大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年06月06日 | 写詩・写歌・写俳

<278> 金星の日面通過 (太陽面通過)

        高々と 雲雀が揚がり 鳴いてゐる 大和国中 日長の一日

 金星が太陽と地球の間を横切り、一直線に並ぶことによって金星が太陽面に入り込んで黒点に見える日面通過(太陽面通過)の現象が六日にあり、大和でも見られた。雲の多い天候で、軌道を追うことは出来なかったが、晴間も出て、撮影出来た。

 水、金、地、火、木、土、天、海、冥と言われる太陽の惑星の中で、金星は水星とともに地球より太陽に近い内惑星で、地球より少し小さいが、よく似た惑星として知られ、地球とは姉妹惑星と言われるほどである。ほぼ円軌道で公転し、地球の公転と角度を異にするため、ときにこのような太陽、金星、地球が一直線に並ぶことがある。

 この現象は二〇〇四年六月八日に観測されて以来のことで、次に見られるのは百五年後の二一一七年であるというから宇宙の規模は大き過ぎて測りがたいと言える。当然のこと、私には見ることが出来ない。だが、宇宙の大きさからすれば、この百五年は私たちの感覚における一日よりも短いかも知れない。

 この間の金環日食にも言えることであるが、このような天体ショーがあると、聞きかじりながら、宇宙のメカニズムというものに触れ得て興味をそそられる。金星が明けの明星とか宵の明星と言われるのは金星が内惑星であるからで、地球の公転と金星の公転とにおける角度によって、金星が見えて太陽が見えない時間帯、即ち、明け方と宵の口に見えることによる。

 火星のような外惑星でない金星は水星と同様、真夜中には決して見ることが出来ない惑星である。昼間は太陽光に負けて見えない状態にあるが、日面通過(太陽面通過)の状況では逆に黒点として見えるわけである。それにしても、金星は実に小さいもので太陽の三十三分の一だというから、地球も太陽からすれば黒点に過ぎない小ささであることが想像出来る。

 もちろん、肉眼では到底見ることの出来ない明るさで、写真は日食グラスによって撮影した。目に注意しながら撮影したが、その強烈な太陽光の明るさに向き合うと、太陽の威力が改めて思われるところで、地球生命にも思いがいった。私たちは如何なる状況にあっても太陽の惑星である地球に生を得ているものであって、つまりは、太陽の眷族であるということが出来る。

 写真は雲が切れて太陽が輝きを増した午前九時半ごろの撮影である。かかった薄雲の先端部分に薄い黒点が見えるのは太陽の黒点かも知れない。写真は上が天頂。撮影地点から見れば、左が北になる。右の写真は天高く揚がるヒバリ。