【感心と記憶】

【感心と記憶】

1942 年に東京を空爆した B52 ドゥーリットル編隊のドゥーリットルは、動物の言葉がわかるドリトル先生のドリトルで、子どもでも発音しやすいその簡便な読みを考えたのは井伏鱒二だった……とか、ヘボン式ローマ字のヘボンは、オードリー・ヘプバーンのヘプバーンを簡便化したのである……とか、本や新聞を読んで「へ〜っ」と感心したことは手帳の隅にメモして、夕食時に妻に話している。

読んで、感心して、メモして、話して、「へ〜っ」と言わせることで、「読む」という希薄な体験がようやく自分の記憶として定着する。自分は他人を触媒にしてつくられる。

日本文法学の山田孝雄(やまだよしお)は富山市の総曲輪(そうがわ)生まれで、富山県尋常中学(現富山高校)を中退したあと独学で国語学・国文学を研究し、博士号をとって東北大学の教授になった。日本の算学で有名な三上義夫(みかみよしお)は彼の親友で、いま読んでいる三上章(みかみあきら)の大叔父なんだ……などという話も、富山出身の妻に聞かせて無理やり、「へ〜っ」と言わせている。

無理やり「へ〜っ」と言わせたくらいでは記憶としてまだ希薄なので、井上ひさし『私家版 日本語文法』新潮文庫もついでに読み始めた。

2024年6月1日 文京区千石の私道

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2024年6月号(通巻19号)まで公開中

 

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