大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年06月09日 | 植物

<281> 大和に見るツツジ科の仲間たち (1)

       石楠花の 花を求めて 霧の中

 ツツジの花を採りあげたので、ついでに大和における他のツツジ科の仲間たちを私の出会った範囲で四回に分け紹介したいと思う。自生する野生のもので、植栽による園芸種は除く。これらを総合するに、大和に自生分布するツツジ科の七割方は紹介出来ると思われる。では一回目はツツジ属シャクナゲ亜属、トキワバイカツツジ亜属、ヨウラクツツジ属の花を見ていただくことにしよう。

 シャクナゲの仲間で大和の山々に自生するのはツクシシャクナゲとホンシャクナゲで、ツクシシャクナゲは紀伊山地より南に自生し、ホンシャクナゲは北に自生する。大和のシャクナゲは両者の混在する様相にあるが、両者は極めてよく似て、判別は葉の裏面や花の毛の生え方によって見るが、どちらにもとれる中間型のものが多く、判別は撮影時の判断によった。

 トキワバイカツツジの仲間では、紀伊山地の限定される山地にしか見られない希少なバイカツツジが見られる。バイカ(梅花)とあるごとく、ウメの花に似たかわいらしい花を咲かせるが、花つきが少ないので目につき難く、写真は探し求めて何回目かに撮影したものである。

 ヨウラクツツジ属では、ウスギヨウラク(ツリガネツツジ)とコヨウラクツツジが見られる。ウスギヨウラクの方は標高にかかわらず、低山帯から亜高山帯まで広く分布している。コヨウラクツツジの方は標高が千五百メートル以上の山地に見られ、大和では希少種である。

 写真は左からホンシャクナゲ(台高山系の日出ヶ岳)、ツクシシャクナゲ(大峰山脈の七曜岳)、バイカツツジ(下北山村の山中)、ウスギヨウラク(御杖村の山中)、コヨウラクツツジ(大峰山系の稲村ヶ岳)。