分解


D3X + AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G

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時計のベルトを自分で作ってみたくなって、倉庫に置いてあったレザークラフトの道具を、久しぶりに一部家に持ち帰った。
倉庫というのは、昔住んでいた今はお化け屋敷になっている家のことだが・・・

ベルトはいくつも持っているのだが、じっくり見ても、構造がどうなっているのかわからないところがある。
まあそれほど難しいものではなく、自分流で作ってしまってもいいのだが、どの会社のベルトを見ても共通した作りになっているので、この業界の常識というか、約束事のようなものがあるのではなかろうか・・・
などと考えているうちに、ひとつ分解してみればいいだけのことに気付いた。

買ってはみたものの色が気に食わなくて、実験用に使っていた安価なベルトがあるのを思い出した。
手で強く揉んでしわくちゃにして、どこまで耐えられるか・・とか、いろいろな仕上げ剤のオイルを塗ってみたり・・とか、そういう過酷な実験に使っていたのだ。
イタリアのM社の安いシリーズのものだが、それを思い切ってばらしてみる事にした。

ナイフで糸を切ってすべて解き、二枚張り合わせてあった革を強引に剥がしてみた。
安いベルトなので見た目はペッタンコで、厚さは3ミリほどだったが、驚いたことにほぼ全体に白いウレタン系(?)の中材が挿入されていることがわかった。
厚みを増すというより、革の表面にクッション性を持たせるためのものだろう。
またこの材質なら汗で腐ることもないだろうから、中材としては悪くない。
革は表も裏も各1ミリ、中材の厚みも1ミリなので、合わせて3ミリになる。

ベルトの長い方(バックルの穴の開いた方)は、表側の革と、裏側の(肌との接触を考えた材質の)革の、2枚のほぼ同じ形の革を貼り合わせてあり、時計側のバネ棒の入るところは、表側の革を13ミリほど延長させて内側に折り込んでループを作っている。
2枚の革の間には、縫い代の分だけ一回り小さいウレタン系の中材が挿入されており、3枚を貫通してバックルの穴が7個開けられている。

またベルトの短い方(バックルがつく方)も同じように表側、裏側の革が中材を挟んで縫い合わされているが、時計側はバネ棒用にやはり表側の革を約13ミリ延長させて折り込んでループを作り、さらにバックル側は約35ミリ延長させて、バックルのピンを通すための細長い穴(幅1ミリ、長さ8ミリ程度)が開けられ、折り込む際に定革も挟んで固定している。

このモデルの場合、長い方は全長117ミリ程度、短い方は73ミリ程度であった。
読んでもわけがわからないかもしれないが、文章で書くとこうなる(笑)
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LEICA X1

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日曜日に母親の誕生日を祝い、家族でランチをした。
毎年恒例の行事で、Mrs.COLKIDがいろいろとお店を見つけてくる。
すでに銀座はほとんど制覇した感があったが、探してみるとまだまだ美味しいお店がある。
これだけあって、どのお店もそれぞれ独自の味を追求しており、同じものがないというのも、また凄いことである。



今年は「レストラン タテル ヨシノ 銀座」というフレンチのお店。
銀座の三越新館の隣のビルPIAS GINZAの12階にある。
時折三越の窓から写真を撮っていたが、ここのレストランが写っていたことに気付いた。
天井の高さが7メートルもある開放感のあるホールで、案内された席も広い室内や外の景色が見渡せるベスト・ポジションであった。



パリにあるレストランも東京のレストランもミシュランの星をとっているだけあり、さすがに素晴らしかった。
シェフの吉野氏は、「テロワ(大地)の料理」をコンセプトに、素材のもつ味わいを極限まで引き出し、華麗な一皿に仕上げるシェフとして有名な方だそうだ。
上の写真の玉子は、強めの味に仕立てたサワークリームを半熟の黄身と混ぜながらいただくのだが、味の組み合わせが絶妙で唸った。
下は新タマネギを使った料理で、水分を飛ばしながら焦がさずに食感を残すのが非常に難しく、家庭ではとてもできないだろうという手の込んだもの。



今回はお昼の中くらいのコースをお願いした。
何しろ家族全員がある年齢に達しており、フルコースはちょっと辛い。
お店でも力を入れているメニューだという、魚を中心としたコースをお願いした。
それでも量的には十分で、おなかが一杯になった。



今日はこの季節にしては珍しく、フランスからアスパラガスが入ったという。
そういえば震災がなければ5月にはドイツに行っていたはずで、あちらではちょうどアスパラが抜群においしい季節である。
レストランに入ればどこでも、白くて太い茹でたアスパラガスを味わうことができる。
それを日本で食べられるとは思わなかった。
こちらのアスパラガスは、オレンジを隠し味に使い微妙な味を出しているのが、本国を上回るところ。



この見るからにヘルシーな野菜のプレートは凄い。
モネの庭園をイメージした季節の野菜の盛り合わせで、40種類もの野菜のリストの中から、その日に入手できたものが使われている。
季節によって内容が変わるそうで、これを食べたくて訪れるお客さんもいるようだ。
食物繊維が豊富なため、軽いように見えて、意外にも一番お腹にずっしりときた。



メインはサーモンであった。
これも凝りに凝ったもので、塩や燻製処理により微妙に味をコントロールしてあり、魚の油っぽさや臭いを軽減しながらも、本来の繊細な味を生かしている。
食べてみると柔らかくプリプリとした身は、ほぼ最良と言っていいものだった。
これならサーモンが苦手な人でも食べられるのではないか。
付け合せも甘さや苦さのある意外なものが添えられており、魚との組み合わせで味が生きるように考えられている。



母親の誕生日だったので、プレートを用意してくださった。
お店の方々の対応も素晴らしいもので、料理について詳しく教えてくれる。
母親はかなり満足した様子で、早速叔母を誘ってもう一度食べに来ると言っている。
叔母からも、今年のお店はどうだったかと、味を聞かれるようだ(笑)



デザートは上のコーヒーとナッツを使ったものと、下のパインを使ったものから選べた。
パインは母親が頼んだものであるが、やはり味に一工夫してあるようで、できれば両方食べてみたいくらいだった(笑)
どの料理も食器が素晴らしい。



やはり都内には素晴らしいお店が揃っていると、今更ながら感心した。
何かに徹底的に凝り、とことん道を追求していくのは、日本人の特質なのだろう。
まだまだこういうお店があるのかと思うと、奥の深さは恐ろしいほどである。


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曇りの日曜日


LEICA X1

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空は雲で覆われており天気はいまひとつであったが、何とか最後までもった。
母親の誕生日を祝い、銀座で食事をした。(詳しくは後日)

父の日が近いということで、デパートには父親向けの商品が並んでいた。
考えてみれば、ちょうど僕くらいの年齢の人がもらうプレゼントである。
しかし我家では、僕はむしろ子供のような存在なので縁がない(笑)

といいながらも、母親が僕に靴をプレゼントしてくれた。(本来なら逆だが・笑)
いつもなら黒っぽい革の靴を買うところだが、今回はイメージチェンジで明るいグレーのバックスキンにした。
女性陣は最初は反対していたが、試しに履いてみたところ、印象が変わっていいと意見を変えた。
カジュアルに使うものではあるが、ラフに扱うとあっという間にダメになってしまう素材なので、毎日履くわけにはいかないだろう。

父の日のプレゼントは、不思議と革製品が多い。
見ているうちに、革フェチとしては欲しくなってくるものが多くて困った。
自分でも作れそうなものも多く、創造意欲も掻き立てられる。
革や糸の色を自由に選んで、その場で作ってくれるお店があり、パスケースをひとつお願いした。
黒い革に赤い糸を選んだが、時計のバンドのことを思い出した(笑)

その後女性陣とは別れて、ひとりで有楽町から東京駅までぶらぶらし、JRで御徒町に出た。
ガード下のお店で革の話をいろいろ聞き、チェルケスというエンボス加工された革で作られたシステム手帳を購入した。
調べているうちに、ドイツのメーカーの現在最上級といわれる革が使われていることがわかり、欲しくなったのだ。
たまたま在庫の最後の一個だった。

歴史のあるタンナーが次々に消えていくと聞き、焦って買おうと思ったが、本当にデッドストックがそんなにあるのか疑わしい点もあるので、踊らされないほうがいいという。
輸入元の都合で、在庫をはくいい機会として利用されている可能性もあるようだ。
実際作る方の立場からいうと、伝統的な手法を受け継ぐところや余った職人を引き抜く会社もあり、有名タンナーがなくなっても必ずしも革の品質は落ちていないという。
最上級の革の需要というのは、実は業界全体で見ると非常に少ないもので、世界的にも製造元は15社くらいからずっと変動していないようだ。

その後、もう少し散歩しようとも思ったが、腰が痛くなってきたので、今日はそれまでで電車に乗って帰宅した。
帰宅後に雨が強く降りだした。
写真の方は天気が悪かったこともあり、ほとんど撮らなかった。
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特注


LEICA X1

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こつこつと時計ベルトを集めてきたが、ご存知の通り現在は希少性のある革か、フランス御三家クラスのものが中心になっている。
J.C.ペランやカミーユ・フォルネはお店に在庫していることも多いが、その中で欲しいと思うものは大体入手してしまった。
あとはいわゆるオーダー品で、自分オリジナルの仕様で頼むしかない。
実は現在、数本であるが、オーダー品を頼んでいる最中だ。

お店に在庫として置いてあるものは、万人向けの無難な仕様のものばかりである。
どうせオーダーするなら、思い切ったデザインのものにしなければ意味が無い。
また納期がかかるので、完成する頃の季節も考慮すべきだろう。

たとえば少し前にJ.C.ペランに依頼したものは、夏頃に出来上がると見越して、汗対策を考えて裏面ラバータイプを選んだ。
発注から最長で3ヶ月くらいかかるので、逆に今から頼むなら、涼しくなる頃に出来てくると予想して、感触の悪い裏面ラバーより牛革を選んだ方がいいかもしれない。
一方でジャン・ルソーなどは2、3週間で出来上がるので、夏を意識した仕様を考えた方がいい。

ペランでは表面型押しのカーフで、濃いこげ茶で作ってもらっている。
これは店頭でシーマスターにサンプルの革を当ててみて、これはいける!と思って注文した。
型押しといってもワニ系ではなく、全面を細かくシボのように型押ししたカーフのベルトである。
以前よりそのタイプが欲しくて探していたのだが、なぜか一般市販品ではあまり見かけない。

最近わかったのだが、その手の型押しカーフを好むのは日本特有の現象で、欧州では今は表面がプレーンなカーフが中心になっているという。
昔ブランドもののバッグなどに、型押しの革がよく使われていたので、日本人に高級なイメージが刷り込まれてしまったのかもしれない。

ジャン・ルソーでも、実は凄いデザインのベルトを頼んでいる。
どうせならビックリものにしようと思い、目一杯派手な組み合わせを選んだ。
紫色のリザード(トカゲ)にステッチは鮮やかな赤、しかも裏面は黄色いシャークにしてもらった。
これは出来上がってきても、ちょっと腕につけて歩けないかもしれない(笑)

ネットで注文したのだが、オーダーしたお店からは、出来上がりが楽しみだというメールがきた。
別の時計ベルト専門店で、そういうベルトをオーダーしたことを伝えたら、出来上がったらぜひ見せて欲しいと、目を輝かせた女性の店員さんから言われた(笑)
みなベルトへの思いは同じなのだ。
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D2X + Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

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寝ていると首が痛くて動かなくなる。
朝起きようとすると、電気のように痛みが走る。
症状があまりに酷いので、整形外科に行ってみた。

前回行った時は、患者が大勢来ていて、治療が終わるまでに何時間も要した。
それでは仕事にならないので、会社で昼食を早めに取り、午前の診療時間の終了する直前を狙って行ってみた。
平日の昼間ということもあるが、作戦が功を奏したようで、患者の数は少なめだった。
患者の多くは主婦や年配の女性で、男性は僕以外にひとりしかいなかった。

症状を聞いた先生は、手足の痺れや握力を調べ、吐き気が無いかなどと質問をする。
さらにはレントゲン撮影をしたが、結局骨には異常はなく、椎間板もきれいで問題ないという。
(レントゲンを撮るたびに、どういうわけか骨はまったく大丈夫だといわれる)
疲労が溜まって、筋肉痛の症状が激しく出ているのだろうという診断だった。

治療室に通されて、背中に電極を当てて、ビリビリと電気を患部に通した。
それからイスに座って軽くマッサージのようなものを受けた。
もう少しじっくり揉んで欲しかったが、治療はそれで終わってしまった。
痛み止めと湿布薬をもらって帰った。

痛み止めの薬はあまりよくないというが、結局は薬のお陰で楽になっているのは事実だ。
薬がないと、寝るたびに首が痛くなり、本当に参ってしまう。
これが本当のネルトダウンだ・・と言ったら、そういう不謹慎なジョークは人前では言わないようにと、家族から注意された。
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眼鏡


LEICA X1

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メガネを作ろうかと銀座のZOFFに行ったのだが、いまひとつ気に入ったものがなかった。
その後地元の眼鏡市場でも見せてもらい、結局フリーフィットという、おもちゃのように軽い眼鏡をひとつ作ってもらった。
ZOFFに比べると少し高かったが、まあそうは言っても驚くほど高いものでもない。

それよりも驚いたのは、予想外に視力が落ちていることであった。
今までのメガネで、それほど不自由は感じていなかったのだが、測定してみると視力0.5程度しかない。
近視も乱視も進んでいるという。

これでは免許の更新も出来ないので、とりあえず1.0とは言わないまでも、0.9くらいは見えるようにしてほしいと告げた。
希望の視力になるよう、検査用の眼鏡に丸いレンズを何枚か挿入する。
しばらくそれをつけて、店内をうろうろしてくれという。
本当にその強さでいいのか、めまいが起きるようなことはないか、確かめてほしいというのだ。

遠くがクリアに見えていいなと思いながら、店内の陳列棚の間をうろうろした。
ソファーに座り、雑誌を手に取ってみてビックリ、文字がかすんでよく見えないではないか。
どうしてもピントが合わず、本を目からかなり離さないと読むことが出来ない。

これではどうしようもないので、もう一段、0.8くらいまで落としてもらうことにした。
それで何とか雑誌が読めるようになった。
これでは今までの眼鏡とあまり変わらないのではないかと思ったが、乱視の補正は行っているので、新たに眼鏡を購入する意味が、まったく無いわけではないという。

それにしても、近視を補正すればするほど、近くのものが見えなくなるとは、今まで知らなかった。
時計のベルトを交換するのに、目が見えなくて難儀してしたが、何のことはない、眼鏡を外せば見えたのだ。
知らずに眼鏡の上からルーペをかざしていたが、確かに眼鏡を外すと至近距離のものはよく見える。

問題は写真を撮る時だ。
僕の場合マクロ撮影も多いし、新しい眼鏡がピント合わせにどのような影響を及ぼすかが気になっている。
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消滅


LEICA X1

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カミーユ・フォルネからコノリー・レザーの時計ベルトが出ていることは書いた。
ところがWikipediaで調べればわかるが、コノリー・レザーという会社はもはや存在しない。
125年以上という長い歴史を持ち、英国皇室御用達であったこの皮革メーカーは、2002年に潰れてしまったのだという。

コノリーに限らず世界中の老舗のタンナーが、環境問題などが理由で次々に消えていく状況だそうで、高品質な革の供給源がなくなりつつある。
営業を続けている日本のレザーメーカーが、今後の供給元として世界から注目されているほどだという。

たとえば靴などでは、もう入手できなくなった貴重な革のデッドストックを使った製品が出ることがある。
売り切れたらそれまで、もう入手不可能という商品である。
何よりもまずこういうものを、先に買っておかなければならないわけだ。

コノリーを使っている高級自動車メーカーはどうなってしまうのかと思ったら、最後のストックを買い占めて、今はそれを使っている状況で、それが底をついたらコノリーのレザー・シートもそれまでだと聞いた。
コノリー・レザーで作られた財布などの小物も売られているが、そちらも同じ状況で、すでにいくつかのカラーの在庫が尽きているという。

それを聞いてちょっと慌てた。
財布をひとつ買っておこうかと思ったが、コノリーの財布って高いからなあ・・・(笑)
あの感触は最高なのだが・・・



その貴重な皮革のひとつ、今はなきドイツのカール・フロイデンベルグ社のボックスカーフを使った時計ベルトがこれ。
カワチヤ時計ベルト店がオリジナルで作ったもの。

まったくもって素晴らしい革で、つややかできめが細かく、惚れ惚れしながら眺めてしまう。
表面の微細な皺は、ベルトを腕に巻くとスッと消え、オイルを塗ったように滑らかなる。
作りも凝っており、ステッチは剣先にのみ施され、裏面は汗に強いソフリナを使用。
使うのが勿体無いベルトだ。
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体質


LEICA X1

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震災で東北地方にあった重要な原料の生産工場が、いくつかダメージを受けた。
ものによっては、その影響が今になって出ており、全国的に入手困難になった資材もある。

一方で、復興も少しずつ進んでいる。
もう二度と手に入りませんと言われた資材が、ここにきて前言撤回で、急に生産できるようになったと報告を受けたりする。
かなり混乱しているようだ。

その混乱の最中におかしな行動を取り、少なからず信頼を失ったメーカーもある。
日本を代表する企業のひとつである某メーカーは、震災の影響で製品を納入出来ませんと、得意先に一方的に通知を入れた。
それを受けて慌てた得意先は、何とかぎりぎりの数量を供給するよう頼み込み、必死にやり繰りして過ごした。

ところがその同じ時に、そのメーカーは別の新しい会社に出向き、自分たちはたっぷり在庫を持っているが買わないかと話を持ちかけたことがわかった。
今まで世話になった得意先に供給する分は、ぎりぎりに抑えておいて、これを機に他社の得意先を横取りし、ライバルを一掃しようとしたのだ。
それに気付いた同業他社や商社は、非常時にあのような汚いやり方をするとはと憤慨した。

その問題のメーカーとは以前取引があったのだが、何だかおかしな体質の会社だなとは思っていた。
話していても、どうにもお役所的な感覚なのだ。

過去に付き合った中にも、そういう会社がいくつかあったが、大抵は歴史が長く、一時は業界で独占的な地位にあった会社である。
その地位は創業者やそれに続く先輩たちが築いたものであるが、その後に入った社員はその副作用で、極端に世間が狭くなり尊大な態度を取るだけの人間になってしまう。
若い新入社員までが、不幸にも会社の体質に染まり、同じような態度を取るようになるのだ。

彼らも恐らく家庭では、大会社に入った立派な息子やお父さんで通っているのだろうが、現在のような非常事態は、彼らの人間としてのレベルを露呈させるきっかけとなる。
今回その会社がとった軽率な行動は、どうやら上の人間が変わって新しい方針になったことも原因らしい。
しかし憤慨した業界の人たちから、直接関係のない僕のところにまで話が伝わってくるのだから、結果的には会社としてのマイナスは大きいだろうと感じている。



今日の時計ベルト。
バンビ社のスコッチガード・ハイクラス。色はワインだ。
以前より水をはじくスコッチガード加工を施したベルトは販売されていたが、この製品は表、裏、それに中材にまで加工を施すという、撥水効果を徹底させた新商品。
その分通常の商品より価格が高めに設定されているが当然であろう。

雑菌の温床になりやすい中材にまで防水加工をもたせることで、汗対策商品としてかなりの効果が期待できる。
日本の会社の製品であり、当然日本の夏の状況下での使用を考慮して作られていると思われる。
試しに水をたらしてみると、はじかれて丸い塊になり、革の表面にシミはつかない。

今回はワインを選んでみたが、意外にアクアテラにマッチして、腕に着けても違和感がない。
汗対策ベルトとしては案外ダークホースかもしれない。
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お仕立券


LEICA X1

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お仕立券付きのワイシャツ生地をいただいた。
丸く折りたたんだダンヒルの生地が2本入っている。
気に入らなければ、お店で同等の好きな生地と交換することもできる。
2種類ともグレーの品のいい生地だったので、1枚はストライプの明るい生地に変えてもらった。

店員さんが一人付き、相談しながら細かい仕様をつめていく。
襟や袖の形とか、背中のタックの入れ方とか、ネームの糸の色とか・・・仕様が次々に決まっていく。
地味なグレーの生地は徹底的にスタンダードな形を選び、派手目のストライプの生地は襟の色を変えたりして、意識的に性格をはっきりと分けた。
こういうことは苦手のはずの僕だが、時計のベルト選びに通じるところがあって、なかなか楽しかった。

一通りの仕様が決定すると、別室に通されて、鏡の前で採寸が始まる。
女性の店員さんが、ここはこうしましょう・・などと言いながら、手際よくサイズを測り、仕様書に数値を書き込んでいく。
腕にオメガがついているのを見ると
「時計はいつも左手にされますか?」
と聞かれた。

また時計に触ってみて、いつもこんなに大きい時計をされますかと聞かれた。
普通はもう少し薄い(クオーツ式の)時計が多いという。
僕もいろいろと持ってはいるが、大体機械式の時計をするだろうと思い、そう答えた。

では時計対策として、左の袖だけ1cm大きくしましょうと言い、データシートにそう書き込んだ。
クォーツ時計の場合は5mm大きくするという。
いずれにしても、採寸の時に時計をしていてよかった。
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今日のフェラーリ・・それと床屋


LEICA X1

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今日はけっこう忙しい一日であった。
ダンヒルのワイシャツのお仕立券をいただいたので、日本橋三越にオーダーに行った。
2枚分あったが、1枚は地味なグレーのもの、もう1枚はストライプの少し派手目のものにした。

三越でジャガー・ルクルトの催し物を見た後、カミーユ・フォルネの売り場で製品を見ていると、いつの間にかお昼に近くなっており、あわててタクシーで銀座に向かった。
帝国ホテルのなだ万で、昼食を予約してあったのだ。

実はこれも誰かから頂いた食事券で、使用期限が迫っていたのだ。
今日は頂き物ばかりだ(笑)
なだ万は味がしっかりしていて美味しかった。

その後銀座をぶらつき、メガネを作りにzoffに行ったが、気に入ったものがなくて買うのを中止した。
そこからMrs.COLKIDと別れて、ひとりで床屋に向かったが、電話をしてみるとお客さんで一杯で、1時間ほど空かないという。
仕方なくもう一度Mrs.COLKIDと落ち合って、銀座三越の上でお茶を飲んだ。

実際銀座はかなりの人出で、道には歩行者が溢れていた。
天気も程よく、何台かのフェラーリを見た。
1時間後に床屋に行ってみると、席は埋まっており店員さんも忙しく動き回っていた。
床屋が終わってから丸の内に出て、東京駅まで歩いた。
もちろん途中で時計店などを覘いた(笑)

JRで秋葉原に出て、ヨドバシで時計のバックルをいくつか購入。
実は通常のポイントとは別に、毎月の購入額の1%分が貯まるアフターサービスポイントというのがあり、かなりの金額貯まっているのがわかった。(まあ、それだけヨドバシで買っているということだが・・・)
このポイントは通常は修理にしか使えないのだが、一部の三つ折れ式バックルに使用できることがわかり、すべてポイントを利用して入手した。

家に帰ってから近所の眼鏡市場に行って、フリーフィットという重量の軽いメガネをひとつ注文した。
けっこう充実した一日であった。
夜は家でゆっくりしたが、夕食を食べているといきなり凄い勢いで雨が降り出した。
あのフェラーリは無事に帰りついたろうか・・・
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復活の地震速報


D2X + Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

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夕べ、久しぶりに緊急地震速報が鳴った。
夜1時頃、リビングにひとりでいると、まずMrs.COLKIDの携帯が、カバンの中でけたたましい音を発しはじめた。
続いて僕の携帯も鳴り始めた。

見ると、福島で大きな地震が発生したとある。
テレビをつけると、同じように注意を促すテロップが流れている。
そういう一連の行動をとり、さらに数秒経ってから、実際の地震が来た。

震源からの距離にも関係しているが、これだけ長い時間が猶予として与えられるなら、地震速報も十分役に立つ。
実際、年中速報が鳴っていた3月頃は、携帯が鳴るとすぐに会社の機械を停止していた。
かなり助かっていたといえる。

だが、地震速報で精神的に参ってしまったという人も多い。
あの音が鳴るたびにドキッとさせられ、神経衰弱気味になったという。

本音を言うと、昨晩は僕も少しドキッとした。
鳴っている間、何をすべきか思いつかず、ただ黙って座っていた。
あの嫌な数秒間・・・(笑)

震災から数ヶ月経って、精神も生活も緊張感が薄れていたようだ。
こういう時こそ危ないのかもしれない。

ネット上では、あの緊急を告げる音が気に障るという意見が多い。
他にどんな音がいいか、という質問に、ゴジラのテーマソングなどが挙がっていた。
サイコのバスルームでの殺人シーンの音楽などどうだろうと考えたが、さらに精神を病む人が続出するかもしれない(笑)
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資材


D3X + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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建材を扱う商社を経営する知人と話した。
あちこちで建築工事が中断しているという話を聞くので、どうなっているのか聞いてみた。
たしかに大変な状態らしい。
資材を注文しても納入が3ヶ月も先になることが多く、その3ヶ月間会社を維持することが出来ずに、潰れてしまう工務店もあるという。
倒産した会社の一覧を見ると、職種の欄に建築業という文字が並ぶそうだ。

また言われているように、中国からかなりの量の復興向け建築資材が入っているようだ。
輸入合板などは、以前は等級の問題で北米産などが多かったが、今は中国から大量に入っているという。
経済界がバックについているというから、中国からの資材輸入は、国民の感情を無視して進められるだろう。

もっとも今朝、ラジオで面白いことを言っていた。
日本人がお店で使う割り箸は、中国で作られたものが多いという。
日本人が割り箸を使えば使うほど、中国の森林が破壊されていく。

だから、なるべく皆さんはマイ箸を持つようにしましょう。
お店の方は、中国産ではなく、計画的に伐採された日本製の割り箸を使いましょう・・・と明言していた。
これもエコのため・・という大義名分があるのが面白かった(笑)



今日の時計ベルト。
一見すると、プレーンなつや消しのシンプルな黒い革・・である。
しかしこれは、カミーユ・フォルネ製のコノリー・レザーのブラックである。
以前手持ちのグリーンのものを紹介したことがある。

ご存知の通り、コノリーは英国王室御用達の高級レザーで、フェラーリやロールスなどのシートにも採用されている。
これら高級車の室内に香る独特の甘い皮革の匂いは、このカミーユ・フォルネの時計ベルトからも感じることが出来る。
カミーユ・フォルネはコノリーの名称の使用を、英国外で唯一許可されているメーカーと言われ、いうなればこれは同社を特徴付ける代表的な商品でもある。

非常にしなやかで高品質な革である。
表面に独特のサラサラ感があり、付け心地も抜群にいい。
今回ふたつ目を購入したのは、コノリー・レザーが耐久性、耐水性に特に優れた材質といわれているからだ。
夏に向けた時計ベルトとして、ゴム製とは違う、もうひとつの回答になるのではないかと期待している。
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血筋


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先日、シーマスターを会社の机の上に忘れてきた。
駅で気付いた時、予想外に強いショックを受けた。
喪失感があって、腕が寂しくて仕方がない。

いつの間にか時計が体の一部になってきたようだ。
着けているといやになって取ってしまうことも多いのだが・・・

僕のシーマスターは、一週間に1秒から2秒ほど狂う。
それが気になって、毎週のように秒針を合わせる。
まあシーマスターのキャリバー8500は別格として、他にも舶来ものを持っているが、そちらは一日7、8秒くらい進む。
そのため2日おきくらいに秒を合わせなければならない。

電話の時報で合わせたり、電波時計で合わせたりする。
それを聞いて、僕の父親も同じことをしていたと言われた。
母親によると、二日に一遍は電話で時報を聞いていたという。
知り合いの時計師の方も、僕の父親は正確さに厳しかったと言っていた。

また、どうやら父親は、得体の知れない時計をいっぱい持っていたらしい。
時計好きの従兄弟が、僕の父親が持っていたはずの時計のリストを、思い出しながら作ってくれた。
まだみつかっていないのだが、家のどこかにあるはずだという。

会社から帰って服を着替えると、すぐに仕事とは別の時計に付け替えていたという。
犬の散歩の時まで、それ専用の時計をつけていたと、母親から聞いた。

全然知らなかったが、僕とやっていることが同じだ。
これも血筋だろうか。



今日の時計ベルト。
ベアーのカーフ型押しのゴールドブラウン。
実は一番最初に買ったベルトなのだが、困ったことに、手持ちのどの時計にも合わない(笑)
鮮やかなオレンジ系のブラウンで、写真で見る限り面白そうに見えたのだが・・・
付けてみては、溜息とともに外す。
ベルト選びが如何に難しいかを教えてくれたベルトでもある。
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カエルとカラス


D3X + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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ある晴れた日、野球を趣味とする知人が、チームの仲間と野原で練習をしていた。
すると隣接する田んぼから、何やら悲鳴が聞こえてきた。
みなが練習を中断して、田んぼの方に集ってきた。

見るとカラスが、大きいウシガエルを、くちばしに挟んで飛び立とうとしている。
脚を噛み付かれたカエルが、断末魔の悲鳴をあげているのだ。
いつもは低い声で鳴くウシガエルが、命の危険を感じてピーピーと高い声を発している。

あのカエルを助けるんだ。
カエルの悲壮な声を聞き、可哀想に思った野球部員たちが、一斉に石をひろって投げ出した。
何しろ野球部員だから、けっこうな勢いの石が、ビュンビュンとカラスに向かって飛んでいった。

カラスは完全に悪者にされていた。
通りがかったどこかのオジサンまでが、この野郎と、届かないまでも石を投げている。

面食らったカラスは、ついにカエルを離すとそのまま飛び去っていった。
田んぼに落ちたカエルは、脚を引きずりながらも、やがて水の中に潜っていったという。



今日の時計ベルト。
先日紹介したモレラートのスピードの、今度はブルーを買ってみた。
価格のわりに質が良くて、材質もラバーなので夏に向いていると思ったのだ。
カーボン風の表面仕上げもなかなかよく、本物のカーボンよりも上質に見えるほどだ。

しかしこういうペンキで塗ったようなベタッとした青い色は、ちょっと難しい。
腕に付けてみると、やはりどこか浮いて見える。
時計の文字盤に青い色が使われていれば、もう少しマッチするのだろうが・・・

このシリーズはお気に入りなのだが、信号機みたいな原色系の4色しか用意されていない。
できれば濃いグレーとか、中間色も加えて欲しいものだ。

これからの季節に向けて、夏を意識したベルトを、少し集めてみようと思う。
御三家からも汗に強い素材を試す予定なので、乞うご期待。
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3ヶ月


LEICA X1

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資材の仕入先で、津波に工場をやられたところがいくつかある。
ある工場の敷地には、瓦礫ばかりか身元不明の遺体までが流れ込み、しばらくは近付くことも許されなかった。
やっと復旧作業が始まると、今度は工場の中に、流されてきた自動車が300台も入り込んでいるのがわかった。
現在は再開作業を必死に行っているが、生産開始は夏くらいからで、本格的な稼動は年末になりそうだという。

偶然地震の前に、その資材を少し多めに仕入れておいたので、今のところうちの会社はあまり影響を受けていない。
しかし在庫を持たないことを自慢にしていた自動車メーカーは、まともに被害を被りラインが動かなくなってしまった。
資材調達の担当者は、まったく材料が入ってこない状況に困窮し、会議の席上で机を叩いて怒りをあらわにしているという。

東北の震災とつながっているように見えるスマトラ沖では、本震発生から3ヵ月後に大きな余震が発生したという。
そのため今回も、3ヶ月後にまた地震が起きるのではないかと、多くの人が恐れているという。
もうあと数日だ。
ある種の流言飛語ではあるが、実際に起こる可能性がないわけでもなく、単なる噂で片付けられない。



今日の時計ベルト。
エレファントの革を使ったベルトだ。
アルキメデス・スパイラルという時計店が、オリジナルで作らせたものを、店頭で見かけて購入した。
非常に強い革だそうで、ざらざらした表面は硬めの質感であるが、ベルト自体はしなやかに作られている。

象の革はワシントン条約に引っかかるという理由で、一時市場からまったく姿を消した。
僕が結婚した頃、象革は禁止されて入手できないため、代替品としてカバの革を使用して作ったというカバンを、購入したことがある。
皺の多いスエード状の面白い革で、けっこう気に入っていた。
カバン自体は恐ろしく高価で、普通なら簡単には購入できないのだが、結婚というものは何かとお金がかかるもので、つい勢いで購入したのだ(笑)

さらにはお祝いをいただいたので、それでもうひとつ購入して父親にプレゼントした。
僕のカバンはかなり使い古したが、父のものはほぼ新品状態で、ふたつとも手元に残っている。

ところがその後、保護された象が増えすぎたため、ジンバブエの自然公園の中で限定捕獲されたもののみ、革の販売が許可されたそうで、市場に象革の製品が出回るようになった。
逆にカバは入手困難になっているようだ。
カバは気性が荒く、革に傷が多いという理由から嫌われることもあるそうだが、個人的には好きな革であった。
時計のベルトの素材としても、なかなかいいと思うのだが・・・
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