九份は元々金山で日本の鉱山会社も関係しているらしい(明るみに出ないほうがいいのだろうが)。現在はまったくの観光地。九份老街は入り組んだ細い道の両側に店舗が連なっている。夕方から夜にかかった時間なので、灯りが情緒的で、『千と千尋の神隠し』のモデルではないかともいわれているのだが、宮崎駿監督は九份には行ったことがないと言われているようだが、逆に、それでも似ているというのがすごい。

そして、細い階段道を上る観光客のおよそ8割は日本人のように思える。少し広い場所や階段の幅が狭い場所もあり、道の太さが変わるため、全体に人が詰まってしまうのだろう。上り階段で疲れたといって立ち止まることはできない。有名なパイナップルケーキを買った後、散策しているうちに道に迷って方向違いのところに行ってしまったが、町のはずれのほうでも結構人が多い。

途中で「九份駅」があったが、後で確認すると、現在、鉄道はないのだ。

金山があった当時は駅があって、その遺跡なのだろうか。あるいは、この奇怪な町のどこかにタイムトンネルがあって百年前に遡ったのかもしれないが、それならもと来た道を戻らないと現代には帰れないはずだが、道順は異なるがいつの間に元の場所に戻ることができた。(もしかしたら似て非なるアナザーワールドに迷いこんだのかもしれない)