大メーカーを批判できないスポーツジャーナリズム

2013-06-17 00:00:19 | スポーツ
統一球問題の本質とは異なる部分で幕引きに向かいそうな嫌な予感がする。

つまりコミッショナーあるいは事務局長の個人的責任ばかり表に出てくるのだが、本質的にはスポーツ界の隅々まで行きわたっているMIZNO社(以下M社)のご威光の前に、各紙の運動部系記者が、「そっち方向に世論が向かわないこと」を前提に記事を組み立てているのだろう。

それで、2011年に統一球が採用された時に、M社一社がボールの受注を受けることになり、それまで日本製の牛皮や毛糸を中国製に変更し、上海工場で生産しているわけだ。

統一球の反発係数の要求範囲が、0.4134~0.4374となっているのに対し、その下限値を下回るボールがあったので、修正をしたということになっている。それも、こっそり。

今、問題になっているのは、その「こっそり」という問題なのだが、こっそりでなくても、要求スペックと異なる製品が発生するということ自体が問題のような気がする。

もともと、中心値に対し、上下限それぞれ3%もあるのだから、ずいぶん大きな製造ムラということが感じられる。

反発係数が高い方がコストが高いのか低いのか、よくわからないのだが、製造にあたっては、中心値を設定してそれに対して、製造工程でのバラつきを統計的(確率的)にコントロールするのが常識だが、おそらくは、製造時のバラつきが大きく、結局、中心値を上げて対応するしかない、ということになったのではないだろうか。

中心値を上げれば、平均的には、かなり飛ぶボールになることが予測されるが、1球ずつ検査して、不合格品を「ポイ」するよりもコストが安いだろうということは想像が付くのだが、こういう問題はユニクロはじめ中国に生産拠点を持っている会社には、付いて回る問題なので、そのあたりの仕組みをもっと知りたいところではあるのだが、M社批判を書く勇気のある記者はいないだろうなあ・・と思う。