白鮭
鮭・白鮭(シロサケ)
【語源】
鮭の語源はさまざま。サケとはアイヌ語で「サクイベ」(夏の食
べ物)から来ているとか、身が裂けやすいのでサケとか、鮭の大物
がアイヌ語で「スケ」と言い、転じてサケになったとか、身の赤色
が酒を呑み、赤らんだ様に見えるため「サカキ」が転じてサケに
なったとか・・・・・、とにかく色々な説があるようだ。
時鮭の筋子の塩漬け
時子の巻物
時鮭の塩焼き
【鮭の種類】
鮭は英語でサーモンと呼ぶ。このサーモンと言う分類の仕方を
すると、鱒(マス)も鮭の仲間に入る。また、日本でも鮭・鱒と
いう分類で分けるようだ。実際、鮭と鱒を厳密に区別するのは難し
いとされている。
一般的に日本で「○○鮭」と呼ばれているものだけを鮭と限定する
なら、銀鮭・紅鮭・白鮭の3種類になると思われる。
しかし、日本で鮭というと、シロザケの事と思ってよい。
時鮭(上)と秋鮭(下)
【白鮭の種類】
日本では、シロザケ自体も何種類かに分けて呼ばれます。
最も有名なのが秋に北海道・東北地方の川に戻ってくる「秋鮭」。
「アキアジ」とも呼ばれます。そして、春に北海道・東北沿岸に
押し寄せる「時鮭」。「時不知(ときしらず)」とも呼ばれます。
そして、数千尾に一本と言われる貴重な「目近(メジカ)」。
最後は一万尾に一本と言われる非常に高価な「鮭児(ケイジ)」
の4種類に分けられます。
この4種の鮭は、実はすべて同じシロザケなのです。漁獲される時季、
産卵までの期間によって呼び分けられ、実際に姿・形・味にも違いが
生じるのです。
この4種類の詳細を把握するには白鮭の一生を理解しなければなりません。
時鮭の切身・脂がばっちりのって美味しい
時鮭のルイベ
【シロザケの一生】
白鮭の卵は約2ヶ月で孵化します。北海道で言うならば10月に産み
落とされた卵は厳しい寒さの中孵化し、3~4月頃川の中を泳ぐよう
になります。そして春4~5月頃、海に出ます。
海に出ると主にベーリング海や北大西洋の餌の豊富な箇所を回遊
し、3~6年間海で過ごします。そして8~10月頃、生まれた川に戻っ
てきます。白鮭が生まれた川に戻ってくる母川回帰率(ぼせんかい
きりつ)は限りなく100%に近いと言われています。
回帰する鮭の中で、最も多いのが4年魚で全体の50%を占めます。
川に上る時期でその年齢構成が違います。
8~9月上旬は5年魚が多く魚体も大柄。9月中旬を過ぎると4年魚が
増え始め魚体が小さくなります。
既に記したように、回帰する年齢は3~6歳と、ばらつきがあります
(まれに7年魚もいる)。これは、天変地異などによる絶滅の危機
から子孫を守るためと考えられています。
そして白鮭は川に上り、産卵し、一生を終えます。
秋鮭(上)とブナ鮭(下)
【秋鮭(アキザケ)】
アキアジともよばれる。シロザケの代表的存在。
秋(8~10月頃)に産卵の為、北海道の川に遡上しようとしている
シロザケ。
産卵が間近のため、生殖巣が成熟している。この為、身に脂はない
が、卵(筋子)に価値がある。身も食されるが、イクラの原料と
して、卵が珍重される。
秋鮭は沿岸で遡上の準備をしながら、川に近づく。海水から真水
域に入ると、厳しい遡上に備え、皮が非常に硬くなり、色も銀白色
から黒・黄色・ピンクの混ざった婚姻色になる。
特に雄は、ナワバリ争いに勝ち抜く為、口が突き出し、歯が鋭くな
る。この状態を「ブナ」または「ブナザケ」と呼ぶ。
時不知(ときしらず)・秋鮭に比べ優しい顔をしている
時鮭イクラ丼
【時鮭(トキザケ)】
季節外れの春に北海道沿岸に近づき、漁獲される事から「時不知
(トキシラズ)」とも呼ばれます。
通常4~5年で成魚となり、秋に川を上るが、回遊途中に北海道沿岸
で、しかも、5~7月頃に捕獲されたものを時鮭と呼ぶ。
その年の秋に産卵するが、まだ回遊途中の為、生殖巣が未熟。
しかし、生殖巣に栄養をとられない為、脂ののりがよく、身が、
すこぶる美味しい。
岩手で同時期に獲れる白鮭は「オオメ」と呼ばれる。
時鮭の塩焼き
3~4年魚が多いため、秋鮭に比べ小柄。日本の川ではなく、ロシア
のアムール川が故郷ではないかと言われている。
秋鮭を選別している。この中に稀にメジカが・・・!
メジカ
【目近(メジカ)】
北海道の川に上らず、宗谷岬をまわって本州(新潟など)の川に
上る鮭で、回遊途中に北海道で漁獲されたものをメジカと呼ぶ。
厳しい遡上の準備期間中のシロザケ。この為、餌をよく食べ、栄養
をたくわえ、身が美味しい。脂ものっている。
目が口に近い為、目近と呼ばれる。
非常に希少価値があり、数千本に1本の確立でしか漁獲されないと
言われている。
ケイジ・エラのところに本物を証明するタグが付いている
ケイジのルイベ
【鮭児(ケイジ)】
生後2~3年の白鮭で小型(1キロ超)。字のごとくまだ子供の為、
生殖巣が未成熟で雄・雌の判断もつけづらい。川に上るまで
まだ、1~2年の猶予があるため、脂をしっかりと蓄えている。
通常のシロザケの脂含有率は2~15%程度だが、このケイジは20~
30%の脂を含み、全身トロ。
川を上る成魚(秋鮭)の群に混じり、餌を食べに来たところを漁獲
される為、1万尾に1尾の割合でしか獲れないといわれている。
非常に高値がつく。
時鮭と同様、ロシアのアムール川が故郷ではないかと言われている。
白鮭(新巻鮭)の切身
【旬】
シロザケの旬は、一般的に漁の最盛期を迎える秋、秋鮭の時季と
言えます。しかし、春の時鮭の時季も旬としても良いのでは?
と思います。
【うんちく】
基本的に長い川を故郷にしている鮭ほど、美味しいと考えられて
います。それは厳しい遡上を長い距離行う鮭ほど、エネルギーを
蓄えなければならないからです。この為、脂ののりがよくなるわ
けです。とっても、論理的・納得だと思いませんか。
北海道で獲れる鮭の中では、アムール川に上る鮭が最高であると
思われます。
時鮭
【ブランド・産地】
白鮭のブランドは「メジカ」「ケイジ」自体がブランド化されて
いると言ってよい。
また、塩鮭でもブランド化されており、有名なのが北海道標津の
「山漬け」と新潟県村上の「塩引き鮭」。
標津の「山漬け」は、たっぷりと塩をまぶした鮭を山積みにして
旨味を十分に引き出したもの。
鮭を山積みにした上に重石をのせ2週間、その後上下を入れ替え、
更に2週間寝かせる。これにより、水分が抜け、体積は半分になる
とか・・・。旨味が凝縮・熟成され最高です。
村上の塩引き鮭
一方、村上の「塩引き鮭」は、まず、鮭の重さの7~10%の塩を
すり込む。水分が抜ける穴のある箱に1週間保存し、塩をなじま
せる。その後、一昼夜、水につけ塩出しし、ぬめりをそぎ落とし、
風通しの良い日陰に2週間ほど干して出来上がり。
手の込んだ、芸術品です。
酒びたし
塩引き鮭は2種類あります。正月用は塩控えめ。初夏の村上大祭り
に不可欠な「酒びたし」用は塩を強めにするとか・・・・。
「酒びたし」とは、塩引き鮭を極薄く切って、食べる数分前に
酒や味りんをかけ、柔らかくして食べる料理。日本酒が進みます。
マ印のイクラ
【イクラのブランド・産地】
鮭の卵である「いくら」もブランド化されています。
北海道標津の「マ印のいくら」は、現在では数少ない、手もみで
卵をほぐします。この為、卵がつぶれる事がなく、塩蔵も一度で
製品化できます。(通常は2回)
一般に流通しているイクラは、ほぐす前に一度、塩水処理してから
機械でほぐし、更に塩蔵する。これは、一度塩水処理しないと機械
でほぐせないからである。(卵がつぶれやすい為)マ印のいくらは
手揉みでほぐす為、塩蔵は一度のみ、イクラ本来の味、風味が強い。
イクラ自体の味が楽しめる一品です。
「マ印のいくら」の詳しいことは こちら!
鮭のイズシ
ちなみに、魚屋さんで秋になると並びだす生筋子。ご自宅でも簡単にイクラが
作れますよ~!
是非、挑戦してくださいね。マ印のイクラに負けないのを作ろう!
ご家庭で簡単、イクラ醤油漬けの作り方はここ!ここ・必見!
メフン・雌のものは融けやすいので雄で作られる!
【産地ならではの漁師料理】
白鮭は、アイヌの時代から伝わる伝統的な料理が数多くあります。
紹介しきれないぐらい・・・・。
溶けぎわを食べる「ルイベ」。鮭の腎臓(背骨に付いている血合
いのような物)を塩辛にした「めふん」。塩鮭の頭の軟骨部分を
酢漬けにした「氷頭(ひず)なます」。茹でたジャガイモとイクラ
をあえた「チョケップ」。
氷頭(ひず)なます
秋鮭を味噌と野菜で焼き上げる「チャンチャン焼き」などなど・・。
しかし、マグロ君の一押しは、未成熟な時鮭の卵を塩漬けした
時子(ときこ)の塩筋子。
時鮭の筋子(卵)はまだ未熟で親指ほどの大きさしかありませんが
、プチプチとした食感は忘れられません。漁師さんが船上でこの
筋子を漬け込み、漁が終り港入りするころに熟成し、食べ頃になっ
ていると言う寸法。地元の人しか食べれないシロモノです。
生の筋子
新巻鮭・白鮭をあら縄で巻いて干したことからこの名が付いた
【栄養と効果・健康】
鮭は良質のたんぱく質を多く含んでいる食材です。
ミネラルでは高血圧を予防するカリウム、骨を丈夫にするリンを
多く含みます。また、若返りのビタミンと言われるビタミンEも
多く含んでいます。
注目すべきは鮭の赤色の色素でもあるアスタキサンチン。
この成分は体内でビタミンAとして働くと共に、非常に強力な
抗酸化作用を持つことが知られている。
動脈硬化・脳卒中・心臓病などの予防にもなり、ガンの予防効果
もあると言われている注目の機能成分である。
鮭の情報ドシドシお待ちしています。
秋鮭
ハラコ飯
ランキングに再登録~~前回最高位は2位!~~目指せナンバーワン!
こっちもね
プロが選んだ・・・・魚の【のれん街】