丸谷才一氏、長編小説書き終わる。

2012-10-15 00:00:26 | 市民A
二日前に亡くなった小説家丸谷才一は、ほぼ10年感覚で長編小説を書いていた。すべて読んでいる。珍しいことにあらすじもだいたいわかる。

 1.『エホバの顔を避けて』 河出書房新社、1960
 2.『笹まくら』 河出書房新社、1966
 3.『たった一人の反乱』 講談社、1972
 4.『横しぐれ』 講談社、1975
 5.『裏声で歌へ君が代』 新潮社、1982
 6.『女ざかり』 文藝春秋、1993
 7.『輝く日の宮』 講談社、2003
 8.『持ち重りする薔薇の花』 新潮社、2011

1925 年生まれなのだから、三十代で、エホバ。四十代で、笹まくら、たった一人、横しぐれ。五十代が裏声。六十代が女ざかり、七十代で輝く日の宮、八十代で薔薇の花である。

個人的にランキングをつけるなら、1位は「たった一人」。2位は「笹まくら」、3位「裏声」といったところだ。読み直したいベストスリーということ。

3作には共通して、ストーリーに緊張感が漂う。社会的観点から話題作でもあった。一方、薔薇の花は、ちょっとよくわからない。通常の10年間隔ではなく、前作が8年で出版されたのは、作者が自分の寿命を意識したからなのだろう。

書き始めたのが遅いような気がするのだが、今後、未発表の初期の作品が公開されたりするのではないだろうか。


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