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欧州市民・社会・消費者政策

『EUの知識』より

EUに生活する人々は、各加盟国の国民としての権利とともに、「欧州市民」としての権利を認められます。多様な価値観を持つ欧州市民の交流はEUの最重要課題の一つです。

欧州市民権の強化

 EU基本条約は、超国家EUではなく、民主的EUを築くため、各加盟国の国家市民権に追加する形で欧州市民権を認めています。欧州市民の権利は次のようになっています。

 ①加盟国の領土内での自由移動と居住権 ②居住する加盟国において、当該国国民と同一条件で欧州議会選挙と自治体選挙に投票、立候補する権利 ③自国が外交代表を置かない第三国領土において、すべてのEU加盟国外交機関から当該国国民と同一条件で保護を受ける権利 ④欧州議会への請願権、欧州オンブズマンヘの申し立て権、EU各機関とのコミュニケーション権。

 欧州市民権を維持するための原則として、代表民主主義と、参加民主主義の二つがあります。前者は、欧州議会選挙への直接投票であり、立候補権です。また自国の政府を選挙で選ぶことで、欧州理事会、閣僚理事会に市民の意見を反映させることもできます。

 後者は、欧州市民が直接、EUの政策決定過程に参加することを指します。欧州議会への請願権のほか、市民が欧州委員会に対して、法案提出を発議できる規定があります。市民発議の手続きは、「欧州市民イニシアティブ」と呼ばれ、百万人以上の署名と加盟国の三分の一 (現在は九カ国)以上の国の市民の署名があることが条件です。委員会は署名を受け取ると、四ヵ月以内に法案作成の是非を判断しなければなりません。

 EU各機関が市民に対して不公正な扱いをした場合などは、第2章でみた欧州オンブズマンに申し立てる権利が確保されています。

欧州消費者アジェンダ(ECA)

 統合市場の成果は消費者の市場行動となって初めて実を結びます。現在のEUのGDPの五六%は消費支出で構成されています。「欧州二〇二〇」の実現にも消費行動のスマート化、包括化、持続可能性が欠かせません。そこで委員会は「二〇二〇」に連動する形で、一二年に欧州消費者アジェンダ(ECA)を公表しました。

 国境を越えた商品・サービスの提供は商品選択の多様性、価格の下方収斂性等のメリットを消費者にもたらします。その一方で、金融サービスやデジタル商品等の取引をめぐるトラブル増、食品等の安全性、製品・サービスの信頼性、旅行サービスの不便さ等の課題は、EU全体の消費者行動に影響を与えます。消費者の安心・安全の権利をEU全体で確保することが求められるのです。

 消費者には購入した商品・サービスの不具合等に対して返品、補償、保護を受ける権利があります。しかしEUの調査では、四人に一人の消費者は自らの権利に自信がないとの結果が出ています。特に統合市場の成果である国境越えショッピングは、そうした不安の影響もあって思うほど伸びていないとされます。そこでEUはネットショッピング等に伴う紛争解決のため、各国間で消費者保護協力(CPC)ネットワ-クを構築しました。

 また委員会は消費者紛争を早期解決するため、EU版の裁判外紛争解決手続き(ADR)や、ネット利用紛争解決手続き(ODR)の採用を提案しています。二千ユーロ以下の少額請求案件を早期仲裁する欧州少額請求手続き(ESCP)の普及も課題です。

 EU全体での消費者紛争処理ルールの整備は、消費者のEUショッピングの信頼醸成に役立ちます。域内問題だけではありません。たとえばEU内で販売される玩具の八五%は中国製です、EUは「原産地での安全性」を重視、第三国との交渉に加え、OECD、WTOなどの国際機関との連携も視野に入れています。

(4) 教育・職業訓練・若者支援

 人材育成はEUの成長と雇用に欠かせません。スマート成長のためには高いレペルの人材が必要ですし、包括的成長のためには、労働者の熟練力を向上させる雇用力強化が必要です。EUは「二〇二〇」戦略の人材育成に向けて「教育・職業訓練での欧州協力の戦略的フレームワーク(ET二〇二〇)」を立案、就学前、初等教育、高等教育、職業訓練、生涯学習へと連なる強化目標を立てています。

 教育・職業訓練の「二〇二〇」目標は①四歳以上の就学前児童の少なくとも九五%は幼児教育を受ける ②十五歳時点で、読む力、数学・化学の能力が不十分な子どもの割合を一五%以下に抑える ③学校や職業訓練からの中退率を一〇%以下に抑制 ④成人の少なくとも一五%は生涯学習に参加する、などです。

 目標達成のために、複数のサブ・プログラムを展開中です。「コメニウス」計画は、就学前から中等教育までの幅広い分野で、教育法の改善、児童・教員のEU内移動の改善、語学学習でのICT活用などを推進します。高等教育向けの「エラスムス」計画は、EUの大学生が域内他大学で、無料で授業を受け、単位も取得できる制度です。毎年二十三万人以上の学生が活用し、八七年からの累計利用者は約三百万人です。

 「レオナルド・ダ・ビンチ」計画は職業技能教育プログラムです。EU内の他国での技能教育の受講を支援します。労働者がEU伝統の熟練技術やICT活用の新規技術を身につけるのを側面支援して失業率の改善を目指します。
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新たな欧州へ~「欧州二〇二〇」戦略

『EUの知識』より

欧州債務危機渦中の一〇年三月末、欧州理事会は新成長戦略「欧州二〇二〇」を承認しました。危機からの脱出とともに、世界経済の構造的変革への対応を目指したものです。

三つの優先戦略

 「欧州二〇二〇」戦略は、金融・債務危機から脱するにも、やはり経済成長してこそ、脱出できるという視点を軸に据えています。「より高い雇用力を持つ競争力の強い経済」を作り出すため、三つの成長領域を示しています。①スマートな成長(知識と技術革新に基づく経済の発展)②持続可能な成長(より資源効率的で、よりグリーンで、より競争力のある経済の促進)③包括的な成長(社会的、地域的結束をもたらす高雇用経済の推進)、です。

 同戦略は、EUレベルの五つの重要目標(ターゲット)を設定し、二〇年までの十年間で達成するとしました。それらは①二十~六十四歳の人口の七五%を雇用する②EUのGDPの三%を研究開発(R&D)に投資③気候変動・子不ルギー政策の「二〇、二〇、二〇」目標を達成④中途退学者比率を一〇%以下とし、少なくとも若者の四〇%は高等教育の学位を得られる⑤貧困・差別リスクに直面する人の数を二千万人減らす、などです。

 「二〇二〇」戦略にはEUのあらゆる社会セクターが含まれます。このため欧州理事会や委員会がリードする一方で、多くのステークホルダーの参画が求められます。EU諮問機関の欧州経済社会評議会(EESC)が運営委員会を設けているほか、地域委員会(COR)には関連情報を精査する「欧州二〇二〇モニタリングープラットフォーム」が設けられました。

 「二〇二〇」の直近の進捗度では、①の雇用率は六八・五%(一二年)、②は二・〇三%、③のうち温室効果ガス(GHG)の排出量二〇%削減目標はヱ(・九七%(一一年)などです。政策の展開だけでなく、欧州経済の変化の影響を受けています。

七つの旗艦イニシアティブ

 優先事項を実現する主要エリアとして七つの「旗艦イニシアティブ」を掲げています。たとえば「スマートな成長」のためには①欧州のデジタル・アジェンダ計画(DAE)②イノべーション連合③若者の自由移動、「持続可能な成長」のためには④資源効率的な欧州⑤グローバル化対応の産業政策、「包括的な成長」のためには⑥新技術と雇用のアジェンダ⑦貧困対策の欧州プラットフォーム、などです。

 このうちDAEは、域内のオンラインサービスなどの障壁を撤廃する単一デジタル市場などの七つの柱を立て、統合市場の効果をさらに高める目標を掲げています。「イノべーション連合」は、スマート成長促進のために研究開発と雇用創造の連携強化を促すものです。一ユーロの研究開発費は産業価値に換算すると七~一四ユーロの付加価値を生み出すとの試算から、研究開発の成果をもっと実務の経済に反映させることを目指します。「若者の自由移動」は、EU域内の学生交流事業「エラスムス」プログラムの新規事業として、五百万人の若者に勉強や職業訓練などのためにEU共通奨学金を提供する計画です。

 こうしたイニシアティブの成果を高め、優先戦略を現実化するためには、制度的な枠組みと財政的な支援が必要です。財政面の裏付けは、本章の財政・金融・通貨政策の項でみたように、欧州委員会が「ヨーロピアン・セメスター」に基づく各国経済の点検・勧告(CSR)において評価するとともに、中期財政計画(MFF)でEU予算を重点的に配分します。欧州投資銀行(EIB)や欧州社会基金(ESF)なども戦略に沿って、投融資や資金を重点配分します。

EUの雇用政策

 雇用か成長か、のテーマを掲げる際、EUは「成長こそがカギ。成長こそが答え」(バローゾ欧州委員長)と答えます。それは雇用を二の次にする意味ではなく、雇用を生み出すためにも成長が不可欠とみる視点です。課題は雇用なのですが、「成長無き雇用」対策は結局、財政負担を増やすからです。

 「二〇二〇」が示す三つ目の「包括的な成長」がそれを言い当てています。EUの財政問題は、債務危機の渦中で次々と打った対策の成果がようやく出つつあります。景気も一三年第二四半期(四~六月)の実質GDPが七四半期ぶりで前期比○・三%のプラスに転じました。まだ足元は十分ではないですが、手応えは感じられます。しかし、雇用情勢は一向に改善しません。一三年七月のEU全体の失業率は前月に続いて一一・〇%、ユーロ圏は二丁一%と過去最悪水準でした。

 EUの雇用問題が深刻なのは、域内失業率が構造的に高止まっている点に加え、国別、年齢別の格差が大きい点です。一三年七月で、国別の失業率がもっとも低いオーストリア(四・八%)に対し、ギリシャ(二七・六%=五月)、スペイン(二六・三%)は五倍以上の開きです。

 これに対し、二十五歳以下の若者の平均失業率は、EUで二三・四%、ユーロ圏で二四・〇%と、全体平均の二倍の水準です。国別ではドイツが七・七%と最も低く、最悪はギリシャ(六二・九%=五月)、スペイン(五六・一%)、新規加盟のクロアチア(五五・四%=第二四半期)です。実に若者の二人に一人が就職できないのです。

 雇用対策は基本的に各国の権限・責任です。したがって、EUの政策は各国の雇用対策を補完し、連携する視点です。基本は「雇用ガイドライン」(一〇年改定)にある四項目です。①構造的失業の低下、雇用の質向上、男女労働者の雇用参加の増大②市場需要に応じ、生涯労働につながる熟練労働力の展開③教育・研修制度の質と実績の改善④社会的包括の促進と貧困との闘い、です。

 これらの基本原則を踏まえ、「二〇二〇」戦略に合わせる形で、EUは各国に対して雇用政策の改善や、新規労働市場の開拓、労働者の職業変更の支援、労働者の自由な移動の促進などの総合的に雇用政策を網羅した「雇用パッケージ」を示しています。前述の若者向け新「エラスムス」プログラムや、EU域内雇用サービス(EURES)は、労働者の自由な移動を促す政策です。ともに国内市場で雇用機会が十分得られない若者を対象に、彼らが域内他国市場で雇用機会を得られるように支援する試みです。EURESは他国で就職を目指すEU国籍の若者(十八~三十歳)に対して面接旅費等の費用を提供し、採用側の企業にも研修費用等を支給します。
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依存しないこと

未唯空間の並び順

 思考の連続性のために、順番を変えましょう。1.1の次は1.2です。問題は、1.1.4の次が1.2.1になるかどうかです。そこまで、保証させようとすると、あまりにも空間が引っ付きすぎます。未唯空間の近傍系でやるなら分かるけど。

 1.2は4つのベクトルです。

考えができない状態

 考えることは何なのかを考えましょう。一応、何年も掛かって考えたもののロジックを見ながら。取りあえず、空間を見ているだけかもしれない。

 自分に与えられた時間をどう使うかだけですね。12月は気が狂うほど、考え抜かないといけないのに。

依存しないこと

 関係を絶つと言っても、向こうから絶たれているから、希望をなくすだけです。何しろ、依存しない。

 存在と無から始まっているけど、それが未だに解けない。60年も掛かって。方程式からすると簡単なのに。

 存在の方が難しく見えるけど、簡単です。存在していることは確かです。だけど、無が分からない。生まれてきた理由も含めて、無との関係です。

存在がベース

 どう見ても、存在がベースになります。それは哲学者に任せる。自分で作り上げましょう。時間を止めたいというのは、連続性に対する否定ではなく、永遠に連続することです。
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イタリア 国と地方自治 ★分権をめぐる経緯と現状★

『イタリアを知るための62章』より

イタリアの地方制度は三層制で、基礎的自治体の「コムーネ」があり、その上に県、州がある。コムーネは、日本の市町村にあたるもので、8092あり、その平均人口は約7340人である(2011年)。ただし、日本のような人口規模等に基づく権限の違いはない。とはいえ、大規模なコムーネには、複数の「区」が置かれ、そこには議会もあって、行政への住民参加がめざされている。いわゆる都市国家からの長い歴史的・文化的伝統に対応する単位も、コムーネである。これに対して、州は、1948年憲法において新たに設けられ、1970年にほぼすべてが実際に置かれた。現在、15通常州と5特別州がある。州あたりの平均人口は約297万人(2012年)と、日本の都道府県のそれに近い。また、県は109あり、約150年の歴史を有するとはいえ、コムーネと州の間の「中間的な自治体」として、その存在意義に疑義を呈する向きもある。

イタリアの国家制度は、その統一がなされた1860年代から単一制国家であるが、それは、凝集性の欠如を、中央集権的な制度を構築することで補おうとしたためである。凝集性の欠如を招いた原因は、まず、イタリアの国家形成が、各地方の支配的勢力の提携によってはじめて可能になったことによる。もう一つは、民衆が伝統的にその拠り所とする行政単位がコムーネであったことである。そのため、統一からファシズムが台頭する1920年代まで、中世以来の「郷土主義」が強く残存していた。これに対抗して、統一から間もなく、コムーネに加え、フランスをモデルに、県長官を介した中央政府による地方の統制を実現すべく「県」が置かれた。県長官は、地方自治体に対する国の委任事務を監視するとともに、国の地方における収務を統括することになった。こうした地方制度に対して、自治拡大の要求がなされなかったわけではないが、権威主義体制の台頭とともに、州設置は見送られ、1926年、逆に、コムーネの酋長を勅令による任命制とした。その後、ファシズム体制の下、中央政府の権限が強化され、単一制国家としての実質が高まり、警察・県長官・コムーネの首長による地方統制も強まった。

1948年施行の現行憲法には、伝統的(集権的)な要素も残った一方、地方自治の原則が掲げられ、地方自治体の権限等に関する章が設けられた。これは、制憲議会における、連邦主義的な立場、分権には一切反対の立場、穏健な地方自治をめざす立場の「妥協」の結果である。憲法は、県とコムーネの権限を明確に区分しなかったが、コムーネは、都市警察、学校教育、公共サービス等多くの分野を委ねられ、最も重要な行政単位として認識されることになった。県も、運輸、環境、職業教育といった分野で一定の役割を果たしてきた。州については、憲法で権限が詳細に規定され、限定的ではあるものの立法権(保健、都市計画、観光等)を持った。また、コムーネ、県ともに、ほぼ当初から公選の議会があり、議会がその構成員の中から首長を選ぶ仕組みになっていた。こうして、地方自治体に責任が委ねられた半面、中央政府は、地方自治体の行為の適法性審査や地方議会の解散という手段を介して、まだ統制を行うことができた。さらに、中央集権的な徴税制度も、真の意昧での地方自治を制限する要素となっていた。つまり、90年代初頭までの地方自治体の政治的役割は、決して少なくなかったが、その権限・自律性は、まだ十分なものではなかった。

しかし、90年代以降、欧州統合の進展等とあわせ、地方分権が大きく進展した。具体的には、1990年の地方自治法典の制定をはじめとした法律レベルの改革を経て、2001年に憲法における中央・地方関係が大幅に見直され、行政・財政・立法それぞれの面で、州をはじめとする地方自治体の権限が強まった。

行政分野では、首長の直接公選制導入と権限拡充、憲章制定権や規則制定権の強化が行われた。憲章は、各自治体の機構、議会・政府の権限、住民参加等を定めるものである。また、90年代後半から、補完性原理に基づき、コムーネをはじめとする地方自治体に行政権能が大幅に移譲された。そのほか、広域交通や環境問題に対処すべく全国9ヵ所での「大都市圏」の設置や、コムーネの事務の実施方法の見直し等が議論されている。

財政分野では、90年代以降、地方収入に占める割合の高かった国庫からの移転を大幅に減らす一方、租税制度の分権化・合理化が進められた。代表的な事例として、コムーネ不動産税(1993年)、州生産活動税(1998年)の導入がある。2001年には、州にのみ「国の法律で定める形式と範囲内において」財政自治権を認めた従来の憲法規定を改正し、州をはじめとする地方自治体の財政自治権が明記された。通常の財源として想定されているのは、①固有の租税と収入、②自らの区域に交付される国の税収の配分、③担税能力の劣る地域のために設けられる使途の定めのない調整基金の三つである。さらに2009年には、財政自治権の実現に向けた原則を定める新たな法律が制定された。この法律は、地方自治体の租税の枠組み、地方自治体の任務ごとの財源保障のあり方、関連諮問機関の設置等について規定しており、地方自治体により大きな権限を与えようとするものである。この原則に従い、具体的な内容を、州、県、コムーネそれぞれについて定める委任命令が複数制定されている。

立法分野でも、州の権限が強化されている。2001年の憲法改正により、州法は、法源上、国法と同等の地位に置かれた。また、立法権の配分において、国の専属的立法事項、国と州の競合的立法事項をのぞき、その他のすべての事項は、州に立法権が帰属することとなった。さらに、州法に対する統制も、施行前から施行後に変わっている。また、州は、「国家-州会議」(1983年設立)等を介して、国レペルの立法過程にも関与できるようになっている。この会議は、州の利益に関わる国の法令を対象に、政府に対して意見を述べるもので、その意見の数も年を追って増加している。
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結婚できるかどうかは所得で決まる:三〇〇万円の壁

『「機会不均衡」論』より

結婚できない理由の第二番目として、「結婚資金が足りない」というのが、男性で三〇・三%、女性で一六・五%の高さである。これは結婚式の費用がない、といった狭い意味ではなく、所得が低いので結婚後の経済生活ができない、という声と理解できる。第四番目の理由として、「住居のめどがたたない」というのが挙げられており、それが男性の七・六%であることと、すでに述べた結婚資金の不足三〇・三%を加えると、経済生活の自信のなさが合計三七・九%にも達している。第一位の「適当な相手にめぐり会わない」の四六・二%に近づく高さになっているので、結婚における経済生活の不安は深刻である。とくに男性のほうが女性よりも経済不安が高いことは、まだ日本においては結婚生活における経済負担の責任が男性により重く感じられているからである。ここで所得がいかに大切であるか、統計で確認しておこう。

二〇代と三〇代の男女に関して、年収別に見た場合に、結婚しているか、恋人がいるかいないか、結婚しておらず恋人もいない人については異性との交際経験があるかないか、などの違いを明らかにしている。

まず男性に注目してみよう。年収三〇〇万円未満の若い男性の状況は衝撃的と言っても過言ではない。二〇代と三〇代を通じて、既婚者は一〇%に満たず、「恋人あり」も二〇代で二五・三%、三〇代で一八・四%である。それに対して、「恋人なし」が三〇%台、なんと「交際経験なし」も三〇%台半ば前後である。まことに寂しい現実である。

三〇〇万円以上四〇〇万円未満になると、既婚者が二六%前後と急上昇し、「交際経験なし」も二〇%を割り込む。それ以降も、おおむね年収が増えるに従い既婚者が増え、「交際経験なし」が減っていくのがわかるだろう。(「恋人あり」と「恋人なし」に関しては、年収によるはっきりとした傾向は読み取れない)

これらの結果により、次のような命題が得られる。すなわち、若い男性が結婚するか、しないか(あるいはできないか)の差は、年収三〇〇万円が境になっている。年収三〇〇万円未満の男性は、結婚しても経済生活ができない可能性が高いと考え、結婚に踏み切れないのだろう。

さらに、年収三〇〇万円未満では、「恋人なし」と「交際経験なし」で過半数を占めている。結婚まで至らずとも、女性との交際にはお金がある程度必要である。また経済的理由から、交際しても結婚は難しいという予想があれば、女性に積極的にアプローチする気すら起きないのかもしれない。日本の若い男性の結婚や交際においては、「三〇〇万円の壁」が存在しているのだ。

次に女性について見てみよう。男性と異なる点は「三〇〇万円の壁」が男性ほど目立たないことである。たとえば年収三〇〇万円未満の二〇代女性であっても、既婚者と恋人ありか合計で六割を超えている。たしかに男性同様、「交際経験なし」は年収が増えるに従って減っているが、既婚の率はむしろ三〇〇万円未満より三〇〇万円以上五〇〇万円未満の層のほうで低くなっており、若い女性にとって、結婚や交際において自分の所得の低さはそれはどの壁になっていない。このことは三〇代でも同じである。

ところで、筆者の関心を呼び起こした発見がある。それは、年収が五〇〇万円以上の三〇代女性は、既婚率が二〇%前後にとどまる一方、「恋人あり」の割合は四〇%弱と高い。さらに「交際経験なし」は、五%以下と非常に低い。こうした女性は、自分の所得だけで生活していけるので、結婚しなくてもよいと考える人が多いのではないか。お金もあるし、仕事もやりがいがある、男性とのつき合いにも積極的、という人生を楽しくかつ有意義に送る三〇代独身女性の姿が浮かんでくる。彼女たちが「三〇〇万円の壁」に苦しむ男性たちと結婚するならば、すべてが丸く収まるとも言えるが、結婚は個々人の自由意思によるものであり、無理強いできないことは言うまでもない。

なお同調査では、雇用形態別の結婚・交際状況も集計しているが、低収入男性の深刻な状況は変わらない。正規雇用の男性は「既婚」「恋人あり」がともに二七%強、「交際経験なし」は一五%弱なのに対して、非正規雇用だと既婚が四・七%、「恋人あり」が一五・三%にすぎず、「交際経験なし」が三九・三%にも達する。両者には、賃金はじめ労働条件にかなりの格差があることは広く知られるところである。

以上をまとめると、低所得に苦しむ若者、とくに男性においては結婚どころか恋人がいるかいないか、あるいは異性との交際経験があるのかどうかまで含めて、かなり高い(ンディキャップを背負っていることがわかった。これを具体的には年収三〇〇万円の壁として理解できるとした。これを生んでいる三つの理由は、若者の高い失業率、若者の低賃金、そして若者の非正規労働者の多さである。

結婚を望む人、あるいは異性の恋人を持ちたいとか異性との交際を望む人にとって、所得の壁、あるいは経済の壁によってそれが成就できないというのは不幸なことである。人間として生まれて人生上の基本的なこと、あるいはもっとも楽しいことができないということが、本人の責任以外のことで発生しているのであるから、機会が損なわれていると理解してよい。
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豊田市図書館の25冊

未唯へ

 歯がいよいよダメですね。目がいかれることを一緒ですね。今年いっぱいです。

夜中の覚悟

 一人で死んでいくことの覚悟(0:33) 今の瞬間に亡くなることを(0:39) 偶然以外のすべてをなくします。偶然には全て従います(0:52) そして、誰にも、何にも、自分にさえも依存しない(0:52) 全て揃ったから、年内に決着を付けましょう。そして全てが同じタイミングでなくなりそうだから(1:20)

 全てを知りたい。全てを表現したい。空っぽにしたい。そして、まとめたい。これで終わりにします。

 ギリギリなところで生きていく。外から何も見えてこないのは確かです。本当に見えません。

 そして、依存しないことにした。

キンドルHDXが来た

 アーカイブと最新版を分けます。最新版はHDXに入れます。

豊田市図書館の25冊

 253.07『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言 上』

 253.07『ケネディ暗殺 ウォーレン委員会50年目の証言 下』

 336『まずは、管理部門の組織から』会社を強くする〝守り〟のレシピ

 010.4『私の出合った人・本・山』あるライブラリアンのあゆみ

 706.9『キュレーション 知と感性を揺さぶる力』

 317.27『文部科学省』「三流官庁」の知られざる素顔

 329.37『EUの知識』<第16版>

 496.1『ブルーライト体内時計への脅威』

 914.6『図書館はラブリンス』図書館めぐりはやめられない

 019.9『世界と闘う「読書術」思想を鍛える一〇〇〇冊』

 933.7『テロリストの回廊 上』

 933.7『大草原の小さな家』ローラのふるさとを訪ねて

 007.6『パソコンで困ったときに開く本2014』解決!トラブル288

 159『くすぶる力』

 501.8『3Dプリンター完全マスター』活用事例、制作ノウハウをチェック 3Dプリンターのすべてがわかる!

 335.04『日本でいちばん大切にしたい会社2』

 335.04『日本でいちばん大切にしたい会社3』

 159『ほめる力』「楽しく生きる人」はここがちがう

 290.93『ウィーンとオーストリア』

 C34.2『名古屋鉄道のひみつ』444.2Kmの長距離路線網で愛知・岐阜の輸送を担う

 498.36『「賢く」なりたければ まず、1分寝なさい』~脳が冴える!魔法の睡眠術~ たった1分寝るだけで 人生が劇的に変わります! 科学的にも証明された快眠と脳の、深~い関係

 104『子どもの難問』哲学者の先生、教えてください!

 293.7『イタリアでのこと』旅で出会った、マンマとヴィーンとパッシオーネ

 304『文藝春秋オピニオン2014年の論点』

 253.07『ケネディ暗殺50年目の真実』
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神にはどのような未来がある

『神』より

ドリュケール これまで、先史時代から現代までの長い歴史の足跡をたどり、神々、神、そして神的存在がもつ多様な顔を明らかにしてきました。次に、神の未来について考えを聞かせてほしいのですが、その前にまず、今日の信仰の現状について教えてください。

ルノワール 現状分析には慎重さが求められる--欧米諸国で行なわれる統計調査は数多く公表されているものの、それ以外の地域の統計データが総じて不足しているため--とはいえ、そこから世界的動向を示す幾つかの指標を得ることは可能です。今わかっている範囲では、世界人口のほぼ三分の二に当たる人々が、神を信じているといいます。ただし、その中には前述したように〔第6章〕、一神教か多神教のどちらかに分類するのが難しいヒンドゥー教も含まれています。残りの三分の一の人々は、神を持たない諸宗教(復興の最中にある中国の諸宗教、仏教、アニミズム、シャーマニズム)に属しており、無宗教を表明しているのは一部の人たち(世界人口の一〇%以下で、大半が中国と非キリスト教化した欧米諸国の人たち)です。

ドリュケール それによると、圧倒的多数の人が神を信じているようですが、欧米人の信仰に関する私たちの認識と、その統計数字のギャップに驚かされます。欧米では宗教が衰退の一途をたどっているので、無神論に取って代わられるのではないかと思っていました。

ルノワール 欧米というより、フランスと言った方がいいでしょうね。というのは、人々の信仰が数十年前から薄れつつあることは確かですが、アメリカ人のおよそ九〇%、ヨーロッパ人の約七〇%が、神を信じると言っているからです。

ヨーロッパでは三十年ほど前から、EU諸国の社会学者を中心とする研究チームが、信頼できる調査を行なっています(調査結果は、『ヨーロッパ人の価値観(Les Valeurs des Europeens)」という冊子に公表されています)。それを見ると、フランスではカトリック離れがかなり著しく、カトリック信者であると公言するフランス人が、一九八一年には七〇%だったのに対し、二〇〇八年には四二%にまで減少しています。他の諸宗教(ユダヤ教、プロテスタント、イスラム教、正教会、仏教)の信者は、同じ期間に三%から八%に増加していますが、それは主にイスラム教徒の急増によるものです。それと並んで、「無宗教」ないし「無神論者」を自称する人が、二七%から五〇%へと大幅に増えています。そして、厳密な意味で「神を信じる人」について言えば、特定の宗教に所属する人と比べてはるかに安定しており、五二%をキープし続けていますね。

やはり気になるのが無神論の広がりで、積極的な無神論者の割合は、不可知論者に代わって急上昇し、今では両者が(ともに二四%で)肩を並べています。フランスは今日、チェコ共和国と並んで、ヨーロッパで無神論者の割合が最も高い国になっているのです。「ルーパリジャン」紙〔フランスの主要日刊紙〕が二〇一一年春に公表した世論調査によると、無神論者は国民の三六%に達したそうです。とは言っても、定式化された設問の関係で、その数字には一部の不可知論者も含まれている可能性があり、そのまま鵜呑みにはできません。いずれにしても、我が国がヨーロッパひいては世界において、他に類を見ない特異な立場に立たされていることは確かです。しかし、現在フランスで起きていることを見れば、他の多くの先進国でこれから起きることが予測できるかもしれません。

ドリュケール この風潮がそのまま続くとすれば、二〇五〇年の世界で人々の信仰はどのようになっているか、大体の予想は立てられますか。

ルノワール 宗教的所属について人口統計学者が行なった予測によると、二〇五〇年には、キリスト教徒(全教派をひっくるめて)は現在の二十億人から三十億人に、イスラム教徒は十億二十万人から二十億二十万人に、ヒンドゥー教徒は八億人から十億二十万人に、仏教徒は三億五千万人から四億三千万人に、そしてユダヤ教徒は千四百万人から千七百万人になるといいます。これらの統計数字は、当然のことながら、これから数十年の間に人々の意識に起こり得る深い内的変化、大災害、あるいは大激変を考慮したものではありません。

そうしたメンタリティの変化を考えに入れれば、今ヨーロッパで起こっていることには、時代の趨勢が反映されていると言えるでしょうね。その趨勢とは、ひとことで言うと、神への信仰崩壊を伴わない脱宗教化(世俗化)の促進です。つまり、諸宗教は社会に対する支配力をしだいに弱め、特定の宗教を持たない人が日増しに増大するけれども、神への信仰が無くなるわけではない、ということです。それは、宗教社会学者たちが「(宗教団体に)所属せずに信仰する」と表現している信仰の新しい形で、時代の大きな流れとなっているのです。そしてそれは、先進諸国における生活様式やメンタリティの変化と、分かちがたく結びついています。宗教組織に縛られていた個々人がしだいに解放され、礼拝などの宗教儀礼から遠ざかっていく一方で、多くの人が神を信じ続け、個人としての霊性を保つ、という傾向がはっきり見えてきたわけです。
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ムハンマドの神

『神』より

ドリュケール イスラム教は紀元七世紀に、アラビア半島の荒涼とした砂漠地帯に誕生していますね。そういう宗教がいかにして歴史に名を残し、しかも一神教〔ユダヤ教、キリスト教〕の流れを汲むことになったのか、その経緯を教えてください。

ルノワール アラビア砂漠は、孤立した地域であるどころか、むしろ逆だったのです! とりわけメッカは、経済の中心地であると同時に交通の要所で、インド、イエメン、エチオピア、シリア、メソポタミア、パレスチナの間の交易を担う隊商たちが、盛んに行き交っていました。国際都市の原型とも言うべきメッカでは、ありとあらゆるものが影響を及ぼし合っていたのです。この都市についてはすでに二世紀に、ギリシャ人のプトレマイオスが、「マコラバ」という地名で言及しています。「神殿」を意味する古代エチオピア語「ミクラブ(mikrab)」が、その語源とされているように、メッカはもともと、「神殿」〔カアバ神殿を指す〕で名高い町でした。「ザムザムの泉」の近くに建てられたその神殿には、当初からあの「カアバの黒石」が安置されていました。今日でもイスラム教徒たちは、メッカ巡礼の際に、カアバの周りを巡回する儀式〔タワーフ〕を励行していますね。

この都を支配していたクライシュ族は、早くから厳格な中立性の原則を採用していました。まず政治的中立性ですが、周辺の国家間で対立や戦争が起ごった場合でも、メッカはどちらにも与しない中立の立場を保ってきました。そして宗教的中立性も維持していたので、異教徒、マニ教徒、さまざまな宗派のユダヤ教徒とキリスト教徒たちは、そこではまったく自由に、それぞれの礼拝を行なうことができたのです。メッカの中心をなす神殿には、カアバの他に、三百六十体の神々の像が祀られ、その中には都市の主神であるアッラート、マナート、アル・ウッザーの三女神も含まれていました。

大規模な定期市が開かれるたび、メッカは遠方から来た商人たちや、大巡礼に訪れた人々で賑わい、それがこの都に比類ない繁栄をもたらしていました。しかし、ここでもご多分に漏れず、社会は富の公平な分配からは程遠く、財力を手にしていたのは、主に権力を握る氏族たちでした。したがって、メッカの住民のかなり多くが、この経済的繁栄とは無縁の貧しい暮らしを続けていたのです。

ドリュケール マホメットはそういう社会背景、つまり非常に「国際的な」社会環境の中で、生まれ育ったわけですね。このイスラムの預言者は、どういう人だったのですか。

ルノワール モハメットは、メッカの名門クライシュ族に属してはいたものの、彼が生まれたハーシム家は、クライシュ族の中ではさほど恵まれた家系ではありませんでした。父親は五七〇年頃、彼が生まれる前に亡くなり、母親もまだ五、六歳だった時に他界しています。彼の養育を引き受けた父方の伯父アブー=ターリブ〔五四九-六一九〕は、質素に暮らすラクダ隊商の商人でした。モハメットは幼くしてこの仕事を覚え、伯父に同行してダマスカスまで行くようになったのは、九歳か十歳の頃です。

ダマスカスは、当時はキリスト教徒が多数派を占める大都市でしたが、住民の中にはユダヤ教徒も少なからずいました。隊商の商人たちが皆そうするように、少年モハメットも宿泊先で、現地の人たちと親交を結ぶようになります。その中でもキリスト教の修道士で、隠遁生活を送るバヒラとの出会いは大きく、モハメットの伝記によれば、バヒラは少年がもつ預言者の天皇を見抜き、アブー=ターリブに彼を大切に見守るよう忠告したそうです。


成人したモハメットは、裕福な未亡人ハディージャのもとで働き始めます。隊商の雇用主で、ラクダの所有者だったハディージャ〔五五五?-六一九〕は、清廉潔白な人として知られていたモハメットを信頼し、隊長の任務を彼に委ねるようになります。二人が結婚したとき、彼は二十五歳、彼女は四十歳でした。そして二人の間には、何人かの娘が〔四人の娘のほか、幼くして亡くなった息子も二人〕生まれています。

この時代のメッカでは、「ハニーフ」と呼ばれる人たちが、新興勢力として台頭していました。多神教徒ではあっても多神教に疑問を抱き、ユダヤ教ともキリスト教とも距離を置く彼らは、唯一神であるアブラハムの神を探し求めていました--その信仰は、「原始一神教」に近いかもしれません--ハニーフは少人数のグループで、メッカ近郊のヒラー山の洞窟に籠もり、数日から数週間にわたって瞑想するのを習慣としていました。

ドリュケール マホメットもその中の一人だったのですか。
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「羊の皮をかぶったオオカミ」作戦

チャッターとの一体化

 知識からすると、チャッターをベースにするしかないでしょう。ストック情報の部分はライブラリで体系化すればいいけど、今後発生するフロー情報をどういう風にナレッジにするかです。

 あとは、外部の情報検索は情報系システムに任せればいい。それを持ってくるのを、ポータルのメッセージ体系で整理させます。スタッフからの一体化するためのインファーフェースを作り出さないと、武装化にはならない。

 チャッターの中から、お客様の名前から探せるかどうかです。そうなってくると、情報系システムそのものです。もう少し、時間を掛けて、最終形の検索のやり方までのイメージを作り出します。市民コミュニティでも活用できるレベルにしておく。ただし、今回作り出すのは、現状からの推移で決めていきます。

羊の皮をかぶったオオカミ

 基幹系システムとは、集計表で抜き出す対象を変えることで、販売店の武器にできるようにしておく。取りあえずのデータは現行の延長線上にしておきます。その仕組みに気付いた人が自分たちのシステムとして、やり出せばいいです。

 作り出した、個人単位のお客様一覧はワークです。行動するためのプランであって、毎回作りかえせます。まあ、2年後ぐらいに、パートナーで考えてもらえばいいでしょう。ベースの部分とその時点のイメージだけは作り出しておきます。

 あとは、販売店へのアプローチです。望めばできるということを理解してもらっておけば、販売店でのシステムを使えば、基幹系の情報も使えることができます。

 集計表という名前の時限爆弾。表向きは軽くしておくけど、中身を変えれば、何でも変わる。ポータルを作った人間にも、その趣旨が分からないようにしておく。そうすれば、ばれることはない。

 集計表とのトラップをどこに位置づけるか。お知らせとの関係、チャッターとの関係。それぞれのフィールドからリンクを掛けるカタチでしょうね。ライブラリだけをお知らせする場合、簡易ウェブからお知らせする場合、アピール・アンケートのダッシュボードからお知らせする場合、それらと総合的に検索する機能を作っておく。どれをどのように使っているかが分かるようなログ集計さえあれば、後日の整理ができます。その時点でボタンを消せばいい。

メッセージ系

 何しろ、ライブラリもいくつもあります。メッセージ系もお知らせ、チャッター、アピールアンケート、システム通知などもあります。最初はそれらを意識しながら、使ってもらい、最後は意識せずに使えるようにしていく。

 その時までは、メッセージはそれぞれに作り出しておきます。メーカーから来たお知らせをどのように関係者に展開するのか。これは受けたものをどうして発信するかということとイコールです。

 本社・店舗間から、メーカーを含むところまで範囲を広げたことをどうするかです。メーカーの持つサーバーとの関係もその範疇に入ります。

 メッセージの集約としては、メッセージファイルを一元化して、横にダッシュボードを付けて、カテゴリーとはデバイス対応とかもやれるようにします。システムから来るものも同じです。

 それだけのキャパシティをシステム会社に臨むのはムリだから、取りあえずのものを販売店に提供して、整理していくことです。

 概念的には、メッセージ系とコンテンツ系に分けないといけない。全てを概念でやれば、シンプルになるけど、それをやったら、ついてこれないから、時系列でのシナリオを使います。概念そのものは未唯空間8.5~8.6で行います。概念がない人が設計するのは、本当に大変でしょうね。多分、頭の中はぐちゃぐちゃになっているでしょう。

 システムでは必要条件ぐらいに考えておいて、運用で、必要十分にしましょう。

カテゴリーの概念

 カテゴリーで複数配置できることは、機能として考えておいて、販売店での対応してもらう。その時に、それぞれの販売店がどのような配置しているかを分かるようにする仕組みがポイントになる。このような複雑性の思考をシステム反映することは先のシステムになるだろう。

 販売店の個々のやり方を出来るようにしておいて、事務局のようなところで、状況把握して、開発して、全体を支援する方法です。これは分化と統合に当てはまります。存在の力を使う方法、そのものです。
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「社会を変える」

ファシリテーターの育成

 存在の力を発揮させるためのファシリテーターの育成が、来年のテーマでしょう。本当はファシリテーターのファシリテーターのパートナーに頼みたいけど。武器の進化がそれを促す。これは歴史の必然です。

「社会を変える」

 「社会を変える」というのは、はやり言葉みたいです。社会主義化とは異なり、明確なイメージを持っていない。持ったとしても、皆バラバラというのが今の姿です。だから、社会変革志向というカタチになります。

 私の場合は、サファイア循環で社会を変えるから始まりました。環境としての武装化が進んでいます。コミュニティにおける情報共有で社会を変える。カリスマで変えるのではなく、それぞれの存在の力で変える。そして、個人が分化することで、それらを集めてくるという手法になります。

 では、どんな社会なのかをもっと明確にしないといけない。ハッキリ言って、地位のインフラと超国家との二元化という姿です。それが出てきたのは、国民国家がグローバル化することで機能しなくなってきていることの対応策です。

 その時の企業のあり方、これが最初の取っ掛かりですが、企業はあくまでも、社会をかえることが仕事です。特に、トップメーカーの場合は。コミュニティを支援するということで、グローバル側に立ちます。そして、グローバルはエネルギーを作り出す企業と、それをうまく使う市民との間が社会を変えることになります。

 日本の場合は、依存からいかに抜けるのか、存在の力をどう使っていくのかがポイントになります。企業からいった時に、クルマの会社だと、クルマの使い方を変えることです。水素エネルギーみたいな地域インフラがかかわる所は住民主体です。

検索機能

 検索のときのキーをどうするか。アピール・アンケートがリストだとすると、ライブラリの一部になっている。能力的には、チャッターの検索程度しかできないでしょう。なるべき、社会に合わせるが、コミュニティにおけるライブラリ活用による、知識の蓄積・活用を目指します。

 何月分の何の資料なのかは、販売店でデータの中に取り込んで、整理することになる。標準はファシリテートするが、それ以上は販売店の知恵に任せる。その上での改善は販売店のシステム屋に任せる。

 素材をそのまま、持ってくるしかないでしょう。素材の中に入れ込むしかない。それで様子を見て、変えていくしかない。その時点で、チャッターの検索がどうなっているかです。モバイル・チャッターの動きはコンパクトになりそうです。

 ポイントは、知識と意識の集約ができるかどうか。特に意識の方です。メッセージだけで、できるかどうか。意識の方は、チャッターでのコラボレーションに任せましょう。ただし、チャッターのライブラリはワークになることが考えられるので、ポータルのライブラリで正規化することも容易にしておくことです。

時間のシナリオで解決させる

 現時点からすると、メッセージとかライブラリをマルチメディア的に使うのは難しいでしょう。当然、ポータルで次のMuを検索できるわけではないし、Muのポインターを付けていったものが検索することになります。Muとのリンクをライブラリに保有して、関係付けして、個人レベルで整理できるかどうか。スタッフはモバイルがベースになるので、表現方法も変わっていきます。

 それらの知恵がついてきたら、集めてきたものを自分たちで作り出せばいいです。それが知識のライブラリです。それまでは、どんな使い方を見ていることです。一気にはいけないけど、存在の力が始まる2015年には取っ掛かりが掴めるかどうかです。それがパートナーの10万人相手の仕事です。

 検索にしても、表示にしても、ライブラリ・集積表・アピール・アンケートで異なります。これはまだ、集めたものにすぎないからでしょう。統一化するのはまだ早い。意識を持った販売店でのフィルターを通すことで、表現が決まっていきます。

新刊書検索

 項目名は変わるけど、中身がどこにあるかというのは要らないでしょうか。どっちかというと、図書館の新刊書検査に近いですね。見方で並び順ですね。並び順はバリアブルにしておくしかないでしょう。ソート項目と。

 本当のことを言うと、検索する人で並び順が違うものが欲しいけど、キャッシュとの関係でのアルゴリズムはまだ、一般的にはなっていない。

 出来たら、グーグル・サーチを使いたいけど、販売店のリテラシーが上がっていないから、とりあえず、項目だけやって、あとは過去のことを思い出してもらうしかない。それにしても、一体感のないモノになっている。説明しても、理解されないでしょう。
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