【古書と書評】

【古書と書評】

最近読んだ古い本で誰かが薦めていたので読みたくなり、池上嘉彦『「する」と「なる」の言語学』大修館書店( 1981 )を取り寄せた。

箱付きの上製本で、後ろ見返しに新聞の切り抜きが貼られていた。「えつらん室」というコーナー名で、なんと川本茂雄が書評を書いている。川本茂雄は好きで『ことばの色彩』『ことばとこころ』を岩波新書で読んだ。

新聞の書評を読んで購入した本に、その新聞切り抜きを貼っておく習慣がある人が世の中にはいるらしい。古書を買うとときどきそういう本に出会う。

いちばん見事だったのが『日本の歴史00 「日本」とは何か』網野善彦(講談社 2000 )のそれで、毎日新聞 2000 年 10 月 9 日に掲載された五味文彦の書評が前見返しにおさまるよう丁寧に切り貼りされている。

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

20 音オルガニートで棒が一本あったとさ Bou ga Ippon attatosa
わらべうた(絵描き歌) 作者不詳

20 音オルガニートでトラジ 도라지
朝鮮民謡

を公開。

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2024年6月号(通巻19号)まで公開中

 

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【姫栗】

【姫栗】

妻が仕事で日めくりカレンダーをつくっている。
女性編集者との打ち合わせ中に「ひめくり」という言葉が聞こえてくると「姫栗」という言葉が思い浮かんでかわいい。銀座の和菓子店に「姫栗もなか」という商品があって小さな栗最中らしい。

栗といえば夫婦ふたりで編集事務所を営み、愛妻をなくされたことで仕事をたたんで郷里恵那に帰られた友人はどうしているかなと思う。彼が恵那から送ってくれる栗きんとんはうまかった。

なんと岐阜県恵那市笠置町に姫栗という地名があることを偶然知った。地図を見ながら、それにしても岐阜県は広いなあと思う。

夫婦二人で『tabedas』という食と排泄に特化した介護雑誌を創刊されたのが 2004 年なので、あれからもうもう 20 年分も日めくりカレンダーはめくられてしまったわけだ。

2024/06/13 JR 駒込駅前

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

20 音オルガニートで棒が一本あったとさ Bou ga Ippon attatosa
わらべうた(絵描き歌) 作者不詳

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朝鮮民謡

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【このみちをゆこうよ】

【このみちをゆこうよ】

文京シビックホール・小ホールまで、妻のお供をして『一龍斎春水が未来につなぐ「金子みすゞ伝」』を聴きに行ってきた。

六義園入口バス停から文京区コミュニティバス「Bーぐる(びーぐる)」、通称百円バスに乗った。

白山通りをゆくBーぐる(びーぐる)号が白山下停留所前で左折して三角形を描いて再び白山通りに戻る。

「どうしてこのバスはまっすぐゆかないの」
と妻が怪訝そうに聞くので、千駄木・駒込ルートと本郷・湯島ルートの白山下停留所を一箇所に共有することで年寄りでも乗り継ぎがわかりやすい工夫をしてるんだ、ということをわかりやすく教えるのに苦労した。

一龍斎春水が語り吉岡しげ美がうたう金子みすゞ『このみち』では、「このみちをゆこうよ」のところで感極まって泣いている高齢男性がいた。

2024/06/12 文京シビックセンター前に到着したBーぐる(びーぐる)号

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20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

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わらべうた(絵描き歌) 作者不詳

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【現代新書採集】

【現代新書採集】

つい最近知った加賀野井秀一、その『日本語は進化する 情意表現から論理表現へ』NHKブックス(2002/5/30)を読み終え、たいへん面白かったので「この人が書いたものをもっと読んでみたい」と思い、著書を検索した。

『日本語の復権 』講談社現代新書 1459(1999/7/1)があり、さらに『20世紀言語学入門』講談社現代新書 1248(1995/4/17)があって、なんとどちらも大好きな杉浦康平フォーマット時代の旧版が古書で出ていたのでそちらを注文した。

著者と内容を優先しながらも旧版の講談社現代新書を採集し、読んで並べて楽しむという子どもの頃と変わらぬ収集癖の喜びがさらに満たされてすごく嬉しい。

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

20 音オルガニートで棒が一本あったとさ Bou ga Ippon attatosa
わらべうた(絵描き歌) 作者不詳

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【剣突】

【剣突】

井上ひさしを読んでいたら「余計なお世話だと剣突を喰いそう」という懐かしい言葉が出てきてドキッとした。剣突は「けんつく」と読み、自称無学者のわが母以外からこの言葉を聞くのは初めてなので妙に懐かしい。母は「市役所で剣突を喰わされた」とよく怒っていた。剣突は邪険な応対を言い、剣呑(けんのん・けんのみ)、慳貪(けんどん)の仲間だろう。

2024/06/10 文京区千石2丁目 『進開屋』前の古道

手伝っている郷土誌の編集長からこのブログを読んでメールがあり、日本語文法の山田孝雄氏の名前をみて「娘さんの山田みずえさんを思い出しました」と書かれている。

俳人山田みずえ(1926 - 2013)は『木語』という俳句誌を出されており、それを購読されていたお母さんは彼女と女子大寮が一緒で親しくされていたのだという。東北といえば、井上ひさし『私家版 日本語文法』も以前読まれて面白かったと言う。

『私家版 日本語文法』は、いま電子書籍版で読んでいるけれどたいへん面白く、行ったり来たりの読み返しをしそうなので、昭和 59 年発行の上製本を安い古書で探して注文した。夕方郵便受けを覗いたら北奥秋田県の古書店から丁寧に包装されて届いていた。

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

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カレー南蛮百連発060:文京区千石・進開屋のカレー南蛮

カレー南蛮百連発060:文京区千石・進開屋のカレー南蛮
 

文京区立千石図書館まで映画の DVD を返却・借り出しに行った。
近くの千石二丁目にある『進開屋』でカレー南蛮を食べたことがないので寄ってみた。

初代の建物は 1923 年(大正 12 年)に起きた関東大震災で焼失し、大正末期である 1926 年(大正 15 年)に建てられたこの木造 2 階建て建築物が国の登録有形文化財となっている。歴史的建造物内で食べるカレー南蛮である。

懐かしいアルミのお盆にのせられて出てきたのは大好きな色の濃いカレー南蛮で、脂身のない赤身の豚肉と長ネギが組み合わされている。いかにも四つ足ものをつかった肉そば的野生味があってとてもおもしろい。郷里清水の祖父や叔父が猪狩りをする人だったので幼い頃よく食べさせられた猪鍋や猪肉入り年越し蕎麦の味を思い出した。

進開屋
東京都文京区千石2-30-6

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【書いたり消したり】

【書いたり消したり】

春の転出が終わり、マンションのリフォームシーズンになった。

エレベーター内養生で落書きしたくなる鬱陶しい壁ができ、他愛のない言葉が子どもたちによって書き加えられて行く。毎年この季節になると、昇降しながらその様子をぼんやり眺めている。

最近は落書きに「バカ」が登場するようになり、とうとう「死ね」が出てきたところで、誰かが上書きして書かれるたびに読めなくしている。

子どもたちが他者に対してストレスを感じる年齢に無事育ったのだろう。「バカ」「死ね」と書きたくなった子がいて、打ち消し線を引いて消したい人(子?)がいる。

2024/06/07 文京区本駒込6丁目 

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

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【仕事とイケメン】

【仕事とイケメン】

昼食帰りらしい OL 三人組の後ろを歩いていたら話し声が聞こえてきて、「イケメンで仕事のできる人って珍しいよね〜」と言ってうなずき合っている。彼女たちの職場がそうなのか、最近の世間一般がそうなのかはわからない。

人は「が」と「は」を使い分けて、「なんと仕事のできる人がイケメンだ」とおどろいたり、「ふつうイケメンは仕事のできない人だ」とあきらめたりしている。前者は仕事に、後者はイケメンに重きがある。

イケメンでしかも仕事のできる人は貴重なのだろう。

2024/06/07 豊島区駒込1丁目 

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで時計台の鐘 Tokeidai no Kane
作曲/高階哲夫

20 音オルガニートで棒が一本あったとさ Bou ga Ippon attatosa
わらべうた(絵描き歌) 作者不詳

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【ニシとワレ】

【ニシとワレ】

井上ひさしが書いたものはなぜかあみだくじ式読書の縁がなくて、ほとんど読んだことがない。たまたま引き当てて読み始めた本で、彼は「南奥」という聞き慣れない地域名と「ニシャ」という聞き慣れない言葉を書いている。

南奥は奥州の南のことだろうと漠然とわかるけれど、きちんと調べれば奥州南部「福島」「山形」「宮城」を南奥、北部「岩手」「秋田」「青森」を北奥というらしい。

わが母親は静岡県生まれだが、父親は宮城県生まれなので、あいだに生まれたこの息子は片足を南奥に突っ込んでいる。言葉についておおまかに言えば、北奥は東京アクセントで、南奥は無アクセントなのだそうだ。

南奥では清水で「ワレ」と言うところを「ニシ」と言い、ワレもニシも意味は「キミ」である。たぶん「ヌシハ」が「ニシャ」であり、清水における「ワリャ」なのだろう。

2024/06/05 文京区本駒込5丁目 本郷通り

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで牧場の朝 Makiba no Asa
作曲/船橋栄吉

20 音オルガニートで森へ行きましょう Szła dzieweczka
ポーランド民謡

20 音オルガニートで野いちご Mansikka on punanen marja
フィンランド民謡

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【話の振り逃げ】

【話の振り逃げ】

他人の話を聞いただけで心にとめないことを「右から左へ聞き流す」という。どうして聞き流すことの方向が「右から左へ」なのだろう。馬が北を向いていれば、たしかに東風は右から馬の耳に吹く。

日本語縦書きの本は読み終えた行が左から右へ流れていく。だから行が左から右へ流れていくのが「読みました」ということなのだけれど、読んだふりをして行だけ送って行き、読み流すことが聞き流すことの意に近い。

日本人の会話を吹出しで可視化したら縦組みになる。首を縦に振ってうなづきながら行送りし、「はい」「はい」「はい」と右から左に、後へ後へと流して先へ先へとへ逃げて行くことを聞き流しという。野球用語的に言えば「聞いた振り逃げ」である。

2024/06/05 文京区本駒込5丁目 本郷通り

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで牧場の朝 Makiba no Asa
作曲/船橋栄吉

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ポーランド民謡

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【スタンディングオベーション】

【スタンディングオベーション】

この春から、図書館の映画 DVD を借り出し、一日一本のペースで晩酌しながら見ている。

昨夜は 1954 年公開の『グレン・ミラー物語』( The Glenn Miller Story )を見た。突然のトラブルにより、トランペットからクラリネット中心に編曲し直した「ムーンライト・セレナーデ」 ( Moonlight Serenade ) 、そのお披露目となるシーンでは映画内で踊り終えた紳士淑女とともに妻が手を叩いてスタンディングオベーションをおくっていた。

上映を終えて就寝したら郷里静岡県清水を舞台にした奇妙な夢を見て未明に目が覚めた。よくこんな奇抜なセットをつくって細部のあるストーリーの夢を考えついたものだと自分に感心したので、起き上がってトイレに行ってきた(4:09)。

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで牧場の朝 Makiba no Asa
作曲/船橋栄吉

20 音オルガニートで森へ行きましょう Szła dzieweczka
ポーランド民謡

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【象は鼻が長い・追記】

【象は鼻が長い・追記】

金谷武洋『主語を抹殺した男 評伝三上章』講談社(2006)を読み終えた。
読みながら 1960 年 10 月初版の三上章『象ハ鼻ガ長イ』くろしお出版の装画と、手元にある 1992 年第 21 版のそれ(象は鼻が長い)が異なることが気になっていた。

そうしたら『大谷女子大国文』紀要第三号「三上章先生追悼号」(1973年3月)からの引用を含む終章にその答えらしきものを見つけて感動した。長いけれど引用する。

「追悼号」の目次を眺めて、前述の学生、松岡裕子の記事の題にまず目を引かれた。 教授三名の寄稿記事がそれぞれ「三上章先生の億い出」 「故三上章教授を偲ぶ」 「三上章博士追悼」と、いかにも追悼号向けのありふれた題なのに対して、この学生の記事だけが異彩を放っている。題は「雪の日」なのだった。
──雪の日? 三上が雪の日に何かしたのだろうか。はるか遠い日の追憶に、何か心の温まる出来事があったような思いがふと脳裏を横切ったが、とっさには思いつかない。 とにかく読んでみよう。ちょうど記事の中ごろまで来た時、つぎの段落にいたって私は息を呑んだ。目がそこに釘づけになり、言葉を失ない、機内の音と時間が止った。

冬のある日、知らない間に外は雪であった。何人かの学生が先に気付いて窓外を見つめているうち、教室にいる他の学生、そして先生と順に気が付き、ついにみんな一緒になって降る雪を黙って見ていた。それは今にして思えばひとときのことであったが、今では先生のお姿と真白な雪の美しさとが一つになって私の心に印象深い。

(金谷武洋『主語を抹殺した男 評伝三上章』講談社)

1960 年 10 月初版の『象ハ鼻ガ長イ』は 1964 年に増補第 3 版、1969 年に改訂増補第 4 版が出て、1972 年の第 5 版以降は改訂も増補もない。著者の三上章が 1971(昭和 46 )年、68 歳で他界されたからだ。

おそらく上記、三上章先生追悼号が出た 1973 年 3 月以降の 1973 年 12 月の第 6 版からのちは、この美しい雪の日をイメージした表紙に装画を変更して故人を偲んだのではないか。

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20 音オルガニートで牧場の朝 Makiba no Asa
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【感心と記憶】

【感心と記憶】

1942 年に東京を空爆した B52 ドゥーリットル編隊のドゥーリットルは、動物の言葉がわかるドリトル先生のドリトルで、子どもでも発音しやすいその簡便な読みを考えたのは井伏鱒二だった……とか、ヘボン式ローマ字のヘボンは、オードリー・ヘプバーンのヘプバーンを簡便化したのである……とか、本や新聞を読んで「へ〜っ」と感心したことは手帳の隅にメモして、夕食時に妻に話している。

読んで、感心して、メモして、話して、「へ〜っ」と言わせることで、「読む」という希薄な体験がようやく自分の記憶として定着する。自分は他人を触媒にしてつくられる。

日本文法学の山田孝雄(やまだよしお)は富山市の総曲輪(そうがわ)生まれで、富山県尋常中学(現富山高校)を中退したあと独学で国語学・国文学を研究し、博士号をとって東北大学の教授になった。日本の算学で有名な三上義夫(みかみよしお)は彼の親友で、いま読んでいる三上章(みかみあきら)の大叔父なんだ……などという話も、富山出身の妻に聞かせて無理やり、「へ〜っ」と言わせている。

無理やり「へ〜っ」と言わせたくらいでは記憶としてまだ希薄なので、井上ひさし『私家版 日本語文法』新潮文庫もついでに読み始めた。

2024年6月1日 文京区千石の私道

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【揺れの恐怖】

【揺れの恐怖】

午前6時半頃2台のスマホが緊急地震速報で鳴動するので目が覚めて身構えた。同じキャリアの同じ機種を夫婦で使っていても、アラートに秒単位の時間差があるのが不思議だ。

まったく揺れを感じないので不思議に思い、テレビをつけたら震源は能登半島沖で推定マグニチュード6.0 だった。能登半島沖が震源で東京までゆさゆさ揺れたら大地震なのでたいへんなことになっただろう。

郷里静岡県清水を離れて小学校に通った 6 年間は東京下町のオンボロアパートに住んでいた。強い風が吹くとゆさゆさ揺れる木造アパートの 2 階で寝起きしていたのに、なぜか地震におののいた記憶がまったくない。

地震アラートで目が覚めたついでにそんなことを思い出し、なぜだろうと考えた結論は以下の通り。

幼い頃、地震で揺さぶられるたびに母は、
「だいじょうぶ、揺れてるのはあんただけじゃない、みんなが揺れてるんだから騒ぐんじゃない」
と言っていた。子どもは「みんな」の呪文で恐怖を忘れやすいのだろう。それでも
「こんな風で揺れる家にひとり寝かされているのは自分くらいだろう」
とおののいたから、地震の記憶がないのに強風に揺れる恐怖は忘れ難いのだろう。

2024年5月29日 文京区白山

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【大声小声】

【大声小声】

最近読んだばかりの本に
「スペードをスペードと呼ぶ」
という慣用句らしきものがでてきて、誰の本でどう使われていたんだったかなと探したのだけれど見つけられない。そういう時に全文検索できる電子書籍は便利だなと思う。英語では
I'm just calling a spade, a spade.
という。

外山滋比古を読んでいたら偶然その言葉に言及されていた。

相手はばからず、思ったことを直言するのを英語で「スペードをスペードと呼ぶ」と言う。(外山滋比古『日本語の個性 改版』中公新書)

言葉の前置きをしたり婉曲な表現をせず、いきなり本題に切り込むことを言う「単刀直入」と、剣を表す記号であるスペードを「スペードと呼ぶ」という表現の符合がおもしろい。

2024年5月29日 文京区千石、図書館へ通う道

おもしろいと言えば、外山滋比古が単刀直入な人は声が大きいと書いている。小声で話す人は自分の口にマフラーをつけているのかもしれないそうだ。あはは(大声)。

語尾に「が」をつけて「小声で話す人は自分の口にマフラーをつけているのかもしれませんが」と言うと「小声は小心者だ」と揶揄しているようには聞こえにくい。「が」は言葉尻を呑みこんでぼかす。

明快な表現を喜ぶのは相手への配慮という篩(ふるい)の目が粗(あら)い「いくらか素朴な人間」だからだそうだ。あはは(大声)。「スペードをスペードと呼ぶ」とは歯に絹を着せないことでもある・らしい(婉曲語法)。

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作曲/船橋栄吉

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