2013年1月11日の県内ニュースで、明野処分場の地元住民が2012年11月に山梨県監査委員会に提出した住民監査請求が却下されたと報じられました。
報道によれば、監査委員は 「おととしに行われた住民監査請求と同じ内容であり、請求の対象にならない」 などとしたとの事ですが、そういうことなら受け取って請求内容を見れば直ちに却下の判断になるでしょう。いわゆる門前払いで良いわけです。なんか変ですね?
監査請求した当時の昨年11月の記事は毎日新聞山梨版で未だ読めましたが、まず、2012年11月10日 県環境整備センター:北杜最終処分場問題 反対グループの搬入停止求める要請書、県から拒否回答という記事です。私はこの記事から 明野処分場に県外ゴミって本当? を書きました。
毎日新聞はこの続報として2012年11月21日、北杜最終処分場問題 反対派が住民監査請求 「県外のごみ搬入」との記事を出しました。
『県監査委員会事務局によると、今後は意見聞き取りなどを行い、21日から60日以内に結論を出す。県環境整備課は「協定は、県内の中間処理業者が出したごみは搬入できると解釈している。県外で出たごみが混入する可能性はあるが違反には当たらない」としている。』 とのことでした。
そして、「県監査委員が住民請求を却下 処分場補助金は適法」、毎日新聞山梨版 2013年01月12日の記事です。記事内容は最初に見た県内ニュースとはニュアンスが違います。
県内ニュースを見ただけでは、処分場地元住民の方々が同じイチャモンを繰り返す、まるで「クレーマー」のように感じられますが、11月20日からおよそ50日かけて結論を出したのですから、門前払いできる監査請求では無かったのでしょう。
私は地元住民の方がこれほど心配なさる理由は正当だと思います。それは、2012.12.21 明野処分場で漏水検知、またオオカミが来た? で書いたオオカミの正体が分かったからです。
山梨県環境整備事業団の広報記事は未だ読んでいませんが、読売新聞山梨版 2013年1月12日記事、漏水検知不具合 半月前から…明野処分場 が読めたからです。
強い電流が流れたことによるヒューズ切れが、安全サイドに判断される設計になっているようです。ヒューズが切れない程度の電流は計器に感知されて漏水となるが、ヒューズが切れるほどの電流が流れる漏水では計器に電流が来ない状態なので事故を認知できない?
「測定計器に過大な電流が流れることをヒューズで防いでいた」 と言うなら 漏水ではヒューズは切れないが電線同士が接触するような場合の電流値ではヒューズが切れる設計だったわけです。それが起った。今後も起る可能性を否定できません。オオカミが来たのかどうか判断できないレベルのシステムで原発で言えばストレステストに不合格。処分場そのものがオオカミでした。
現状の漏水検知のシステムは役に立たない。作り替えるなら新造以上に金がかかるでしょう、故に、明野処分場は欠陥施設として廃棄処分が妥当です。それに公金をつぎ込んでいる状況を納税者として認められるかというのが住民監査請求だったと私は理解しました。
私は 2012.08.26 危機意識が無い明野処分場は危険だろう という記事を書いていたのですが、「安全性という最も大事な部分には自信を持っている」 と語られたという事業団専務理事が、今回の問題をどうお考えか、そのコメントもメディア記事で読んでみたいと思っています。フェールセーフという言葉をご存じないとは思えないので・・・
これから何日かは問題の検証記事などが出て来ると思いますが、私は明野処分場が産業廃棄物からリニア残土受入れに方向転換して生き延び、残土処理費収入で赤字解消も図るのではないかと思っていたので、ちょっと拍子抜けの感じです。
リニアは残土を排出することもなく計画凍結というのが想定内になりつつあるのかも知れません。それはそれで結構なことです。
いずれにしても、公共関与の処分場というのは国の指示で始まったことであり、環境整備事業団という組織体も全国で展開されたものです。他県の状況は知りませんが、山梨で頓挫したことは国政にも影響するでしょう。
原発問題もリニアプロジェクトも似たような道筋を辿っているわけです。その点をきっちり考えて責任の所在についても論陣をはることがジャーナリズムには求められるでしょう。