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図書館における電子書籍の課題

『情報資源の社会制度と経営』より 図書館における電子書籍サービスの位置づけ

図書館において電子書籍を導入することの短所や課題もある。まず、カテゴリーCとDの共通の課題について述べる。入手した電子書籍コンテンツのなかで、著作権が有効である電子書籍は、閲覧の対象やその範囲などについて、あらかじめ確認を行う必要がある。電子書籍の提供元が図書館向けの電子書籍提供サービスの場合は、すでに権利処理を行っているが、それ以外の場合は、館内および館外での電子図書利用の範囲について権利所有者に確認を得ておくことが必要である。

また、カテゴリーEとFのように電子書籍端末やパッケージ化されたメディアを利用するのではなく、自館で所蔵する書籍を電子化する場合は、対象とする書籍について、著作権が失効しているか、有効であるかについて調査する必要がある。著者の生没年が明確にわかる場合は、権利処理を比較的簡便に行うことができるが、そうではない場合は、著作権者の状況についての調査が必要になる。また著作権者が存命な場合は、著作権者や出版社と電子書籍サービスの提供などについて交渉を行う必要がある。

また、カテゴリーEとFに共通の課題としては、情報提供を自館で行う場合、持続性の観点からデジタル機器や、対応する電子書籍フォーマットを決める必要がある。とくに、デジタル技術やクライアントの環境は日進月歩であり、書籍を閲覧するビューワーなどの対応環境を考慮する必要がある。また、電子書籍フォーマットを適用する場合、複数あるフォーマットのなかで、より持続性と汎用性のあるフォーマットを選定しなくてはならない。さらにサーバーの管理を行う場合は、セキュリティなどに留意しながら、運営していくことが必要となる。そして、図書館の会員のみヘサービスを提供する場合は、個人情報の管理などにも留意する必要がある。ただし、自館で保有する電子書籍のデータを活用することが、すべての運営を自館で賄うことを意味するわけではなく、外部のサーバー管理や配信サービスなどを利用することも可能であろう。ただし、自館のデータを中心に運営する以上、より能動的に電子書籍提供サービスの設計に関わっていく必要がある。

そして、カテゴリーCとEについては館内閲覧における共通の課題がある。館内閲覧については、電子書籍はパーソナルコンピュータや電子書籍端末、夕ブレット端末などを用いて閲覧するため、これらのハードウェアをある程度用意する必要がある。また複数の利用者が使用するため、故障や不具合が生じる可能性が高い。そのためこれらの機器のハードウェアとソフトウェアの両面を常にメンテナンスする体制を築く必要がある。機器のメンテナンスは外部の会社に依頼することが一般的な傾向であるが、そのコストについても留意する必要がある。

さらに機器は最新のOSやアプリケーションに対応させるため、一定期間の経過後に変更していくことが必要であるが、そのコストを考慮に入れておく必要がある。また図書館向けの電子書籍提供サービスを複数の機関から同時に受けることが現状では難しい。これは予算的な理由もあるが、サービスによってインターフェイスや使い方なども異なるため、管理や閲覧者の立場からも、混乱が生じる可能性が高い。しかし、各社によって提供されるコンテンツ内容に違いがある場合、利用者に提供したい電子書籍コンテンツを十分に取り揃えられない可能性も高い。

また、CとDの共通の課題としては、商業サービスを利用している場合は、サービスがほかの会社に買収されることによるサービス内容の変更や、サービス自体の停止などが起こるリスクもある。また、提供サービスが有期の契約である場合は、予算の減少によってサービスが終了した場合、契約内容によっては自館には資産が残らず、これまで提供できたコンテンツを利用者に提供することができなくなる可能性も否定できない。

また、DとFの共通の課題として、閲覧者を利用会員のみに限った場合は会員向けのIDやパスワードの管理などに留意する必要がある。また、それぞれの個人の環境で電子書籍を閲覧するため、各個人が用いている機器やOSの環境によって閲覧できない場合もある。そのような場合は、図書館に問い合わせなどが生じる可能性もあり、閲覧者への対応を考慮していく必要がある。そして、会員向けの個人情報の扱いなどについて、提供会社と十分な検討をして、合意をしておく必要がある。
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ナチスの強制的画一化政策の強行

『ナチス時代の国内亡命者とアルカディアー』より ヒトラー政権と強制的画一化の進行

事態は極めて早く進展し、しかも最悪の状況を生み出していた。ナチスの「強制的画一化政策」は、幾つかの「法律」と「焚書」とによって、ほんの半年という極めて短時間の間に完成された。以下のものである。

① 1933年2月28日、「民族と国家の保護のための大統領命令」。この法律は、俗に「国会放火緊急命令」とも呼ばれた。全5条からなり、これは1933年2月28日の「国会議事堂炎上」事件を「共産主義者による国家転覆の暴力行為」と規定し、これら共産主義者による反国家的活動を、全て、「死刑」をもって「防止」しようとするものである。第1条には「……従って、人身の自由の制限、意見の自由発表〔出版の自由を含む〕の権利の制限、組織・集会の権限に対する制限、信書・郵便・電話の秘密に対する干渉、家宅捜査命令および財産没収命令、所有権の制限等もまた、これに関する一定の法的限界を適用されない」。この第1条では全ての基本的諸人権が完全に否定・無視されていることに注意しよう。第5条では、反逆、毒物投与、放火、爆破、溢水、鉄道妨害、公安を害する毒物投与には死刑をもってすると規定している。

② 1933年3月24日、「民族とライヒの危難を除去するための法律」。俗に「授権法」と呼ばれ、全5条からなり、首相のヒトラーに無制限の独裁権を与える法である。第3条に「ドイツ国政府が決議したドイツ国法律は、総理大臣がこれに手を加えて完全ならしめた上、ドイツ国法律公報をもって公布する」とある。

③ 1933年4月7日、「職業官吏制度の再建のための法律」。「職業官吏法」とも呼ばれた。公職〔裁判官、弁護士、公務員、職員〕の全領域から、非アーリア人〔有色人種、黒人、ジプシー、ユダヤ人〕を追放・粛清するもの。

④ 1933年5月10日の「焚書」。この日の夜10時、ベルリンのオペラ広場で2万5000冊の「非ドイツ的」書物が火にかけられた。マルクス、カウツキー、ハインリヒ・マン、ケストナー、エルンスト・グレザー、フリートリヒーフェルスター、フロイト、E・ルートウィヒ、W・ヘーゲマン、G・ベルンハルト、A・ケル、レマルク、トホルスキー、オシエツキーらの書物である。焚書はドイツ全±25ヵ所で一斉に行われた。但し雨天のためハイデルペルクとケルンでは5月17日に、マンハイムでは5月19日に順延された。

⑤ 1933年7月14日、「政党の新たな結成を禁止する法律」。全2条。第1条に「ドイツ国内には唯一の政党として国民社会主義ドイツ労働者党が存在するものとする」。第2条は既存政党の存続、新党結成者への3年以下の重懲役に処する事が規定されている。

この①から⑤までの措置はこれからほぽ12年間続くことになるナチス体制の方向を集約的に示すものであった。つまり、ヒトラーの個人独裁・反共産主義・反ユダヤ主義・ドイツ的文化・ナチスー党独裁・強制的画一化がこれである。しかし、この時点、つまりナチス政権獲得後の半年間において、この法律がいかなる現実的・実際的効力を持つものであるのか、誰も想像すら出来なかった。今日の研究では、ナチスの強制的画一化政策は、社会の底辺にまで貫徹したわけではないとされるが、しかし、この5つの措置でドイツ人の息の根はほぼ止められた。

しかもヒトラー政権発足時、たった3人だったナチス党員閣僚も民族啓蒙宣伝相ゲッベルスが1933年3月に入閣し、4月には労働相ゼルテがナチス党に鞍替え〔6月鉄兜団は突撃隊と合体〕し、6月27日経済相・農相のフーゲンペルクが辞任に追い込まれ、代わって6月29日、ナチス党のタルト・シュミット〔経済相〕とヅァルター」グレー〔食料農相〕が入閣した。さらに総統代理のルドルフ・ヘスが加わり、ナチス党員は結局8名になった。非ナチス党員は副首相フォン・パーペン、法相ギュルトナー、外相ノイラート、国防相ブロンベルク、郵便兼運輸相リューペナハの6名となった。5ヵ月の間にナチス党員は、3対8から、8対6に逆転した。ゲッペルスはこの年1933年7月17日には「ナチ革命」の終結を宣言した。
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自動運転車は諸刃の剣 トヨタの苦悩、Googleの野望

『徹底予測 次世代自動車』より

2013年1月に米国ラスペガスで開催された世界最大のエレクトロニクス関連の展示会「International CES 2013」。トヨタ自動車による無人での自動運転を実現する実験車の発表では、同社が苦悩する姿が浮き彫りになった。

発表の場で新しい技術の利点をじっくり説明するわけでもなく、持ち時間の45分のうちわずか10分強で説明を切り上げた。その上、無人で走れる実力がある実験車を披露したにも関わらず、「自動運転を目指した車両ではない」(トヨタ)とちぐはぐだ。

外観は無骨だが、技術的には高い水準に達する車両である。自信を持ってアピールするのにふさわしいものだ。トヨタの態度が煮え切らないのはなぜなのか。

背景には自動運転車が、自動車メーカーにとって諸刃の剣と言える危険性をはらんでいることがある。「究極の安全技術」(トヨタ)として最大の課題である交通事故を大幅に減らし得る一方で、実現するとこれまでの自動車ビジネスが根底から覆る可能性がある。

そんな危機感をあおるのが米Google社だ。自動車開発とは無縁に思えるソフトウェア開発企業の同社が、世界で始まった自動運転技術の開発競争で先頭を走っている。

トヨタが認める高い技術水準

 Google社が自動運転車を最初に発表したのは2010年のことだ。以来、急速に開発を進めており、現在までに10台以上の実験車を開発した。既に公道で実験中で、これまでに全車両の合計で30万マイル(約48万km)以上を走らせた。しかも、自動での運転時に事故を一度も起こしていない。 Google社の開発リーダーと話したトヨタの幹部が「極めて優れた技術」と認める水準に達している。

 なぜGoogle社は自動運転技術の開発に熱心なのか。一つには、自動運転技術の中核と同社の事業の親和匪が高いことがある。「Google Maps」などの地図サービスに必須の地図情報を格段に充実できる。

 Google社を含む多くのメーカーが開発している自動運転技術では、車両に搭載したセンサで予め作った3次元地図情報と、走行中に収集する周囲の情報を照合することで自車の位置を推定し、最適な走行経路を計算する。地図情報を基に計算する技術が自動運転には極めて重要で、これはGoogle社の得意とするところだ。

 同社の狙いは既存事業の強化にとどまらない。自動車メーカーがあせりを覚えるのは、その先にあるもう一つの狙いである。自動運転車のOS(operating system)の開発を手掛けようともくろんでいることだ。

 Google社は最近、スマートフォンだけではなく通信機能を有するあらゆる端末のOSを開発することを狙っており、その矛先の一つにロボット分野がある。そのロボットOS(Robot OS : ROS)に、自動運転技術の開発で培ったソフトウェアを取り込もうとしている。

 2011年5月、Google社はROSの開発を手掛ける新興企業の米Willow Garage社と提携した。Google社のスマートフォン向けOS「Android」で、ロボットを制御する技術を開発するのが狙いだ。その提携に際して見せたROSの適用先を示したイラストにGoogle社はクルマを大きく描く。

 完全に自動化された自動車は、見方を変えれば“車輪のついたロボット”と言える。その上、テレマティクスサービスが普及しつつある自動車は“通信端末"でもある。自動車ビジネスの市場規模の大きさを考慮すると、「ROSを適用したい分野の筆頭」(ROSを研究する産業技術大学院大学教授の成田雅彦氏)と言えるだろう。

 ROSの実現は、これまでの自動車ビジネスを覆し得るる。Google社のスマートフォン事業と同じ構図が見えるからだ。同社はスマートフォン事業で、優れたOSをいち早く無償で提供することで、同市場の主導権を握った。そして自社の地図や検索のサービスと組み合わせることで大きな利益を生み出す。一方でスマートフォンを造る電機メーカーは、Google社のOSに合わせて開発を進めざるを得ない従属的な立場に甘んじている。

 自動運転車が実現すると、クルマの価値はソフトウェアに左右される比率が高まりハードウェアの価値は大きく下がる可能性がある。ェンジンやステアリングなどにこだわって実現してきた「“走る楽しみ"に商品力はなくなるj(アクアビット代表取締役の田中栄氏)からだ。冒頭で示したトヨタの発表は、そんな未来に対する不安の表れだ。それでも電機メーカーの轍を踏まないために、自動車メーカーは開発を進めるほかにない。
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岡崎市図書館の10冊

未唯空間の位相化の準備

 未唯空間の位相化の道具を準備しましょう。

 コミュニティというものを考えても、いろいろなコミュニティが出てきます。コミュニティの成立条件、コミュニティの中にある意識と知識。知りたいということからも、根幹にします。概念化します。

 ほとんど、人間の脳の解釈と同じになってきます。アナロジーも同様です。数学の思考、そのものです。

中国の世代

 中国のおける世代のこと。80年後と90年後はかなり違います。

 一人っ子政策は1979年からです。そして、1989年の天安門事件。世代を作り出しました。

 親の世代は文化大革命の10年の影響です。反作用として、子供の教育を考えてきた。

岡崎市図書館の10冊

 302.2『これからの中国の話をしよう』

 332.2『現代中国経済』ダイナミックに発展する「世界の工場」中国の多様な側面を、新しい分析やデータを交えて描きます。世界一となった中国の工業力の源泉である労働、資本、技術の現状と将来を分析するとともに、工業の担い手であるさまざまな企業について解説し、中国の成長が接続可能かどうか検討します。

 222.0『現代中国』複眼で読み解くその政治・経済・文化・歴史

 361.7『地域社会改造論』一人ひとりが動き出せば世の中が変わる 身近なことから始めよう。地域を世界の中心に置き、人と人をつなぐ。ゆるやかな人間関係を築き、それぞれが行動を起こせば、共同体は活性化する。群れず、図らず、押しつけず。さわがず。急がず、ゆっくりと。地域深耕、未来開拓、一人ひとりのプロジェクト…が満載!

 332『経済と人類の一万年史から、21世紀世界を考える』

 319『国際政治(上)』国際政治学は「モーゲンソーとの対話」の歴史である。あるがままの人間を観察すれば、政治はつねに権力闘争である、という命題に行きつく。

 227.1『現代アフガニスタン史』国家建設の矛盾と可能性

 135.5『サルトル、存在と自由の思想家』

 019.9『ビブリオバトル入門』~本を通して人を知る・人を通して本を知る~ ビブリオバトル公式ガイドブック

 675『プロが教えるWebマーケティング&集客・販促』-完全ガイドブック- Facebookページ/Twitter/LINE@を活用した新しいWebマーケティングの教科書
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