚥(ごえん。異物を誤って飲み込むこと)の関与が原因として大きい
つまり、口腔咽頭内に定着した菌を下気道に吸入することによって
肺炎を引き起こすので再発もしやすいのです。
 
 このように、高齢者ほど死亡率が高くなる肺炎ですが
インフルエンザが流行する冬場は特に要注意で
「元気がない、食欲がない」程度の症状でもいきなり重症化する例があります。

 

ところで、肺炎には次のような種類があります。

①一般の社会生活を送っている人がかかる市中肺炎
(細菌性が多いがウイルス・マイコプラズマ・クラミジア・レジオネラなどの“非定型”もある)

②病院や老人ホームなどでかかる施設内肺炎(グラム陽性菌・陰性菌)

③食物や唾液が気道に入って起きる誤嚥性肺炎(口腔内常在菌)

④肺が縮む間質性肺炎(非感染性)など

 

重症化する肺炎は大半が細菌感染です。

インフルエンザから肺炎を併発して死亡する患者さんも、ウイルスだけで肺炎になる人は少なく
ほとんどが肺炎球菌やブドウ球菌などの細菌が二次感染したもので
現代は“新型”に注意が向けられがちですが、お年寄りは
従来の季節性のほうが死亡率もはるかに高いとされています。

肺炎はとにかく進行が早いので、迅速な診断が必要です。

発熱、せき、たんなどの症状、X線検査で肺が白く見える浸潤影
血液検査で白血球値や炎症値(CRP)の上昇があれば肺炎の疑いが強いのですが
病原菌の確定には時間がかかるため、まず重症化しやすい細菌性を念頭に治療を始めます。

細菌性で最も多い病原菌は肺炎球菌ですが
ほかにインフルエンザ菌(ウイルスとは異なる)、黄色ブドウ球菌などがあります。

治療にはペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系の抗生物質を投与します。

重症度を判定して、軽度なら外来で内服、中等度で脱水などがあれば
入院して点滴を行うことになります。

非定型肺炎の疑いが強い場合はマクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質を使用しますが
高齢者の誤嚥性肺炎はペニシリンなどの内服薬が効き難いので入院して点滴で投与します。

いずれにしろ、肺炎治療は抗生物質の種類と量、投与法をどう決めるかがカギです。

判定は治療開始から3日で行い
熱、白血球、CRP値などが下がって来なければ、薬の種類や量を見直します。

X線は遅れて反応するので、影が残っていても熱が下がればひと安心です。

お年寄りは熱が上がりにくく、体の反応も鈍くなるので、治療が遅れて重症化し易く
また嚥下力も落ちてくるので誤嚥性も多く、家族や介護者が
細かに観察してあげることが早期発見には重要です。

昨今、予防策として肺炎球菌ワクチン接種が注目されています。

単独で有効という疫学データはまだないのですが、米国ではインフルエンザワクチンと
合わせて接種すれば、重症化や死亡率を下げるという報告もあります。

一度の接種で5年間は抗体があり、費用は6000~8000円程度
肺炎球菌ワクチンを打てばすべての肺炎にかからないというものではないのですが
かなりの予防効果が期待されていますので、季節性インフルエンザと肺炎球菌ワクチンを
合わせて接種することが奨められています。 

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肺炎は一進一退、“死の選択肢”もある…

2012年01月21日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

81歳になる義母の肺炎は、一般病棟にようやく移って
マスク型呼吸器で済むまでに回復したと思った途端
一晩でまたICUに戻されるという重篤な状態に陥ってしまいました。

肺炎球菌の姿は痰の中にもう見受けられないのに、それまで繁殖が抑えられていた
別の細菌が増殖し出して面倒なことになっているのだそうです。

肺の炎症を抑えるために投与されるステロイド剤によって
身体の免疫作用が下がっていることがその側面にあるらしいことが
医師の難しい話とネットの情報から、おぼろげながらも理解できました。

発症から3日でこの世を去った愛犬ぺぺは血液でしたが
また「免疫」なる単語が登場しているのですから、コトの重要性は想像に難くありません。

担当医から再度、呼び出しを受け気道挿入型を長く続けていると
肺の呼吸能力が下がってもし回復しても、気管切開型の人工呼吸器を
装着したままの生活になる確率が高まると説明されました。

またその際に「気道型をもう挿入しない選択もあり、その場合は
亡くなることになります」と家族としての意向を問われたのです。

風邪との診察からたった1週間後に、それでも直りが遅いから、と再び訪れた病院で
肺炎と診断されてその日に入院、その3日後にICUに運び込まれて
ほとんど薬で眠らされたまま死なせてしまうなど、できるはずがないのです。

普段から口にしていた「もう、いつ死んでも良い。ただ、楽に逝きたい」を真に受けて
このまま呼吸器を外すのであれば、それは確かに
本人の意向にほぼ沿っているとはいうものの…。 

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ICUですでに5日

2012年01月14日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

1日3回、朝昼夕の合計でも2時間半しかない面会時間に
義母のM担当医と話をすることができ、X線画像でも白いモヤモヤが減り
症状が改善していると聞いて少し安心できたのは昨夜のことでした。

気管にチューブを挿入する人口呼吸器を装着されていますので
当然話はできないのですが、鎮静剤によって眠らされたままにされるばかりでなく
これを取り外さないように手をベッドにくくり付けられるのですから
家族には何とも痛ましい姿に見えてしまいます。

肺炎の治療自体は投薬によりますので、たかが空気を吸って炭酸ガスを排出するという
人間の中では比較的簡単な呼吸機能を補うだけで
ICUに運び込まれてこんな器械を付けなければならないのです。

そこら辺に生えている植物や動物を食べるだけでエネルギーを生み出して
勝手に動き回るだけでなく“故障個所”の若干の治癒力まで備わった人間を含む生き物を
人工的、機械的に作り出すにはあと何十年もかかるんだろうなあ、などという
つまらないことを感じながら5度目となる面接を済ませてICUを後にしました。 

 

ICU(集中治療室)とは…

内科系、外科系を問わず、呼吸・循環・代謝そのほかの
重篤な急性機能不全の患者を収容して、その容態を24時間体制で管理し
強力かつ集中的に効果的な治療看護を行うことを目的とする。

ただし、元の疾病の治療というよりは
治療の過程において重篤な症状が発生した場合に利用される施設であるため
重篤な症状が収まった時点で各診療科の一般病棟に戻されることが通例である。

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義母の緊急入院で知った肺炎の恐さ

2012年01月11日 | 肺炎の怖さ(義母死去の経緯)

年末の28日に「風邪」と診断されて薬を処方されただけの義母が
症状が改善しないために再度、4日に病院を訪れたところ
「肺炎球菌によると思われる肺炎」と診断され、即日入院になってしまいました。

この病院のいわゆる“かかり付け医”には毎週通院しているのですが
28日は別の当番医による診察だったようです。

それにしても、たった1週間で「風邪」が「肺炎」になってしまうなど
すぐに納得しろと言っても無理な話ではありませんか。

よく巷では「風邪をこじらせると肺炎になる」と言われます。

実際は風邪のウィルスと肺炎の細菌またはウィルは別物なので一連の病ではなく
風邪で炎症を起こした上気道が原因菌を肺に素通ししてしまい
かつ、弱った身体がそれに負けて肺に炎症を起こすのだそうですが
「こじらせる」にしても「負けて被患する」にしても、たった1週間で
それも入院5日目にしてICUでの緊急治療になってしまうなんて…。


(ICU内部には何人もの医師と10人ほどの看護士がいます)

ところで、これまでガンや血管疾患、糖尿病ばかりに目がいっていたのですが
統計上、肺炎が死亡原因の4位に入っている病気であることを知りました。

主な原因である肺炎球菌などの細菌は、基本的には抗生物質で治療できていたのですが
1929年のペニシリンの発見以来、もう少しで200年が経とうとする現代
こうした抗生物質でも死なない細菌が増えてきたため
さらには、ウィルスなど、別の原因によるものまで登場して
治療が簡単ではなくなっているのだそうです。

(抗生物質…微生物の産生物に由来する化学療法剤) 

今のところ、義母にもさまざまな抗生物質を投与して効果のあるものを
探す治療が続いていますが、効果を確認するには2、3日を要し
昨日はその間に炎症が進行して呼吸困難になったため、それまでの酸素マスクでは足りず
人口呼吸器の管を挿入して酸素を補う状態に陥りました。

これさえ難しくなると、咽喉を切開する呼吸器を取付けざるを得ず
場合によっては一生、これが外せなくなるという説明もすでに医師から受けています。

孫達がいた3日までは三度の食事もちゃんと取れていたとは言え
これを、特に年寄りにとっては大切な病気の早期発見と思うしかしょうがないわけで
今となっては効果のある薬が一日も早く見つかることを祈るばかりです。 

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