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特別な一日(映画・1977年)

2013-11-21 00:00:41 | 映画・演劇・Video
1938年のローマを舞台とした映画『特別な一日』。この「一日」には、二つの意味がある。

1938年のイタリアは、まさに第二次大戦直前だった。ヒトラー率いるドイツはこの年にオーストリアを併合し、次の獲物であるチェコスロバキアを狙っていた。そして、その次の狙いはフランス、・・・。同じくファシズムの国となったムッソリーニ率いるイタリアとの同盟関係はさらに強化され、相互首脳の訪問という史実を生んでいる。先に相手国を訪問したのがムッソリーニで1937年9月に訪独。その返礼というべきヒトラー御一行様のローマ訪問が1938年の5月3日。その翌日、二人の独裁者が並んでパレードを行った1938年5月4日こそが、本映画の当日である。

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そして、もう一つの特別な一日の意味は、そのパレードを見に行く夫と6人のこどもを送り出した妻(ソフィア・ローレン)が、ふとしたことで近所の中年の男(マルチェロ・マストロヤンニ)と親しくなり、夕方、大家族が帰ってくるまでの間に、不倫関係を完成させてしまうわけだ。人妻は、蜜の味に溺れ、翌週のアポイントを取りつけようとするが、中年男は、同意したようなしないようなあいまいな態度で応じる。

そして、その夜、中年男は雰囲気の悪い二人の男の訪問を受け、港から出航する船に乗ってどこかに行ってしまうのだ。つまり、たった一日の関係。

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というのは、物分りの鈍い観客の感想なのだが、後で思い出すと、あちこちに映画の謎を解く鍵は残されていて、まず、この男は同性愛者(つまり二刀流だった)である。さらに、ムッソリーニは、同性愛者が嫌いで、見つけ次第、サルデーニヤ島に島流しにしていた(イタリア人にとっての暗い歴史的過去である)。一方で、人妻は男性ホルモンあふれるムッソリーニのファンだった(当日のお昼頃まで)。

そして、中年男が連れて行かれた先は、当然ながらサルデーニヤ島ということになる。


しかし、この映画は1977年に名監督エットーレ・スコラによって撮られている。ソフィア・ローレンとマストロヤンニはイタリアでは超大スターで共演は何本もあるが、本作は役柄が微妙である。何しろ、ムッソリーニの三男はソフィア・ローレンの姉と結婚したわけである。ムッソリーニ家と近いわけだ。その娘はアレッサンドラ・ムッソリーニ。モデルから歌手に転進し、さらに現在は政治家になっている。そして、彼女は、本映画にもソフィア・ローレンの娘役で登場して、地のまんまの我儘を通している。つまり、そういうイタリア人にとっては公然の秘密みたいなもので成り立っているような部分もあるようだ。

さて、この映画はソフィア・ローレンとマストロヤンニがベッドで絡み合うところまで進展してしまうのだが、なんとなく既視感があると思ったら、日本人で彼らによく似ている役者がいることに気付く。最初のソックリさんは、マストヤンニ→水谷豊。次のソックリさんは、ソフィア・ローレン→杉本彩。そう考えると、本作の二人の絡みの結論は必然と言えるのかもしれない。

ところで、サルデーニヤ島に島流しになったマストロヤンニは、その後、自由の身になったに違いないだろうが、人妻であるソフィア・ローレンとの未完のアポイントを果たすべくローマに戻って再会を成功させたのだろうか。しかし、映画「ひまわり」の中では彼女はイタリア兵の妻として、ロシア方面で行方不明になった夫を待っていたのではなかっただろうか。しかし、そのなかなか帰らない夫はマストロヤンニその人ではなかったのだろうか。

となると、それほど何度も共演している二人は、実際に何らかの関係を持ったことがあるのかないのかなどと考えてしまうのだが、二人ともイタリア人なのだから、考えるまでもないのだろうか。


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