地球の履歴書(大河内直彦著・新潮選書)

2016-02-01 00:00:17 | 書評
地球や気候や生物のことなど、総合的にまとめられた一冊である。地球環境を守るためにどうするかというようなことは書かれていない。今のままではヒドイ目にあうということは書かれているが、地球上にはかつてもっとひどいことが大量に起きていたということが書かれている。

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核についても、もともと地球の内部が熱く、かつ当分(100億年位?)冷めないのは、放射線物質ウランのおかげということを書いている。

部分的には多くの人が知っているプレートテクトニクス理論や恐竜絶滅となった巨大隕石の落下(爆発)、白亜紀の海洋酸欠、二酸化炭素濃度や100万年も大噴火を続けたオントン・ジャワ海台の話など。

多くの海底の奇妙な地形を研究することに人類は多くを知ることになったのだが、海洋調査で活躍したのがサイドスキャン・ソナーという機械で、今や沈没船探しに大活躍だそうだ(墜落機はなぜか見つからないが)。

もともと、個別のことは知った話が多かったのだが、南極の氷の重さで地面そのものがマントルを押し下げていて、氷が解けるとその海面下の地面が盛り上がると予想されているとの驚異の説が紹介されていた。つまり、温暖化で溶ける南極の氷の分だけ海面が上昇するだけじゃなく、海の面積も狭くなるということで二重の効果があるということだろう。

ノアの箱舟伝説については黒海周辺の住民が1万年ほど前に淡水湖だった黒海に海面上昇により海水が流れ込んでいき、海辺の都市が壊滅していったことを目撃したのではないだろうかと推測されている。

日本の話では、神戸の近くの有馬温泉だが、出てくるお湯は日本に異質なものであり、遠く太平洋の方からの地下水だろうとのことだ。

要するに、地球や海はわからないことが大量にあって、とりあえず現在の段階で真実として語られていることを一冊にまとめた書ということだ。


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